「空き家」を放置せずに積極活用の方法を考えよう! どんな活用方法がある?
ファイナンシャルフィールド / 2024年2月28日 23時20分
「親が亡くなったために相続した空き家がある」「老人ホームに入居したため空き家になった」といった事情で、現在空き家の数が急増しています。 行政サイドでも空き家の急増に対応するため、適切に管理されていない空き家に対して新たな指定基準を設け、放置に対して厳しい対応をするようになりました。空き家対策は「待ったなし」になりつつあります。
「空き家」が増え続けた要因
空き家になり誰も住まなくなると、戸建て住宅では家の損傷が進むだけでなく、樹木や雑草の繁茂、野生動物の繁殖、付近の治安の悪化などをもたらします。
日本でこれだけ空き家が増えた要因としては、人口減少が進むにもかかわらずマンション等の新築が増加している、親の居住していた家に住むことを選択しない子どもが多い、高齢となり老人ホームに入居後も誰も住まず放置されている、などさまざまな要因があります。
とくに親から相続した家を、整理できずそのまま放置しているケースが目立ちます。これまでは建物がある宅地については特例が認められ、固定資産税などの優遇措置が受けられていました。
そのため、相続後でゆっくり利用方法を検討しようとしたり、相続人同士で合意ができないためとりあえず空き家にしたりするケースが多かったようです。
しかし今後は、放置すること自体がマイナスとなることが多く、対応が求められます。とくに親が住んでいたから残したい、自分が育った家なので残したいという判断基準は通用しなくなるといえます。
「とりあえず」の発想はやめる
突然であれ、ある程度予想できた事態であれ、これまで多かった「とりあえず空き家としてキープ」という発想はやめたほうがよさそうです。
とくに親が大都市ないしその近郊に住んでいた場合は、戸建てでは建物ごと売却か更地にして売却を検討し、売却しないときは賃貸住宅にできるか、といった方法を検討することをお勧めします。ただし地方の土地や建物は、売却や賃貸が難しいかもしれません。
親世代も、高齢や病気が要因で老人ホームに入居することを決断した際は、子どもとも相談し自宅の処分を真剣に考えることです。売却ができれば、老人ホームに対する支払いにも余裕をもって対応でき、必要な家財道具はレンタルルームに預けてもいいはずです。
相続であれ老人ホームへの入居であれ、空き家が発生すると、どうしても財産として残したいとの希望があるかもしれません。その場合可能であれば、リフォームにより賃貸住宅として再生させることです。コストはかかりますが、空き家のために支払う固定資産税や、管理のための費用が軽減されることは間違いありません。
リフォームのコストがかかる、賃貸として利用するには立地が悪いとの結論が出たら、やはり売却を検討すべきでしょう。その際、「とりあえず」との発想は捨て、早い時期に実行に移すことをお勧めします。
まず賃貸が可能かを調べる
とくに都市部の空き家の場合、そのまま放置せずに、他人に貸すことの検討をしてみましょう。相続人同士の合意など、すぐに売却という決断は結構困難かもしれません。
その際に考えるのが空き家を保持したまま貸す方法です。ポイントとなるのが、地域の家賃相場と貸すためにかかる費用の計算です。売却もしない、賃貸もしないで空き家を放置しておくメリットは、ほとんどありません。
相続した住宅の魅力が、他人の眼から見てどうかがかなり重要です。都市部に位置していることがかなりポイントになりますが、駅までの距離、スーパーやコンビニの存在、騒音などのない静穏な環境など、どの程度条件が良いかが問題になります。付近を知る不動産業者に出向き、実際の家賃相場を確認することが大切です。
次に必要なことは、現在の住宅をどの程度リフォームするかです。築年数が古い建物であれば改修費用は高くなります。高齢の親が住んでいた住宅を、若い世代に貸そうと思えば、それだけ改修費用は高くなります。ニーズとコストを見極め、収支計算の表をつくりましょう。
コストをかけて修繕しても、そのコストを回収するために20年もかかるようでしたら、要検討です。空室状態が続きそうだ、家賃を下げざるを得ない情勢になる、といったことでは、賃貸に踏み切れないかもしれません。
売却は大きな選択肢になるが
賃貸を検討したとしても、リフォームのためのコストがかかる、近隣に賃貸物件が多く空室になりそう、といった不安がある場合は、売却が大きな選択肢になります。
何も考えずに、「思い出の詰まった家だから」とか「相続人同士の合意が得られないから」といった理由で、空き家のまま放置しておくことが最も危険です。時間がたてばたつほど、行動を起こすことが面倒になってしまいます。空き家に対する行政の対応も今後厳しくなるため、決断は早くすべきです。
実際に売却できるのか、どのくらいの価格で売却できるかも大きな問題です。大都市の住宅地にある土地や集合住宅であれば、問題なく価格がつきます。建物付き土地よりも更地のほうが高く売れる場合は、建物の解体費用が発生しても、更地にして売却しましょう。
マンションなどの集合住宅の場合は、築年数にもよりますが、リフォームが必要になるかもしれません。多少手を加えることで売却できる場合は、売却を考えましょう。
人口減少社会が現実となり、今後不動産価格が上昇する可能性は、地域の特殊事情がないかぎり、非常に低いと考えられます。放置することで、売却の機会を失うことは避けるのが賢明です。
問題となるのは都市近郊や地方の土地付きの住宅です。農村の限界集落や都市近郊の交通の不便な地域の土地については、期待する価格での売却は、ほぼ不可能と考えるべきです。
都心に居住している方が相続した場合は、セカンドハウスとして利用できるかも検討しましょう。利用しないまま放置すると、固定資産税だけでなく各種の維持費用が発生します。もし公共用地として無償で行政に提供できれば、それでもよいと考えましょう。
執筆者:黒木達也
経済ジャーナリスト
監修:中嶋正廣
行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。
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