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「昇進よりもワークライフバランス」と言っている若者。それで老後資金は貯まるのでしょうか……。

ファイナンシャルフィールド / 2024年3月4日 23時40分

「昇進よりもワークライフバランス」と言っている若者。それで老後資金は貯まるのでしょうか……。

夢を大きく持ちすぎない若者が増えているといわれています。日本のバブルが崩壊しデフレが続いたことで、徐々にそうしたマインドが若い世代に植え付けられた可能性があるでしょう。   しかし、それでも生活はしていかなければいけません。やがて老後も迎え、働けなくなってからも生活費は必要となります。今回は、昇進よりもワークライフバランスを選んだ場合、老後資金が貯められるのかを考えてみましょう。

20代の7割以上が出世したくない?

東晶貿易株式会社運営の「転職サイト比較plus」は、令和4年に20代を対象とした、出世欲に関するアンケートを実施しています。
 
調査結果によると、「将来役職者になりたいと考えますか?」の問いに「はい」と回答したのは、わずか22.4%でした。「いいえ」の回答者は77.6%にものぼり、確かに多くの20代に出世意欲がないことがうかがえます。
 
出世したくない理由を尋ねたところ、「責任のある仕事をしたくない」の次に多かったのが「プライベートを大事にしたい」というものでした。
 
ビジネスコーチ株式会社実施の令和5年の「昇進・昇格に関する社員意識調査」の結果もみてみましょう。一般社員に対し、将来、管理職になることへの不安を尋ねたところ、「ワークライフバランスが保てるかが心配」と回答した人が多くの割合を占めました。
 
男性では20.8%となっており、特に女性では27.6%と高く、女性に限ってみればその他の不安を抑えてトップとなっています。
 
同調査は若い世代のみを対象としたものではないものの、一般社員に対して行っているため、若い世代も多く含まれているとみてよいでしょう。そのうえで、確かに昇進や昇格よりもワークライフバランスやプライベートを重視している様子がみてとれます。
 

役職によって異なる給与

厚生労働省の「令和4年 賃金構造基本統計調査」の結果によると、係長級の平均月給は36万9000円でした。係長級の平均年齢は45.4歳となっています。同調査によれば、45〜49歳の平均月給は34万9000円です。課長級の平均月給は約48万7000円で、平均年齢は48.8歳でした。
 
同年代の平均月給よりも14万円ほど多くの給与を受け取っていることになります。部長級の平均月給は約58万6000円で、平均年齢は52.7歳です。50〜54歳の平均月給は約36万5000円なので、統計上は20万円以上も多くの収入を得ています。
 
データをみる限りは、やはり昇進・昇格するほどに給与が上がるといえるでしょう。
 

出世しなくても老後資金は貯まる?

総務省統計局の令和4年の「家計調査」の結果をみると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、毎月の不足分が平均で約2万2000円となっています。単身世帯でも不足分は毎月約2万1000円です。仮に毎月2万円が不足するとした場合、20年間で480万円、30年間で720万円が足りなくなります。
 
同調査によれば、若い世代も含めた単身世帯の1ヶ月あたりの平均消費支出額は約16万2000円です。賃貸物件に住む場合は、地域にもよりますが、毎月25万円ほどの支出額となるケースも出てくるでしょう。
 
賃金構造基本統計調査によると、全体の平均月給は約31万2000円のため、手取りが25万円ほどと仮定した場合、それなりのボーナスを受け取らなければ、おそらく十分な貯金はできません。
 
年齢を重ねると昇進などをしなくても給与が上がるのが一般的です。一方で、プライベートでは結婚や出産などが考えられ、結婚したり子どもができたりすると、さらに生活費は増えます。それでも昇進や昇格をしないままでいると、老後の資金を貯めるのは非常に難しくなる可能性が高いでしょう。
 

昇進しないままでは老後資金を貯めるのは難しい

20代の7割以上が昇進や昇格に対する欲がないといった調査結果があります。プライベートやワークライフバランスを考慮してのことでしょう。
 
しかし、一般的には昇進に伴い、給与も上昇します。昇進しないままでいると、平均的な生活水準では貯金をするのが困難となりかねません。結果的に、老後資金が貯められないまま定年退職を迎えるおそれもあります。将来を考えれば、昇進は避けられないものとなるでしょう。
 

出典

東晶貿易株式会社 転職サイト比較plus 出世欲に関するアンケート(PR TIMES)
ビジネスコーチ株式会社 昇進・昇格に関する社員意識調査2023 (PR TIMES)
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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