退職後の健康保険は何を選べばいいのか?選択肢は4つ。それぞれの特徴と注意点。
ファイナンシャルフィールド / 2018年10月16日 9時30分
会社に勤めていた方が退職や転職した場合は、それまで加入していた健康保険はなくなり、新たな健康保険に加入する必要があります。 加入する医療保険制度によって、保険料に大きな差が出てきます。慎重に検討しましょう。
4つの選択肢
(1)「任意継続被保険者」として退職前の会社の健康保険を引き継ぐ。
(2)「国民健康保険」に加入する。
(3)「家族の加入している健康保険の被扶養者」となる。
(4)「特例退職者医療制度」に加入する。
この4つの選択肢から選ぶことになります。(1)(2)(3)について見てみましょう。(4)については、最近この制度のある健康保険組合が少ないので、割愛します。興味のある方は、現在勤めている会社の健康保険組合に確認してください。
「任意継続被保険者」となる
この制度は、直前に勤めていた会社の健康保険制度を引き続き2年間加入することができる制度です。
この制度を利用するには、2つの条件があります。(1)退職前の会社の健康保険に継続して2カ月以上の被保険者期間が必要です。(2)退職日の翌日から20日以内に手続きをします。
健康保険の保険料は、会社に勤めていた時は会社が半分負担してくれていましたが、退職後は全額自己負担となります。
ただし、保険料の設定方法は、退職時の自分の標準報酬月額(原則、4月5月6月の給料の平均額から算出します)または、加入していた健康保険の全被保険者の標準報酬月額平均値のうち低いほうとなります。そのため、退職前にある程度の給料をもらっていた方は、国民健康保険よりも保険料が安くなるかもしれません。
国民健康保険に加入する
都道府県に住所のある75歳未満の方は、健康保険の被保険者・被扶養者や生活保護を受けている世帯を除き、国民健康保険に加入しなければなりません。保険者は、都道府県と市町村です。
被扶養者の制度はなく、加入者全員が被保険者となります。医療費の自己負担割合は健康保険と同じです。
国民健康保険に加入する日は、市町村役場で加入手続きをした日ではなく、会社を退職した翌日となります。つまり空白期間が1日もないことになります。
保険料の決め方は都道府県・市町村によって異なりますが、前年の所得に応じて決定されます。そのため、退職して所得が大きく減った際は、大体の場合、その翌年から保険料が安くなります。
保険料が2年間固定される任意継続よりも、2年目については国民健康保険を選んだほうが有利になることもあります。
家族の被扶養者となる
例えば、夫婦共稼ぎで夫婦それぞれが別々の健康保険に加入している場合、定年退職した年上の夫が、一定の条件のもとで妻の健康保険の被扶養者になることができます。または、子供の加入している健康保険の被扶養者になることも可能です。
一定の条件とは、所得と同居の有無です。同居の場合、被扶養者の年間収入が130万円未満(60歳以上の方、障害年金受給者の場合は180万円)で、かつ被保険者の年収の2分の1未満とされています。
別居の場合、被扶養者の年間収入が130万円未満(60歳以上の方、障害年金受給者の場合は180万円)で、その金額が被保険者からの仕送りよりも少ない場合とされています。
なお、被扶養者と認められるのは3親等以内の親族となっています。手続きは、被扶養者となる方の退職日の翌日から5日以内に被保険者の事業主を通して「被扶養者届」を年金事務者または健康保険組合に提出します。
保険料は必要ありませんので、一番有利な方法です。しかし条件が厳しいのでよく確認してください。
後期高齢者医療保険
75歳以上になると「後期高齢者医療制度」に加入することになります。保険料は、年金額が18万円以上の場合は、公的年金から天引きされます。
医療費の自己負担割合は多くの場合1割で済みます。ただし現役並みの所得がある方は3割負担となります。
最後に
退職後にどの健康保険に入るかは早めに決めるようにし、手続き漏れや、期限経過にならないように注意しましょう。
国民健康保険の保険料は市町村によって違いますので、市町村役場に確認したほうがいいと思います。任意継続被保険者になる場合の保険料は、会社に確認すればすぐにわかります。保険料と制度の違いをよく見比べて加入先を選んでください。
Text:北山茂治(きたやま しげはる)
高度年金・将来設計コンサルタント
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