父子家庭が遺族年金を受けるためには(1) もし突然、妻が亡くなったら? 母子家庭の遺族年金と何が違うのか
ファイナンシャルフィールド / 2018年10月30日 10時0分
![父子家庭が遺族年金を受けるためには(1) もし突然、妻が亡くなったら? 母子家庭の遺族年金と何が違うのか](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_27795_0-small.jpg)
平成26年4月より、母子家庭だけでなく、父子家庭も遺族年金を受給できるようになりました。万が一、妻が亡くなった場合の遺族年金ですが、母子家庭の遺族年金の場合と比べて異なるのでしょうか。 父子家庭の遺族年金について全2回に分けて取り上げます。
高校卒業までの子がいると遺族基礎年金
父子家庭が国民年金制度から遺族基礎年金を受け取るための基本的な要件は、母子家庭の場合と同じです。妻が亡くなり、配偶者である夫と高校卒業までの子(一定の障害がある場合は20歳未満の子)が遺された場合に遺族基礎年金の対象となり、そういった子がいない場合は遺族基礎年金が受けられません。
夫がこの遺族基礎年金を受ける場合、年間779,300円に子の数に応じた加算(子が2人目までについては1人につき年間224,300円、3人目以降は1人につき年間74,800円)がされ、合計した額が遺族基礎年金の額になります(いずれも平成30年度の額)。
遺族基礎年金を受けるための亡くなった妻の要件とは?
遺族がその遺族基礎年金を受けるためには、亡くなった人が【図表1】の4つのいずれかに該当している必要があります。
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/52bf94db7949cd4da3d359d88ae6e63e.jpg)
高校卒業までの子(または障害のある20歳未満の子)がいることが条件ですので、妻は亡くなった時に若い場合も多いでしょう。若くして亡くなった妻は(2)(3)を満たしていないでしょうし、場合によっては④も満たしていないかもしれません。そうなった場合、残る(1)を満たす必要があるでしょう。
その(1)については「国民年金の被保険者」の死亡となっています。つまり、自営業者である第1号被保険者や会社員である第2号被保険者以外に、会社員の夫に扶養され、専業主婦だった第3号被保険者も含まれます。
夫婦共働き世帯も多いですが、夫が会社員で、妻が専業主婦の家庭もあるでしょう。夫の収入に頼り、扶養されていた側の専業主婦の妻が亡くなっても、亡くなった妻に保険料納付実績があり、保険料納付要件(【図表1】参照)を満たせば、亡くなった妻についての(1)の要件が満たされることになるでしょう。
なお、扶養に入っていた第3号被保険者期間は保険料の負担はありませんが、納付要件について保険料の納付期間としてカウントされることになります。
夫が収入要件を満たせば受給可能に
亡くなった人の亡くなった当時の要件を満たしただけでは遺族基礎年金は受けられません。夫や子は、妻が亡くなった当時、妻と同一世帯で同居している等生計が同じであることが要件です(生計同一要件)。
そして、遺族の収入要件があり、こちらも満たして初めて遺族基礎年金を受けられることになります。遺族の前年の収入(前年の収入が確定していない場合は前々年の収入)が850万円未満、あるいは前年の所得(前年の所得が確定していない場合は前々年の所得)が655万5千円未満であれば、父子家庭で遺族基礎年金を受けられるでしょう(【図表2】)。
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/82e897a8970536f55f0f678aebbf8f61.jpg)
もし、収入・所得がこの基準額以上だった場合でも、死亡日から概ね5年以内に基準額未満になることが明らかであれば、遺族基礎年金を受けられることになるでしょう。
Text:井内 義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
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