2021年から発行されている新500円玉。 そろそろ自販機にも対応してほしいです…。そもそも、なぜデザインが変わったのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年2月28日 10時40分
2021年11月1日から「新500円玉」が発行されています。ただ2024年2月現在では、流通量がまだまだ旧500円玉に遠く及ばないことから、実物を手にしたことがない人もいるでしょう。 また、新500円玉を手にした人からは、「自販機で使えない」という不満の声が少なくありません。一体なぜ、このような事態になっているのでしょうか。新500円玉が発行された理由などとともに解説します。
新500円玉が発行された理由とは
2021年11月1日に新500円玉が発行された主な理由は「偽造防止」です。貨幣(硬貨)や紙幣は、発行から長い時間が経過すると、偽造の可能性が高まります。
そのため、お金を発行する政府や日本銀行では、新しいデザインや偽造防止技術を施すことによって、偽造を防いでいるのです。なお、今回発行された新500円玉には、「バイカラー・クラッド」と、「異形斜めギザ」という2種類の新たな偽造防止技術が搭載されています。
・新たな偽造防止技術「バイカラー・クラッド」
従来の500円玉の素材はニッケル黄銅の1種類でしたが、新500円玉には白銅と銅が追加されています。この3種類の素材を組み合わせることで真偽の判定精度を向上させたのが、バイカラー・クラッドと呼ばれる偽造防止技術です。
バイカラー・クラッドでは、まず2種類の素材でできた金属板を、「クラッド」と呼ばれる技術でサンドイッチ状に挟み込んで円板状にします。次に、「バイカラー」と呼ばれる技術を使って、この円板を別の種類の素材でできたリングに挟み込めば完成です。
・新たな偽造防止技術「異形斜めギザ」
500円玉の側面にあるギザは斜めになっています。これは、偽造への抵抗力を高めるために用いられている「斜めギザ」といわれる技術です。新500円玉では、この斜めギザの一部の形状が、他のギザと異なっています。これにより、偽造防止力が、技術的にも視覚的にも一層高められています。
新500円玉が使える自販機が少ないのはなぜか?
新500円玉が使える自販機が少ないのは、流通している枚数が少ないことと、新たに搭載された偽造防止技術が原因です。財務省は、新500円玉の発行枚数を、2021年が2億枚、2022年が3億6500万枚、2023年が3億5000万枚と公表しています。そのため、3年間の合計枚数は8億7000万枚です。
一方、2020年までの旧500円玉の流通枚数は、約48億枚となっています。つまり、2023年時点では、まだ多くの人が従来の500円玉を使っているということになります。
このような状況であるため、自販機の多くも旧500円玉に対応した機器がほとんどです。自販機には、貨幣の種類や真偽を瞬時に見分けるために、貨幣の特性を読み取るためのプログラムが組み込まれています。ところが、ほとんどの自販機のプログラムは、旧500円玉に対応したままです。
新500円玉にも対応できるようにするには、ソフトウエアを交換するか、自販機自体を新しくする必要があります。どちらもコストがかかりますが、新500円玉の流通量が少ないことから、新たな設備投資に踏み切る自販機設置者は多くないのが現状です。
新旧の500円玉が入れ替わるのはいつになる?
新500円玉が使える自販機が少ない原因は、その流通量の少なさにあることが分かりました。問題は、いつになれば新旧の500円玉が入れ替わるかです。旧500円玉は、40年近くかけて48億枚まで増やしてきました。
その事実を踏まえれば、新旧の500円玉が完全に入れ替わるには、同程度の年月が必要になる可能性も考えられます。半分が新500円玉に入れ替わるとしても、20年近くかかる可能性があるでしょう。
財務省によると、500円玉の流通量は1982年の発行開始以来、総じて増加傾向にあります。新500円玉の発行に伴って、旧500円玉は発行が停止されました。そのため、この先も500円玉の需要が高まり続ければ、より早く新500円玉に入れ替わっていく可能性もあるでしょう。
新500円玉が増えるのを気長に待とう
2021年11月1日に新500円玉が発行されたのは、偽造防止が主な理由であることが分かりました。偽造防止は大切ですが、新500円玉には、使える自販機がまだまだ少ないといった不便な面があるのも事実です。
ただ、徐々に流通量が増えるに従って、新500円玉が使える自販機も増えていく可能性が高いです。流通量が多い旧500円玉はこれまで通り使えるため、あまりイライラせずに、新500円玉が増えるのを気長に待ちましょう。
出典
財務省 我が国の通貨と決済を巡る現状
財務省 令和5年度の貨幣の製造枚数を定めました
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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