10月1日には27年ぶりの高値をつけたはずの日経平均株価・・・。株式市場と日本経済について考えてみる。
ファイナンシャルフィールド / 2018年10月15日 9時0分
![10月1日には27年ぶりの高値をつけたはずの日経平均株価・・・。株式市場と日本経済について考えてみる。](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_26599_0-small.jpg)
10月1日の東京株式市場で日経平均株価が27年ぶりの高値を記録しました。日本企業の収益力が向上してきたことが背景にあります。 27年前といえば1991年(平成3年)。湾岸戦争が始まった年です。その一昨年前、日経平均株価の終値は3万8915円の史上最高値をつけた後、下落を続け、日本経済はバブル経済崩壊に向かいます。まだ、生まれていなかった読者の方も少なくないかもしれませんね。 今回は、これを機会に株式市場と日本経済について考えてみましょう。
企業活動の実績を反映する株価
株価はさまざまな理由で変動します。株価が変動する1番大きな要因は、業績の変化です。業績というのは会社の活動の通信簿に当たります。業績が良くなれば株価は上がり、業績が悪くなれば株価は下落します。
この通信簿を見る手段として決算書があります。株式会社は四半期(3ヶ月)ごとに決算書を公表することが義務付けられており、この発表された成績によって株価が上昇したり、下落したりします。
もう一つの要素は、株式の需給関係です。需給関係というのは、株価に限らず、すべてのモノにも言えることですが、買いたいと思う人が多ければ価格は上昇し、売りたい人が多ければ値段は下がります。
株式を買いたいという人と株式を売りたいという人のバランスで、株価は釣り合いが保たれています。
バイブルは「会社四季報」
上場企業の場合、決算書、需給関係、株価などの関連情報を得るのに手っ取り早いのは「会社四季報」(東洋経済新報社)です。1936年(昭和11年)6月に創刊号が刊行され、以来80年以上にわたり発行され続けた株式関係書籍の永遠のベストセラーであり、投資家のバイブルとも言える本です。
会社四季報は(1)上場企業の情報をコンパクトにまとめている、(2)投資対象となる企業を網羅している、(3)会社事典としての機能を持っている、(4)年4回、最新データにアップデートされる、(5)東洋経済の記者が独自に取材して記事を書く、(6)業績予想を2期発表する――などの特徴を持っています。
株式投資を行おうとする場合、証券会社から情報を得る、詳しい人に教えてもらう、新聞から情報を得る――などもありますが、投資は自己責任。自分で考えて株式投資を行うには「会社四季報」は不可欠の情報源と言えます。
家計・個人部門から企業部門へ余剰資金が流れる
もちろん、株式市場は株式投資を行う人のためだけに存在するものではありません。
企業はその活動を行うために設備投資をはじめ、さまざまな用途に資金を必要とします。この資金は前年までの利益の中から得ますが、それだけでは不足が生じます。そのため、企業は社債や株式を発行して投資家から資金を調達します。
国全体の経済を考えると、企業は家計(個人)部門から余剰資金を調達して活動しています。これが金融・資本市場であり、国民経済の場で公正な価格により資金が余っている部門(家計・個人)から資金不足部門(企業)へと、効率的に資金を分配する役割を担っています。
政府が「貯蓄から投資へ」を勧めている理由もここにあります。
ロボアドバイザーの成長はいまいち
株式投資の記事では、ともすれば「どの企業の株がいくら儲かるか」に重点が置かれ、読者の方もそちらに目が行きがちです。もちろん投資の目的は利益を上げることですが、そのためには、かなりの勉強が必要です。
最近、「ロボットアドバイザー」という、コンピューターのプログラムが資産運用を指南するサービスが登場し、パソコンやスマホで手軽に利用できるようになりました。しかし、その運用成績は今一つだと言われています。
株式投資の本は山ほどあります。「儲けた」という人の話は多く聞かれますが、「損をした」という話はなぜか少ないです。本当に儲けている人は、自身の体験を多く語らないとも言われるにもかかわらずです。
ともあれ、2020年の東京オリンピックまでは、現在の株高が続くと言われています。その中で株式市場が身近な話題になってきましたので、今後も株式市場の動向に注目されてはいかがでしょうか。
Text:丸山隆平(まるやま りゅうへい)
経済産業ジャーナリスト
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