35歳で貯金が「100万円」しかないので、将来「老後破産」しないか心配です。65歳を定年として、毎年いくら貯めたらいいでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年2月27日 2時30分
貯金が少ないので、老後に年金だけでは暮らせず破産するのではと心配している人もいるのではないでしょうか。 本記事では、老後に必要な額はいくらなのか解説し、お金を貯める方法も紹介します。
老後資金はいくら必要か?
まず、老後の生活費はいくら必要なのでしょうか。
総務統計局の2022年分の家計調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯での月の支出は平均23万円です。なお、この計算では住居費を1万5000円ほどで計算しているため、賃貸住宅に住んでいる場合などはさらに支出が増えます。
老後は年金が主な収入源となる人も多いですが、年金でまかないきれない生活費は貯金からまかなうことになるため、この分が必要な貯金額になります。
もらえる年金額
国民年金保険料を払っている人がもらえる老齢基礎年金の給付額は、1人当たり平均月額5万6000円です。厚生年金保険料を払っている人がもらえる年金(老齢基礎年金+厚生年金)は1人当たり平均月額14万4000円になります。
つまり平均値では、自営業の夫婦だと月に約11万2000円、夫婦どちらかが会社員か公務員だと月に約20万円、夫婦共働きで会社員か公務員だと月に約28万8000円の年金が受給できます。
老後破産しないために必要な金額
老後のために必要な資金の金額を具体的にイメージするために、ここまで見てきた65歳以上の夫婦のみの世帯の月の支出と、もらえる年金額から不足する資金の額を計算します。仮に65歳から20年間年金暮らしをするとして、35歳から貯金をスタートするという前提で算出してみます。
自営業の夫婦の場合、年金だけだと20年で2832万円のお金が追加で必要です。この場合、35歳から65歳までの30年間で、月に約7万8000円を貯金する必要があります。
夫婦どちらかが会社員か公務員の場合は20年で720万円のお金が必要になります。この場合、月に約2万円貯金する必要があります。
夫婦共働きで会社員または公務員の場合は、受給できる年金額のほうが多いため、不足する資金はないと言えます。
必要な貯金額が多く厳しい場合には
大きな金額が必要になるのは老後だけではありません。子どもの養育費やマイホームの頭金、急な病気やけがの治療費など、まとまった金額を必要とする場面は数多くあります。
これからの人生で必要なお金を全て貯金のみで賄おうとすると、毎月の貯金額はさらに増え、貯金は難しいと感じる人も多いでしょう。
そこで、貯金だけではなく、お金を投資してお金自体に増えてもらうようにするという選択肢も必要になってきます。投資には、公社債の購入や個人年金保険への加入、投資信託商品を購入するなどの方法があります。
投資信託とは
投資信託は、NISAの対象商品として気になっている人も多いのではないでしょうか。投資信託とは、投資家たちから集めたお金を1つの大きな資金としてまとめ、投資運用の専門家が株式や債券に投資・運用するというものです。
元本保証されている投資ではありませんが、そのぶん利率は高くなっています。
例えば、人気の投資信託の「オールカントリー」で30年間投資した場合の平均金利は、8.7%です。
投資信託への投資は長期的に行うほうが収益が安定し、損をするリスクが少なくなります。
そのため、投資信託へ投資する場合はできるだけ早くに開始し、30年など長期で運用することが望ましいと言えます。
投資する場合に必要な金額
貯金のみで老後資金を貯める場合と同じく、65歳を定年として、35歳からの30年で必要な額を投資で用意すると仮定しましょう。その場合において年利3%で投資をした結果をシミュレーションしてみます。
夫婦ともに自営業の場合、2832万円貯めるには、毎月約5万円の投資が必要です。貯金だけの場合より約2万8000円少ない額ですみます。
夫婦どちらかが会社員か公務員の場合、720万円貯めるには、毎月約1万3000円の投資が必要です。貯金だけの場合より7000円少ない額ですみます。
まとめ
年金暮らしを始める老後にいくら必要で、そのために現役時代から毎月どのくらいお金を貯める必要があるのかを計算しました。
人生において、マイホーム購入や子どもの養育費など、老後資金以外にもお金が必要な場面は数多くありますので、なかなかお金が貯まらないと感じている人も一定数いるでしょう。
投資は自己責任ではあるものの、貯金のみの場合に比べて月々に貯める必要のあるお金が少なくなります。自身が投資に対してどれくらいのリスクを許容できるのかを考え、自分に合ったお金を貯める方法を考えてみてはいかがでしょうか。
出典
総務省統計局 家計調査報告―月・四半期・年―
執筆者:沢渡こーじ
公認会計士
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