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たった1年で、支給された有給休暇の8割を使いました。「やる気なし」とみなされて出世に関わるでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年2月28日 9時0分

たった1年で、支給された有給休暇の8割を使いました。「やる気なし」とみなされて出世に関わるでしょうか?

入社後、一定の要件を満たしていれば誰もが有給休暇を使えるようになります。有給休暇は、毎年付与されるもので、勤続年数に応じて日数も増えていきます。   それでも、たくさん使うと「やる気がない」とみなされ、昇格やボーナスに影響するものなのでしょうか。今回は、その年に支給された有給休暇のほとんどを年内消化した場合に昇格や昇給に影響を受けるのかどうかを解説します。

有給休暇が付与される条件とは?

有給休暇の付与条件は「入社してから6ヶ月継続して勤務していること」「出勤日が全所定労働日の8割を超えていること」です。有給休暇は、週所定労働日数が1日でもあれば付与されるもので、正社員であってもパート勤務であっても関係ありません。
 
年間に付与される日数は、勤続年数や雇用形態などによって変わります。例えば、正社員など通常勤務の労働者は、はじめの6ヶ月を経過した時点で年10日間、1年6ヶ月を過ぎると年11日間付与されます。以降年々増えていき、6年6ヶ月以上の年20日間が付与される上限です。
 
なお、条件の1つである「入社後6ヶ月の継続勤務」ですが、この中には試用期間も含まれます。試用期間を経て正社員になったばかりの人でも、年10日間の有給休暇を使えるようになります。
 

有給休暇はあまり使わないほうがよい?

有給休暇は、労働者が自由に取得日を指定できますが、なかなか取らないときに取得させるのは使用者の義務です。
 
これは、労働基準法第三十九条で「使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。」と定められています。
 
取得させる義務を負うのは、年10日間以上の有給休暇が付与される労働者に対してです。年10日以上の有給休暇が付与された労働者には、5日間は取得させなければなりません。
 
つまり、労働者は付与された有給休暇を積極的に使う必要があります。あまり使わないほうがよいどころか、付与された日数はきちんと消化していくのが労働者の権利です。
 

8割以上の有給休暇を使った場合、昇格や昇級に影響する?

経営者や上司によっては、有給休暇を取る労働者に「有給休暇が多いと役職は与えない」「昇給は見送る」といった理不尽な対応をすることもあるでしょう。ところが、有給休暇取得が原因で不利益な扱いをすると違法行為になります。
 
労働基準法附則第百三十六条では、「使用者は、第三十九条第一項から第四項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」とし、有給休暇取得を理由にした不利益な扱いを禁じています。
 
不利益な扱いとは、例えば、減給やボーナス査定の低評価などです。もちろん、昇格させないことも該当します。
 
もしも、有給休暇の大半を消化したために給与やボーナスに影響を受けたときは、会社が労働基準法附則第百三十六条に抵触することになります。その場合は、管轄の労働基準監督署に相談するとよいでしょう。
 
ただ、今回のケースは会社側が実際に何かアクションを起こしたわけではなく、労働者が懸念しているだけです。労働基準法をきちんと守っている会社なら、有給休暇取得を理由に不利益な扱いを受ける可能性は低いといえます。
 

有給休暇のほとんどを消化しても出世にひびくことはない

有給休暇の8割を取得したところで、出世に影響を受けることはないといえるでしょう。有給休暇の取得は労働者の権利ですし、休ませるのは使用者の義務です。
 
もしも有給休暇取得を理由に会社が不利益な扱いをしてきたときは、労働基準法附則第百三十六条に抵触します。ボーナスの評価にひびいたり減給されたりしたときは、管轄の労働基準監督署に相談しましょう。
 

出典

e-Gov 法令検索 昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法 第三十九条
e-Gov 法令検索 昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法 附則 第百三十六条
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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