国民年金の資格期間が「10年未満」です。60歳の今から払うことはできますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年3月1日 9時20分
国民年金保険料を支払う余裕がなかった、加入していなかったなどの理由で、国民年金の受給資格期間が10年未満の場合は受給資格がありません。 年金は、老後資金をまかなうための重要な収入なので、何とかして受給資格期間が10年を満たせるようにしたいところです。そのような場合、「任意加入制度」によって60歳以降も国民年金保険料を納付することを検討してみてください。 本記事では、国民年金の受給資格をはじめ、任意加入制度について解説します。
国民年金の受給資格
国民年金は、以下の資格期間を合算して10年以上の受給資格期間がある人に受給権が発生します。
・国民年金保険料の納付済期間:20歳から60歳までの国民年金加入期間のうち、第1号被保険者として保険料を納付した期間、厚生年金保険や共済組合等の加入期間、第2号被保険者の配偶者である第3号被保険者だった期間
・国民年金保険料の免除期間:国民年金の第1号被保険者が、加入期間のうち納付すべき保険料の全額または一部を免除された期間
・カラ期間と呼ばれる合算対象期間:老齢年金の受給資格期間には加えられるが、年金額には反映されない期間
以前は、受給資格期間が原則25年以上でしたが、法改正(公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律)によって平成29年8月1日以降は10年以上で年金の受け取りが可能になりました。
原則65歳から受け取れるが繰下げ受給で年金を増やすこともできる
国民年金は、10年の受給資格期間を満たした場合に、原則として65歳から受け取りが可能です。
ただし、国民年金は必ず65歳から受け取らなければならないわけではありません。年金の繰下げ受給によって、受取開始年齢を66歳以降75歳までに遅らせることもできます。年金の受取開始を1ヶ月遅らせるごとに0.7%の増額率が適用し、75歳まで繰下げた場合は84.0%まで受給額を増やせる制度です。
一度適用した増額率は生涯にわたって継続するため、年金額を効率よく増やせます。
任意加入制度で60歳から国民年金を支払える
やむを得ない事情があって国民年金保険料を納付できなかった、加入していない期間があって受給資格期間が10年に満たない場合、任意加入制度によって60歳以降も保険料の納付が可能です。ただし、任意加入するためには、以下の条件に該当する必要があります。
・日本国内に住所がある60歳以上65歳未満の人
※日本国籍を有していない人で、在留資格が「特定活動(医療滞在あるいは医療滞在者の付添人)」「特定活動(観光や保養などが目的の長期滞在あるいは長期滞在者に同行する配偶者)」で滞在する人を除く
・国民年金(老齢基礎年金)の繰上げ支給を受けていない
・20歳以上60歳未満までの人で保険料の納付月数が40年(480ヶ月)未満
・厚生年金保険や共済組合などに加入していない
上記以外に「年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の人」「20歳以上65歳未満の外国に居住する日本人」であれば、任意加入して国民年金保険料を納付できます。また、年金の受給資格期間が長くなるほど受け取れる年金額を増やせる以外に、一定の要件を満たせば障害基礎年金や遺族基礎年金の受け取りが可能です。
任意加入する際には「基礎年金番号通知書または年金手帳などの基礎年金番号を確認できる書類」「預貯金通帳」「金融機関届出印」を用意し、住んでいる地域の市区役所や町村役場の国民年金担当窓口で手続きを行ってください。
手続きは、60歳の誕生日の前日から行えます。ただし、加入は申し出のあった月となり、さかのぼっての加入はできないため、加入時には注意しましょう。
今から保険料を納めて受け取れる年金額を増やそう
国民年金を受け取れる要件は、10年以上の受給資格期間があることです。さまざまな事情があって国民年金保険料の納付が難しく、受給資格期間が10年に満たない場合は、住んでいる地域の市区役所、町村役場の国民年金担当窓口にて、任意加入の手続きを行ってください。
60歳以降も国民年金保険料を納付することで、年金額を増やしたり、一定の要件を満たせば障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取ったりできます。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
厚生労働省 年金を受けとるために必要な期間が10年になりました
日本年金機構 か行 合算対象期間
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 任意加入制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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