アルバイトですが「恵方巻」の販売ノルマがあります。「家族や知り合いに聞いてみて」とも言われているのですが、違法ではないのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年2月3日 2時10分
飲食店や衣料品店など接客業をアルバイト先に選んでいる人のなかで、販売ノルマを強要された経験がある人はいませんか。 例えば、「恵方巻販売」でノルマが達成できず「家族や知り合いまで購入を強いられるケースなどもあります。こういったお店が販売ノルマを強要することは違法にならないのでしょうか。そこで、今回は販売ノルマの違法性について解説します。
ノルマの達成を強いるのは違法
まず、販売ノルマを課すこと自体は違反ではありませんが、ノルマ達成のために自爆営業に追い込むなど、強要するような行為は違法と認識しておきましょう。
このように、従業員へ圧力を掛けることは労働者の賃金や労働時間など最低限の基準を織り込んだ「労働基準法」に抵触する可能性があります。具体的に、ノルマ達成を強要することは以下の法律に反する可能性があるため注意が必要です。
・ノルマ未達のペナルティとしての商品買取→労働基準法第16条(賠償予定の禁止)
・商品代金の賃金からの天引き→労働基準法第24条1項(賃金の支払)
例)商品代金の賃金からの天引き
また、「民法第623条(雇用)」「労働契約法第6条(労働契約の成立)」では、労働に従事するのみを義務づけられているため、恵方巻の販売ノルマを達成できない場合でも肩身の狭い思いをする必要はありません。
もし、ノルマ達成を強要された場合は指示した側が「刑法第223条(強要)」に触れる可能性がでてきます。また、これらは正社員やアルバイトなど雇用契約に関係なく、すべての従業員に共通する内容です。販売ノルマが重荷になって追い詰められている人は、強要に当たることを言われていないか冷静に考えてみましょう。
断れない背景にはパワハラも
自社商品やサービスの販売や提供に向けて積極的に取り組む姿勢は、企業の安定経営に欠かせません。そのため、雇い主は具体的な販売目標をつくって従業員の士気を高めたり、優秀な従業員を表彰したりするなど創意工夫が求められます。
また、販路を拡大するために家族や親戚などへ依頼すること自体は問題ありませんが、強要と受け止められるような言い回しをしてくるアルバイト先は注意が必要です。
なかには、販売結果の未達を酷評されて人格否定されることを恐れて、自爆営業に走る人も出てくる可能性もあるでしょう。また、職場全体に自爆営業をやむなしとする風潮がある場合、「右にならえ」をしても不思議ではありません。
さらに、面倒なのが上司や経営者などからの圧力、いわゆる「パワハラ」です。販売ノルマの未達が解雇の理由にならないとはいえ、成績不振のままで勤務を続けることが精神的に厳しくなり、追い込まれてしまう人もいます。
困ったときは相談窓口を利用しよう
アルバイト先で販売ノルマを課せられた結果、上からの圧力に耐えきれなくなり、自分の貯金や借金で自爆営業する人も出てくる可能性もあります。商品代金は、そのアルバイト先で働かなければ発生しなかった費用です。そもそも、販売ノルマの達成は職場全体の課題であり、個人で穴埋めするのは不適切といえます。
販売ノルマなどの待遇に悩んで精神的に追い込まれてしまう前に、アルバイト先の相談窓口を利用しましょう。パワハラ対策は、事業主の義務となるため、従業員が活用することは当然の権利です。自分だけで伝えにくい場合は、同じ思いをしている同僚と一緒に相談してみてはいかがでしょうか。
もし、アルバイト先での解決が難しい場合は「弁護士サイトを利用する」「労働局や労働基準監督署などで相談する」などさまざまな方法があります。解決するためには、客観的な証拠があるとスムーズになります。そのため、できるだけ音声データや商品のレシートなど販売ノルマを強いられた事実が第三者へ伝わりやすくなる情報をまとめておくことが重要です。
ノルマの強要は違法!関係法規を理解したうえで相談窓口の利用も
販売ノルマの強要は、違法と認識しておきましょう。ノルマ達成のために自爆営業する背景には、解雇や待遇の悪化に追い込まれる雰囲気もあります。しかし、このような行為は決して適切ではありません。労働に関する条件は「労働基準法」などで定められており、アルバイトの場合も適用されます。
もし、販売ノルマなどで精神的に追い詰められるような思いをしている場合は、まずアルバイト先で相談してみましょう。アルバイト先へ相談しにくい場合は、弁護士の無料相談や労働局や労働基準監督署内に設置されている総合労働相談コーナーなどを活用してみましょう。
出典
厚生労働省 確かめようアルバイトの条件
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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