3月に65歳で定年です。貯金が「2000万円」あるので、70歳から年金を受け取りたいのですが、問題ないでしょうか? 経済状況が厳しくならないか不安です
ファイナンシャルフィールド / 2024年2月2日 2時30分
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定年退職を迎える時期が近づくと、自身が受け取れる年金はいくらなのか、退職金や預貯金などの資産の状況と照らし合わせて、老後の生活を賄うことができるのかと考える人は多いのではないでしょうか。 20代や30代の頃は意識する機会は少なかったかもしれませんが、50代や60代になると老後の生活を具体的にどうするのか検討しなければならなくなります。本記事では、今年3月に65歳定年を迎える人が貯金2000万円ある場合、年金をすぐに受け取らずに70歳まで繰り下げて受給しても大丈夫なのか解説します。 今回のケースでは、老後は夫婦2人で生活し、いままで会社員として働いて稼いだ平均収入はボーナスを含めて40万円程度で、国民年金保険料の未払いや免除などの期間はなく、定年退職するまで厚生年金に加入しているものとします。
65歳以降に夫婦2人が生活するために必要な金額はいくら?
これだけの預貯金で生活していけるのか、年金の繰下げ受給を行っても経済的に影響はないか判断するためには、定年退職後にいくら生活費がかかるのかを明確にする必要があります。
老後に必要な生活費を、総務省統計局が家計調査報告(家計収支編)のデータを見ると、2022年度は65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、消費支出と非消費支出合わせて26万8508円かかっています。つまり夫婦2人で最低でも毎月30万円程度の支出が発生する可能性が高いことが分かります。
老後の生活に限った話ではありませんが、日常生活だけでなく健康上のリスクや臨時出費にも備えて対策する必要があります。例えば病気やけがで通院したり、突然冷蔵庫が故障して買い替えたりしなければならないケースもあるかもしれません。これらを総合的に考慮すると、一時的に30万円を超える支出が発生する可能性もあります。
年金収入だけでは家計は厳しい
65歳からもらえる標準的な年金収入は夫婦2人分の老齢基礎年金を含めて月額約22万4000円(2023年度)です。仮に、毎月30万円の支出が発生すると、単純計算で年間約91万2000円の赤字となります。2000万円ある資産は約20年で底をついてしまうことになり、年金だけで生活する場合は非常に厳しいといわざるを得ません。
いまは「人生100年時代」ともいわれ、80歳や90歳を超えても元気に長生きする人が増えています。厚生労働省が公表しているデータでも平均寿命は男女とも80歳を超えています。仮に90歳まで生きる場合、65歳から25年間の生活費をどのように賄うのかは国民的な課題といえるでしょう。
年金以外の収入があれば繰下げ受給できる?
通常は貯金2000万円あっても年金だけで生活し続けるのは非常に厳しいと思われますが、年金の繰下げ受給をして70歳から受け取ることは可能なのでしょうか。引き続き夫婦で毎月30万円の支出が発生すると仮定して考えてみます。
65歳から70歳まで5年間繰り下げると年金額は42%加算され、この増額率は一生変わらないのが大きなメリットです。一方で、年金を受け取るまでの収入や生活費をどうするのか対策する必要があります。
65歳から70歳までの5年間無収入とすると、年間360万円、5年間で1800万円を貯金から取り崩す形となります。貯金が2000万円あるため計算上は乗り切ることができます。70歳から年金を受け取り始めると繰下げにより42%増額され、夫婦の標準的な年金収入の場合は月額約31万8000円で毎月の収支は約1万8000円の黒字となります。
ただしこれらはあくまで単純計算でシミュレーションした場合の話です。70歳以降も含めて実際には想定外の出費が重なって家計が厳しくなることもあるので要注意です。物価上昇で資産価値が目減りしたり年金を含む社会保障制度が変わる可能性もゼロではありません。
そう考えるとやはり老後は年金のみに依存するのではなく、月10万円や20万円でも稼ぐことも重要かもしれません。例えば、65歳から70歳まで月10万円稼ぐと赤字額は20万円で5年間で合計1200万円です。無収入の場合に比べると600万円の資金を捻出できます。
年金の繰下げ受給は無理する必要はありませんが、年金以外に収入があり預貯金等の資産にも余裕がある場合は検討してみても良いかもしれません。
まとめ
本記事では、貯金2000万円ある場合、70歳まで年金の繰下げ受給をしても問題ないかを解説しました。老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々で繰下げすることもできます。自身の経済状況と照らし合わせながら最適な方法を探してみてください。
出典
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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