簿記を知れば企業を知ることができる 学生時代にとった簿記という資格 これって稼げる?
ファイナンシャルフィールド / 2018年10月26日 9時30分
簿記を習得すれば世の中の見方が変わる!
そもそも簿記とは何なの?
広辞苑で調べてみると、簿記とは、『特定の経済主体の経済活動を主として貨幣金額によって捉え、その主体が所有・管理する財産の変動を帳簿に記録・計算する技法。記帳方式により単式と複式に分かれ、適用領域と記録・計算内容により商業簿記・工業簿記・銀行簿記・農業簿記・官庁簿記などにわかれる。』とあります。
要するに、お金の出し入れ、財産の増減、収益や損益および費用を一定のルールで記録することを指します。個人・法人問わず、お金の動きを記す手法です。
知る人ぞ知る「簿記」。知らない人でも、その名前だけは聞いたことがあるのではないでしょうか。
簿記を知れば企業を知ることができる
個人事業主から企業・公的機関を問わず、何らかの業を営む者は必ず簿記をつけます。
売り上げ、仕入れ、そして損益がどうなのかを簿記により記し、納税額を決める際にも役立てます。市場や商店の主によっては(実態は大半ですが)、自分では簿記ができないからと税理士に簿記対応を委託します。売上規模によっては、公認会計士に委託するのが一般的です。
企業により異なりますが、年に1~4回「決算」と称して、一定期間のお金の動きをまとめます。知る人ぞ知る「決算書」です。内容は「貸借対照表(B/S=Balance Sheet)」と「損益計算書(P/L=Profit and Loss Statement)」に大別されます。この決算書の内容が理解できれば、世の中の動きが見えてきます。
株式に投資をする際には、この決算書をじっくりと検証し、投資対象企業のこれまでの業績と、将来の業績予想を立てます。決算書は投資の判断をするために欠かせない重要な情報となるのです。投資判断の役に立つだけではなく、簿記の知識を習得すれば、世の中にある企業のことが見えてきます。
簿記は武器になる!専門職には厳しい時代の到来かも。
簿記の知識を趣味として習得する人もいらっしゃいますが、資格を取得すると有利になることが多いと思います。
売上規模にもよりますが、一般的に複数の従業員が在籍する企業は、簿記の知識を有する人材を採用・配置します。
本題にあるように、学生時代に取得した簿記資格は、将来どのような業種に就いても「武器」になることが多くあります。なにも簿記資格を取得したから、経理部・財務部もしくは総務部などに所属しなければならない、ということはありません。
仮に営業職を希望するとしましょう。企業は採用する際に、対人折衝能力が同レベルだと判断すると、「取引相手の決算書が読める営業」を採用する方が有利だとして、簿記有資格者の方を採用したくなります。
31年前に証券会社に就職した筆者も、入社3ヶ月後に資格取得を命令されたのが「証券外務員」と「簿記2級」でした。金融機関なので当たり前と言えば当たり前ではありますが、その資格取得の甲斐は多分にあったと思います。簿記の資格は金融機関だけではなく、いろいろな職種に「つぶし」が効くと思います。
一方、IoTの進歩・革新により、単なる決算書作成や日々の帳簿管理をする観点では、税理士や公認会計士といった専門職や、零細企業の経理部員の需要は減る可能性があります。
実は簿記は身近にある!
筆者は、業務である家計見直し相談を通して、スマホやPCで家計簿をつける方は日々増えていると実感しています。
買い物でもらったレシートを撮影するだけで自動的に記帳されたり、銀行の入出金やクレジットカードとリンクすれば、「仕訳(しわけ)」されて家計簿が作成されるアプリなどもあります。
「なに?!仕訳って?」と思われる方もいるでしょう。仕訳とは、お金の出し入れの種類や属性を細かく分類した勘定科目に分け、資産と負債に振り分けていくことです。
これって・・・まさしく・・・簿記です。IoT技術進歩のおかげで、簿記の知識・資格がなくてもスマホやPCで簿記をつけている訳ですね。
簿記資格は稼げるか
簿記の知識・資格はいろいろなケースで生かせます。
企業のCFO(財務責任者)として、証券会社や銀行などの金融機関への就職(特に銀行は昨今の超低金利環境とIoT化により、行員・社員の雇用は減るとの観測もあります)。
そして、本業・副業問わず、ご自身が投資家になる。
少子高齢化によって後継者不足が深刻になり、日本の人口構造は変化しています。その影響で、これまで大企業や専門家の間だけで行われてきたM&A(企業買収・合併)は、純資産規模の小さめな企業であれば、今やサラリーマンでも買収ができると言われています。
その際に、簿記の知識があれば、ただ単純に買うのではなく、その企業の財務面を見極めて買うことができます。
簿記の知識・資格を生かすことで、お金を稼ぐ機会はますます増えていくと思います。
簿記の知識・資格を通じて、企業の動き、そして世の中の動きを捉える洞察力を養えるのではないでしょうか。資格や知識の習得レベルにもよりますが、簿記は稼げる資格の一つだと思います。
Text:福本 眞也(ふくもと しんや)
FPコンシェル代表取締役
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