「子どもがやったことだから」では済まされない! 本屋で1冊万引すると、店側の損失はどれくらい?
ファイナンシャルフィールド / 2024年2月29日 10時20分
万引は犯罪です。そのため、大人であれ子どもであれ、決してしてはなりません。しかし、子どもにはただ法律で決まっているからというだけでなく、その行為がどれほどの影響を及ぼすのかを教えることも大切です。そこで今回は、もしも本屋で本が1冊万引された場合、それが本屋にとってどのような被害になるのか、詳しく解説します。
本が流通する仕組みとは?
まずは出版流通の仕組みについて理解しておきましょう。出版社によって作られた本は、通常取次会社に卸されます。取次会社は本の卸問屋のようなもので、書店の多くは出版社と直接契約するのではなく、この取次会社と契約することで本を仕入れているのです(委託制度)。
そうして書店は本が売れた場合には取次会社に卸値を支払い、売れ残った場合には取次に返品します(再販制度)。このような委託制度と販売制度があるため、本はどの書店でも同じ価格で販売されているのです。また、仮に本が売れ残ってしまっても、本屋は損をしないようになっています。
ただし、委託制度と再販制度にはメリットだけでなくデメリットもあります。それは、卸値の高さです。先述したように、本は書店で売れ残ってしまった場合、取次会社を経由して出版社に返品されます。このことは、出版社にとってはあまりに不利な契約条件だといえるでしょう。そのこともあって、本は他業種と比較しても比較的高い卸値で出版社から取次に卸されます。
卸値の価格は出版社や取次会社によって異なりますが、多くの場合、定価のおよそ7割です。例えば、1000円の本が書店で売れた場合、そのうちの700円は出版社の利益になるということです。これに加え、取次会社がおよそ1割をマージンとして受け取ります。その結果、書店が受け取る利益はわずか2割になるというわけです。
1冊の本が万引された場合の損失はいくら?
本屋は本を委託販売している(返品できる)ため、1冊売っても取り分はわずか2割になっています。その本がもしも万引されてしまったら、どうなるでしょうか。返品をしない場合、本屋は取次や出版社にその本の料金を支払わなければなりません。
ところが、実際には売れたわけではないため、その料金は本屋が負担することになります。つまり、もしも本屋がその万引された分を売り上げで穴埋めするなら、本屋は同じ本を5冊売らなければならなくなるのです。
しかも本屋は、この2割の利益の中から店舗の家賃や従業員の人件費などを捻出しなければなりません。その結果、実際の利益は1割や1割以下になってしまうこともあります。その場合、本屋は万引された本の損失を補うため、同じ本を10冊売らなければならなくなるでしょう。
本が1冊万引された場合の本屋の負担は甚大!
多くの本屋は本を委託で販売しています。そのため、本屋が1冊の本を売ることで得られる利益は、本体価格のわずか2割程度でしかありません。その結果、本が1冊万引されると、本屋は同じ本を5冊売らなければ元が取れない、ということになってしまうのです。万引された場合に本屋が受ける被害は甚大です。それが本屋を閉店に追い込んでしまう場合もあることをよく覚えておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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