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定年後の退職金は「1900万円」の見込み。受け取りは「一括」と「分割」どちらがお得? それぞれの手取り額を試算

ファイナンシャルフィールド / 2024年2月3日 2時30分

定年後の退職金は「1900万円」の見込み。受け取りは「一括」と「分割」どちらがお得? それぞれの手取り額を試算

定年退職を迎えるときにもらう退職金は、一括でもらうのと、退職年金として分割でもらうのとでは、どちらが手元に残る金額は多くなるのでしょうか?   本記事では、退職金の平均金額や、受け取り方法ごとの手取り金額見込み試算を紹介します。

定年での退職金は平均いくら?

厚生労働省が発表した「令和5年度就労条件総合調査」によると、退職金(一時金・年金)制度がある企業は74.9%で、このうち「退職一時金制度のみ」が69%、「退職年金制度のみ」が9.6%、「両制度併用」が21.4%という結果でした。退職年金とはいわゆる「企業年金(確定給付企業年金など)」で、公的年金制度とは別に支給される年金です。
 
定年退職での退職金平均額は、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)1896万円、高校卒(管理・事務・技術職)1682万円で、定年退職時の所定内賃金での月収換算は約36ヶ月から38ヶ月分でした。平成30年度での退職金平均金額は大学・大学院卒(管理・事務・技術職)1983万円、高校卒(管理・事務・技術職)1618万円で、退職金は少しずつ減少傾向にあるようです。
 
退職金は会社に支払い義務がある制度ではなく、退職金をいくら支給するかの計算方法は会社によって違いがあります。
 

退職金を一括・分割でもらう場合、手取りは?

退職金を一括でもらうか、分割でもらうかの選択に重要なポイントとしては「受け取るお金に税金などがいくらかかるのか」が挙げられます。
 
中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査」にて退職年金制度を導入している企業のうち、確定拠出年金(企業型)が72.0%と最も多い結果でした。確定拠出年金(企業型)とは会社が年金の掛金を支払って従業員が自ら資産運用する制度で、運用収益は非課税です。
 
退職金額を一括でもらう・分割してもらう場合、大まかな手取り金額はいくらになりそうか試算します。
 

<試算例>

 
・60歳勤続30年で退職金1900万円、一括でもらう選択をしたAさんの場合
(退職金1900万円-退職所得控除額1500万円)×0.5=退職所得200万円
所得税10万4652円+住民税(市民税)12万円+住民税(都道府県民税)8万円=課税額30万4652円
退職金1900万円-課税額30万4652円=手取り見込み額1869万5348円
 
・60歳勤続30年で退職金1900万円、退職年金(予定利率2%)として10年で受け取る選択をしたBさんの場合(この他にの収入がなく、健康保険料は除きます)
予定利率は令和5年10月発表の「近畿厚生局管内の確定給付企業年金の状況」において確定給付企業年金で最も多く採用されている利率2%で計算します(利率2%で10年に分けて受け取る場合の資本回収係数0.111)。

退職金1900万円×資本回収係数0.111=年210万9000円
 
・60歳から64歳までの手取り見込み金額
210万9000円-公的年金等の控除額80万2250円=公的年金等に係る雑所得130万6750円
所得税4万1300円+住民税9万2600円=課税額13万3900円
210万9000円-13万3900円=手取り見込み年間197万5100円
 
・65歳からの手取り見込み金額(仮に、老齢厚生年金年間216万円として加算します)
(210万9000円+老齢厚生年金216万円)-公的年金等の控除額133万2235円=公的年金等に係る雑所得292万6765円
所得税6万6200円+住民税14万2400円=課税額20万8600円
(210万9000円+老齢厚生年金216万円)-20万8600円=手取り見込み年間405万2300円
 
分割して受け取る場合には一括で受け取るよりも控除額が少なめで、試算した金額から健康保険料なども差し引くと手取り金額はさらに少なくなります。
 

まとめ

勤続年数が長く退職金控除が多い場合には、退職金は「一括で受け取るほうがお得になる」と言えるでしょう。退職金は、老後の生活を支える大きな柱のひとつです。
 
老後生活では、介護・医療費や住宅リフォーム費などまとまった出費が必要になる可能性が高いので、家族と相談しながら手元のお金を維持していくのが望ましいといえるでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和5年度就労条件総合調査概況
中央労働委員会 令和3年賃金事情等総合調査
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
近畿厚生局 近畿厚生局管内の確定給付企業年金の状況
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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