ずっとフリーランスです。年金を75歳まで繰下げたら受給額はいくらになりますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年1月13日 9時40分
「老後2000万円問題」が話題になっていることから、老後生活のために2000万円を用意しなければならないと考える人もいるのではないでしょうか。最近は、会社などの組織に属さずに個人で仕事を請け負うフリーランスという働き方をする人も増えています。十分な収入を得ていたとしても、長年フリーランスでいる人が将来的に受け取れるのは、国民年金のみになる可能性が高いです。 本記事では、フリーランスが受け取れる年金額や繰下げ受給の制度を利用して、年金の受取開始時期を75歳まで遅らせた場合の受給額などを解説します。
フリーランスは国民年金の第1号被保険者
フリーランスは国民年金に加入します。国民年金は日本に住む20歳以上60歳未満の人がすべて加入するべき年金保険です。被保険者は以下の3種類に分類されており、そのうちフリーランスは第1号被保険者に該当します。
●第1号被保険者:自営業、フリーランス、学生など
●第2号被保険者:厚生年金保険料を支払っている会社員など
●第3号被保険者:第2号被保険者の被扶養配偶者(専業主婦など)で20歳以上65歳未満の人
第3号被保険者は、第2号被保険者の配偶者に限ります。第1号被保険者に扶養されている場合は第3号被保険者にならないので、自分で国民年金を納付しなければなりません。
フリーランスが老後に受け取れる年金額
フリーランスが受け取れる国民年金ですが、令和5年度は月額6万6250円、年額にすると79万5000円です。これらは20歳から60歳までの40年間を通して保険料を払い続けた場合の金額となり、未納や保険料の免除期間、納付猶予の期間があると満額支給となりません。
年金額は年度ごとに変更があるため、月額6万6250円が生涯にわたって続くわけではない点に注意してください。なお、令和4年度の年金額は月6万4816円でした。
繰下げ受給の増額率は1年間で8.4%
原則として65歳から受け取れる国民年金ですが、受給開始年齢を66歳以降75歳までの間に遅らせれば年金額を増やすことが可能です。年金の受取開始年齢に応じた増減率が適用され、増額した年金を一生涯にわたって受け取れます。
増額率は「0.7%×65歳に到達した月から繰下げ受給を申し出た月の前月までの月数」です。年金の受取開始時期を1年間遅らせると8.4%、5年間で42.0%、最長である10年間になると84.0%も年金額を増やせます。
75歳まで繰上げた場合の増額率は84%
年金の繰下げ受給によって、最長である75歳0ヶ月から年金を受け取った場合は84.0%の増額率が適用します。ただし、75歳0ヶ月以降は、どんなに年金の受取開始時期を遅らせても増額率は84.0%から変わらない点に注意してください。
なお、65歳から年79万5000円の国民年金を受け取れる人が、繰下げ受給によって受け取れる年金額は図表1のとおりです。
【図表1】
繰下げ受給による年金の受給開始年齢 | 年金受給額 | 繰下げ受給によって増額した年金額 |
---|---|---|
67歳0ヶ月(2年後) | 92万8560円 | 13万3560円 |
70歳0ヶ月(5年後) | 112万8900円 | 33万3900円 |
75歳0ヶ月(10年後) | 146万2800円 | 66万7800円 |
日本年金機構「年金の繰下げ受給」より筆者作成
最長である75歳0ヶ月まで年金の受取開始時期を遅らせれば、65歳から受け取れる79万5000円の年金額を146万2800円にまで増やせます。健康状態に自信があり、収入を得たり貯蓄などから生活費をまかなったりできるなら、貯蓄などに頼るよりも効率良く年金を増やせるでしょう。
年金の繰下げ受給には注意点がある
繰下げ受給によって年金の受取開始年齢を遅らせれば、自動的に年金額を増やせますが、いくつかの注意点があることも理解しておきましょう。繰下げ受給の注意点は、以下のとおりです。
●年金額が増えることで社会保険料や税金も上がる可能性が高い
●75歳以降は年金額を増やせない
●被保険者死亡の際に遺族に対して増額分の年金は支給されない
●加給年金や振替加算は増額対象にならない
●障害年金や遺族年金を受給している場合は繰下げ受給ができない
繰下げ損にならないように適切なタイミングで年金を受け取ろう
フリーランスで受け取れるのが国民年金だけでも、貯蓄をしたり、長く働いて収入を得たりすれば老後に備えられるでしょう。それだけでは不安だったり、不足を感じたりする場合は、年金の繰下げ受給を検討してみてください。年金の受取開始年齢を通常の65歳0ヶ月から66歳0ヶ月以降75歳0ヶ月までに遅らせるだけで、年金額を最大84.0%にまで増やせます。
ただし、年金を受け取る前に死亡したり、受取開始から間もなく亡くなったりした場合、繰下げ損になるリスクも高いです。年金額を増やすことも重要ですが、損をしないためにも適切なタイミングにて年金を受け取ることも検討してください。
出典
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
日本年金機構 Q 国民年金の「第1号被保険者」、「第3号被保険者」とは何ですか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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