65歳からの年金を「月18万円」は欲しいです。いくら稼げば老後にそれだけ受け取れるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年2月3日 5時0分
老後の生活を支える基盤となる年金をなるべく多くもらいたい場合には、現在の年収としていくら稼げば良いのでしょうか。厚生年金に加入している人は、年金の加入期間と年収で、将来受け取れる年金見込み額が計算できます。 本記事では、試算などをまじえて解説します。
厚生年金を受け取っている人の平均金額はいくら?
厚生労働省「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和4年度末での老齢厚生年金の平均受給月額は「約14万5000円」でした(老齢基礎年金の額を含めます)。
総務省統計局「家計調査年報2022年(令和4年)家計の概要」によると、総世帯(2人以上世帯と単身世帯を合わせた総数)での消費支出額の平均は1ヶ月「24万4231円」、単身世帯での消費支出の平均は1ヶ月16万1753円でした。
2つの調査から、受け取れる年金額よりも消費支出額の方が多い傾向といえる結果となりました。家計に少しゆとりがある老後生活をするには、働いている期間中にどのくらいの収入を稼げば良いのでしょうか。
目標とする年収の目安は、いくら?
老後に受け取れる厚生年金額は、年金保険料を納めた期間と働いている期間での収入金額(平均報酬額)によって決まります。保険料を納めた期間が長く、働いている期間での収入が多いと将来受け取れる年金見込み額も上がってゆきます。
老後を単身で生活するとして、消費支出の平均額約16万円よりも多めな18万円の年金を受け取りたい場合の、目標とする年収の目安を試算してみましょう。
年金制度に加入できる20歳から年金を受け取れる65歳まで45年間(540月)、厚生年金に加入して働く場合(老齢基礎年金は満額受け取れる)での目標年収はいくら?
●受け散りたい厚生年金月額18万円-老齢基礎年金月額(満額)約6万6250円=約11万3750円(年額約136万5000円)
●厚生年金を毎月約11万3750円(年額約136万5000円)受け取るために必要な平均報酬月額の計算式
136万5000円÷(給付乗率5.481÷1000×厚生年金加入月数540月)=約46万1189円(年額約553万4268円)
平均して月に約46万円以上、年収約553万円以上(ボーナス等は含みません)を稼ぐと、将来の年金を18万円受け取れる見込みとなりました。
老後のお金をなるべく維持するには?
現時点で、老後のお金をなるべく維持するための方法をいくつか挙げます。
(1)退職金や貯蓄をなるべく維持する
高齢になると、医療費など急な出費が増えてきます。退職金や貯蓄などはなるべく崩さずに維持しておくことも良いでしょう。
(2)厚生年金に加入できる上限年齢の70歳まで働く
国民年金の加入期間は60歳までですが、厚生年金は70歳まで加入できます。厚生年金に加入し続けると、65歳以降の毎年10月に年金額を改定する「在職定時改定制度」によって毎年、年金額が増えてゆきます。年金を受け取りながら働く人の家計を充実させる制度といえるでしょう。
(3)年金の受け取り開始時期を遅らせる
年金の受け取り開始時期を66歳から75歳までの期間に延ばすと、繰り下げた期間に応じて年金額が増額される「繰下げ受給制度」があります。繰下げ受給を申請すると1ヶ月ごとに老齢基礎年金が0.7%ずつ増えてゆきます。
この制度の注意点は、繰下げ申請を行う前に65歳以降の年金受け取り請求をしてしまうと、繰下げ受給ができなくなる点です。
まとめ
「厚生年金を将来18万円」受け取れる見込みにするには、厚生年金に45年間加入した場合に平均年収約553万円以上(ボーナス等は含みません)を稼ぐ必要があります。
現時点での自分の年収と貯蓄などを確認して、なるべく老後生活を維持できるように家計を時々見直すことが望ましいでしょう。
出典
厚生労働省 令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省統計局 家計調査年報2022年(令和4年)家計の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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