日本でも「ライドシェア」解禁が話題になってるけど、「タクシー運転手じゃない人」の車に乗っても大丈夫? 世界各地でライドシェアサービスを利用した筆者の体験も含めて解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年1月25日 10時0分
日本政府が発表した2024年4月のライドシェア解禁のニュースが話題となっています。その背景には「タクシー運転手の不足」や「インバウンド需要の増加」などが挙げられますが、利用したことがない人からすれば、さまざまな疑問や不安を持つはずです。 そこで本記事では、ライドシェアとはどのような特徴があるのか、世界各地でライドシェアを利用してきた筆者の経験も合わせて解説します。
ライドシェアとは
消費者庁では、ライドシェアとは「プラットフォームを介して、時間と車が空いている一般のドライバーが、移動サービスを求める乗客に対して、移動サービスを提供するというも
の」と定義しています。
海外で一般的となっているライドシェアサービスでは、多くの企業や事業者が参入しています。サービスに登録している車両の所有者と、乗客を仲介することで、安心安全をめざした効率的な輸送サービスを展開しています。
具体的には、「ドライバー審査」「相互評価システム」「緊急時のための年中無休サポート」「GPSによる追跡管理」などが搭載されており、ドライバーと乗客がお互いに安心して利用できる仕組みが作られているのです。
世界各地でライドシェアを使ってみて思うこと
筆者はこれまで東南アジアとヨーロッパを中心に、世界各地でライドシェアを使ってきた経験があります。ライドシェアを初めて使ったときは、「ちゃんと車が来てくれるかな?」「支払いはちゃんとできるかな?」と不安に思っていましたが、今では海外旅行で欠かせない存在になるほど高い利便性を感じています。
海外で一般のタクシーを使ったときは「行き先を伝えるのに苦労する」「現地通貨での支払いが面倒なうえに、おつりをごまかされる」「エアコンが壊れている」といったトラブルを経験しました。しかしライドシェアを使用してからは、このようなトラブルにあうこともなくなり、タクシー運転手でない人の車にも安心して乗れるようになったのです。
現在の日本ではタクシーの配車アプリが登場し、ライドシェアのアプリと同じように便利に移動できるようになりました。しかし、日本にあるタクシーの配車アプリを知っている外国人旅行者は少ないでしょう。また、わざわざアプリをインストールしてクレジットカードなどの個人情報を入力するのは、面倒だと感じるのではないでしょうか。
海外の配車アプリを日本で利用することは可能ですが、法律などの規制により「台数が少ない」「安く乗れる車がない」といった問題が生じているため、利便性に長けているとは言いづらい状況です。
多くの国ではすでにライドシェアアプリを使うのが当たり前となっているため、外国人観光客らからは「駅のタクシー乗り場で長時間待たされる」「英語が通じないのでコミュニケーションに不安がある」といった状況に不満も続出しており日本に対する評判が下がってしまう恐れもあります。
またタクシーは人口の多い都市部ではよく見かけますが、人の少ない地方ではタクシーを見つけることが簡単ではありません。公共交通機関が発達しておらず、「車がないとどこにも行けない」といった地域において、車を持っていない高齢者や旅行者にとってみれば、ライドシェアの普及はよいニュースとなるのではないでしょうか。
ライドシェアの課題
世界中で普及しているライドシェアですが、日本では営業許可がない個人が自家用車を使って運転するタクシー(白タク)は法律で禁止されています。
そのため日本でも海外のライドシェアアプリは存在するものの、配車できるのはハイヤーやタクシー会社の車だけに限られ、「タクシーと値段が変わらない」「台数が少ない」といった不満の声も挙がっています。
さらに「ドライバーの運転技術の担保」「事故の場合の保険や保障」「運転手または乗客から危害を受けるリスク」といった課題も挙げられます。
筆者が海外でライドシェアを利用した際は、交通事故にあったりドライバーから危害を受けたりしたことはありません。しかし「長距離の移動の際、乗車拒否される」「目的地とは若干違う場所で降ろされる」といった、小さなトラブルに遭遇したことがありました。
このようなトラブルが続けばライドシェアの普及は難しくなるでしょうし、「ドライバー」「乗客」双方が安心して利用できる仕組みと法律を整備できるかが今後の課題となるでしょう。
まとめ
「タクシー運転手不足」「外国人観光客の増加」「地方の過疎化」などの理由により、日本においてもライドシェア推進の流れが出てきました。現状では法の整備や業界団体の反発などさまざまな課題が存在するため、ひとまずは限定的な解禁となります。
とはいえ、多くの人が現在の状況に不満を抱いているのも事実です。時代の流れとともに状況や価値観というものは変化していくので、「車に乗っての移動はバスかタクシー」といった過去の常識に縛られず、顧客満足度を高められる制度設計が求められるでしょう。
出典
消費者庁 ライドシェアとは?
国土交通省 道路運送法における許可又は登録を要しない運用の態様について
執筆者:山本峻
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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