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「全財産の5分の1を遺贈する」この遺贈を放棄するなら、いつまでに結論を出せばいいの?

ファイナンシャルフィールド / 2018年10月11日 10時30分

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遺贈を受けたとき、その遺贈を受け入れるか否かの結論は、ゆっくり考えればいいでしょう……。多くの方が、そう思うのではないでしょうか?   遺贈は一定の場合において、放棄することのできる期間が制限されているのです。   遺贈とその放棄の期限について一度確認しておきましょう。  

親友から包括遺贈を受けたKさん

ある年の6月1日、Kさんは親友であるAさんが亡くなったことを知ったと同時に、次のような遺言があったことも知りました。
「かつて恩を受けた親友のKへ全財産の5分の1を遺贈する」
しかし、Kさんは遺贈を受け入れるつもりがなく、その遺贈を放棄しようと考えていました。さて、Kさんはいつまでに遺贈の放棄の手続きをすればよいのでしょうか。
 

Kさんの受けた遺贈は特定遺贈? 包括遺贈?

まずはKさんの受けた遺贈について考察しましょう。
遺贈には「特定遺贈」と「包括遺贈」の2種類があります。
「特定遺贈」とは土地や建物など特定の財産について遺贈することをいいます。
「包括遺贈」とは「全財産の5分の1を遺贈する」といったような形で、対象となる財産を割合によって定めるような遺贈をいいます。また、包括遺贈はその割合にしたがい、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も引き継ぐこととなります。
今回Kさんは「Kへ全財産の5分の1を遺贈する」と遺贈されています。つまり、Kさんの受けた遺贈は「包括遺贈」となるのです。
では、これらの考察をもとに、Kさんの遺贈の放棄に期限があるのか検討していきましょう。
 

包括遺贈の放棄は3ヶ月以内が鉄則

先に確認したように、Kさんの受けた遺贈は「包括遺贈」に該当します。
そこで、民法990条とそれが引用する915条1項の出番となります。
 

民法990条

包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。
 

民法915条1項

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
条文が2つも出てくるとさすがに複雑となるため、今回の事例に即して2つの条文を流れにそって整理していきます。
(1)相続人は通常、相続の放棄をするなら相続があったことを知ってから3ヶ月以内にする必要があります。(民法915条1項)
(2)包括受遺者は相続人ではないのですが、その性質上相続人と同一の権利と義務を得ます。(民法990条)
(3)包括受遺者であるKさんは、相続放棄をするためには、遺贈があったことを知った日(6月1日)から3ヶ月以内(8月31日まで)にする必要があります。
つまり、Kさんは遺贈を放棄したいのであれば、8月31日までに放棄する必要があるのです。
ちなみに、包括遺贈の放棄は相続の放棄と同様、家庭裁判所へ申述する方法で行います。(民法938条)
 

3ヶ月以内に手続きできないと……?

もし、Kさんが8月31日までに包括遺贈を放棄する手続きをしなかったらどうなるのでしょうか。
その場合、Kさんは遺贈を単純承認(プラスの財産もマイナスの財産もすべて受け継いだとみなすこと)したものとみなされます。(民法921条2号)
ただし、利害関係人や検察官などの請求によりこの期間は延長されることがあります。
 

包括遺贈の放棄は3ヶ月以内が原則!

包括遺贈はその性質上一部相続の規定が適用されます。
そのため、包括遺贈を放棄するのであれば、3ヶ月以内に手続きする必要があるのです。3ヶ月を過ぎてしまうと、単純承認したとみなされ、取り返しのつかない事態に陥ってしまう危険性もあります。
包括遺贈の放棄を考えているのであれば、必ず3ヶ月以内に手続きをするようにしてください。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士

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