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【5歳ごとに比較】年金は「60歳」「65歳」「70歳」どの年齢で受け取り始めると手取りが多い?

ファイナンシャルフィールド / 2024年2月27日 6時40分

【5歳ごとに比較】年金は「60歳」「65歳」「70歳」どの年齢で受け取り始めると手取りが多い?

老齢年金は、受け取り始める年齢によって受給金額が変動します。65歳に受け取るか、あるいは65歳の前後で受け取るかで金額の計算が異なるためです。   さらに、年金からも社会保険料や税金は引かれるため、額面通りの金額が受け取れるわけではありません。   今回は、年金の手取り額を計算する方法や、受け取る年齢ごとの金額についてご紹介します。

老齢年金の手取り額を計算する方法

年金も給与と同じように社会保険料や所得税、住民税などの税金が引かれます。
 
年金の所得は「公的年金等に係る雑所得」に分類され、給与所得とは所得の計算方法が異なる点が特徴です。単身者の年金の手取り額は以下の流れで計算します。

1 公的年金に係る雑所得を求める
2 介護保険や国民健康保険といった社会保険料を求める
3 公的年金に係る雑所得から社会保険料と基礎控除を引く
4 所得税と住民税を求める
5 年金の金額から社会保険料、所得税、住民税を引く

公的年金に係る雑所得は、表1のように65歳未満か65歳以上かで金額が変動します。
 
表1

公的年金などの収入額 公的年金等に係る雑所得の計算式
65歳未満 60万円以下 0円
60万円超130万円未満 収入額-60万円
130万円以上410万円未満 収入額×0.75-27万5000円
410万円以上770万円未満 収入額×0.85-68万5000円
770万円以上1000万円未満 収入額×0.95-145万5000円
1000万円以上 収入額-195万5000円
65歳以上 110万円以下 0円
110万円超330万円未満 収入額-110万円
330万円以上410万円未満 収入額×0.75-27万5000円
410万円以上770万円未満 収入額×0.85-68万5000円
770万円以上1000万円未満 収入額×0.95-145万5000円
1000万円以上 収入額-195万5000円

※国税庁「高齢者と税(年金と税)」を基に筆者作成
 
年金受給者の保険料は、自治体によって異なります。自治体のホームページなどに掲載されているケースもあるので、チェックしておきましょう。
 
また、財務省によると、税金を求める際、所得税の基礎控除は最大48万円、住民税の基礎控除は最大43万円であることが分かりました。
 
所得税の税率は累進課税を採用しており、所得によって表2のように変わっていきます。なお、所得税では所得の1000円未満は切り捨てて考えます。
 
表2

課税所得 税率 控除額
1000円から194万9000円まで 5% 0円
195万円から329万9000円まで 10% 9万7500円
330万円から694万9000円まで 20% 42万7500円
695万円から899万9000円まで 23% 63万6000円
900万円から1799万9000円まで 33% 153万6000円
1800万円から3999万9000円まで 40% 279万6000円
4000万円以上 45% 479万6000円

※国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.2260 所得税の税率」を基に筆者作成
 
課税所得に所得割である10%をかけ、税額控除額を引くと所得割額が算出され、所得割額に均等割の5000円を足した金額が住民税です。
※出典:総務省「個人住民税」
 

60歳、65歳、70歳で200万円の年金を受け取った場合の手取り額

同じ年齢でもさまざまな条件によって金額は変動するため、今回は条件を以下として計算します。

●60歳で定年退職
●65歳で受け取る年金額は老齢基礎年金と老齢厚生年金を合計して200万円
●住所は東京都新宿区
●昭和37年4月2日以降生まれ単身世帯
●住民税課税世帯

 

60歳

60歳の年金受け取りは、繰上げ受給になります。繰上げ受給では、繰り上げた月数に応じて受け取れる年金額が減少します。
 
65歳から60歳まで繰り上げると、減額率は最大24%です。つまり、年間で受け取れる年金額は200万円から152万円に変わります。金額を基に計算すると、表3の通りです。
 
表3

公的年金に係る雑所得 社会保険料
(国民健康保険料と介護保険料の合計)
公的年金に係る雑所得から社会保険料を引いた額 所得税 住民税
86万5000円 12万5630円 73万9370円 1万2950円 3万5937円

※上記内容を基に筆者作成
 
これらにより、60歳で繰上げ受給した場合の年金手取り額は134万5483円であることが分かりました。
(年間受取総額152万円から社会保険料・所得税・住民税を引いた金額)
 

65歳

繰上げ受給や繰下げ受給をしなければ、65歳から年金を受け取ります。年金額は200万円なので、公的年金に係る雑所得などを計算すると表4の通りです。
 
表4

公的年金に係る雑所得 社会保険料
(国民健康保険料と介護保険料の合計)
公的年金に係る雑所得から社会保険料を引いた額 所得税 住民税
90万円 18万9653円 71万347円 1万1500円 3万3035円

※上記内容を基に筆者作成
 
65歳で受給した時の手取り額は176万5812円です。
(年間受取総額200万円から社会保険料・所得税・住民税を引いた金額)
 

70歳

年金を70歳で受け取る場合は、繰下げ受給になります。繰下げ受給では、受け取りを遅らせた月数に応じて増額した年金を受給可能です。
 
70歳まで繰り下げると、42%増額した金額になるため、年間で受け取れる年金額は284万円になります。
 
表5

公的年金に係る雑所得 社会保険料
(国民健康保険料と介護保険料の合計)
公的年金に係る雑所得から社会保険料を引いた額 所得税 住民税
174万円 27万7889円 146万2111円 4万9100円 10万8211円

※上記内容を基に筆者作成
 
各金額より、70歳で受け取った場合の手取り額は240万4800円です。
(年間受取総額284万円から社会保険料・所得税・住民税を引いた金額)
 

遅く受け取ったほうが手取りも多い

年金は、受け取り始めるタイミングを遅くするほど受け取れる金額は多くなります。
 
しかし、諸事情で60歳以降は働かない方もいるでしょう。その場合、受け取りを早くしたほうが金銭的な不安は軽減される可能性もあります。
 
年金受給開始のタイミングは、自身のライフプランを考えたうえで決めることが大切です。
 

出典

国税庁
 高齢者と税(年金と税)年金等に係る雑所得の計算方法 ◇公的年金等に係る雑所得の速算表

 タックスアンサー(よくある税の質問)No.2260 所得税の税率
財務省 所得控除に関する資料
総務省 個人住民税
新宿区
 保険料の計算方法について 保険料率等について【令和5年度の保険料率等】

 介護保険料の決まり方 65歳以上(第1号被保険者)の方の介護保険料(令和3年度~令和 5年度)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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