『野球しかやってこなかった』戦力外となって退団するプロ野球選手 引退して気づく厳しい引退後の生活
ファイナンシャルフィールド / 2018年10月28日 23時0分
![『野球しかやってこなかった』戦力外となって退団するプロ野球選手 引退して気づく厳しい引退後の生活](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_27638_0-small.jpg)
2018年のプロ野球シーズンもいよいよ大詰め。そして、ドラフト会議(新人選手選択会議議)についての話題がマスコミをにぎわせる季節です。 しかし、きびしいプロの世界。入団してくる新人がいるということは、「戦力外」となって退団する人たちもいるということです。今や、テレビ番組にもなっている戦力外選手のその後。その人たちはどういう道へ進むのでしょうか?
野球解説者になれたのは2名だけ
NPB(一般社団法人日本野球機構)が報道発表した「2017年戦力外選手/現役引退選手の進路調査結果」(※1)によると2017年に引退した126名のうち、NPBで選手契約、育成契約、コーチ契約ができた人は62名(49%)。BCリーグ、社会人野球などその他野球関係と契約できた人は22名(19%)。野球解説者になれた人はわずか2名(2%)です。
それとて、いつ契約が打ち切られるかはわかりません。その他一般企業に就職できた人が18名、自営を選んだ人が2名。この回答者は平均年齢が29.4歳、平均在籍年数が8.1年ということです。まだ平均30歳、その後の人生はまだまだ続くわけです。
実は日本のプロ野球は、退団後の保障が大リーグに比べてとてもお寒いと言われています。どうして日本のプロ野球選手が大リーグに挑戦するのか? もちろんプロとしてより高い水準で自分の技量を試したいということがメインです。しかし、とてもシビアな引退後も影響しているのではないでしょうか?
年金制度が終了した日本プロ野球界
かつて、日本のプロ野球には独自の年金制度がありました。1軍と2軍を合わせて10年以上選手登録されていたら、引退後、55歳から年間120万円が支給されるものでした。活躍したスーパースターのプロ野球の年金が毎月10万円……。しかも2011年には、財源不足を理由としてこの年金制度すら終了してしまいました。あこがれの野球選手の老後は、一部を除けばたいへんきびしいものといえそうです。
たとえば、5000万円の年俸をもらっていた選手が引退するとします。そうすると翌年には数千万円の税金がかかってくるでしょう。現役の間にたくさん貯金しておかないととんでもない事態に陥ることは火を見るより明らか。
大リーグの年金事情はどうでしょうか。
満額で年間約2000万円支給の大リーグ
米大リーグの場合は10年といわず、一日でも1軍(メジャー)に登録されれば、年金受給要件にあてはまります。マイナーからメジャーに上がることは死活問題なのですね。しかも、その年金は球団が全額負担してくれます。10年メジャーに在籍すると満額に達し、その年金額は年間約2000万円になるといわれています。(※2)
もちろん、まずメジャーに登録されること自体大変な難関。しかも10年間メジャー登録されるということは至難の業で、現在のところ、日本人では野茂英雄氏、松井秀喜氏、大家友和氏そしてイチロー選手の4人しかいません。いかに難しいことかわかります。ここに、いずれ大谷翔平選手などが加わるのでしょうか?
また、大谷選手とエンゼルスで同僚の田澤純一選手も年金満額支給の10年に近づいています。プロ野球ファンはご存じでしょうが、田澤選手は日本プロ野球界を経由せず、2008年にアマチュア球界から直接レッドソックスと契約し、メジャーに身を投じたことが大きな騒ぎとなりました。
それまでもマック鈴木氏と多田野数人氏が、日本プロ野球界を経ずに大リーグにわたりましたが、田澤選手は即メジャー契約を結んだことで注目を集めました。このような例を見ると「メジャーに行くなら早く……」と心が動く選手もいてもおかしくないかもしれません。
それだけの難関をくぐり抜け、大リークで名をなしたとしても、引退後にうまくいかないことも、もちろんあるでしょう。でも、メジャー登録されれば、老後の年金を見ても日本とはぜんぜん違います。有望選手が大リーグをめざすのは、単にアスリートとしての夢だけではなく、そういう「成功者への報酬」がケタ違いだということが影響しているのではないでしょうか?
※1 NPB(一般社団法人日本野球機構)「2017年戦力外選手/現役引退選手の進路調査結果」
※2 出典「スポーツビジネスの動向がよ~くわかる本」(湯淺真弥 著:秀和システム)
Text:藤木 俊明(ふじき としあき)
副業評論家
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