夫が内緒でへそくりを「100万円」貯めていました。これって夫婦の「共有財産」ですよね?
ファイナンシャルフィールド / 2024年3月17日 4時30分
一緒に暮らしていると、夫のへそくりを発見してしまうこともあるでしょう。見つけた方は、へそくりは夫婦の共有財産であると思いがちですが、実は、共有財産とされる場合と、そうではない場合があります。本記事では、どのような場合に共有財産として認められないのかをみていきましょう。
へそくりは財産分与の対象になる
へそくりとは、収入から支出を差し引いて、余ったお金からこっそり貯めておくというイメージがあります。これが、婚姻時の収入の中から貯めたお金だった場合には共有財産にあたるため、財産分与の対象になります。
へそくりは、このようなケースのほか、お金を誰から受け取ったか、どのように得たお金かによって、財産分与の対象にならないこともあります。
婚姻時に築き上げた財産は共同のもの
婚姻時に協力して築き上げた財産は、原則として夫婦の共有財産です。例えば、夫婦で貯めているお金のほか、夫婦の共同名義で購入した不動産、車、事業なども含まれます。
共有財産と特有財産
共有財産とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築き上げた財産で、夫婦双方に平等な所有権を持ちます。
一方、特有財産とは、民法第762条にあるように、夫婦のどちらかが婚姻前から所有していた財産や、婚姻中に自分の努力によって得た財産です。例えば、婚姻前の財産、親族からの相続や贈与などによって取得した株や不動産、自分のスキルや努力で得た収入であると認められたものなどが該当します。
離婚する際にへそくりはどうなる?
離婚する際に、へそくりが共有財産にあたるとされた場合は、財産分与の対象となりますが、特有財産にあたるとされた場合は、財産分与の対象になりません。
共有財産の場合は財産分与が必要
婚姻中に夫婦の共有財産から貯めた財産は、もともと夫婦双方に所有権があるため、金銭に限らず財産分与が必要です。金銭であれば、そのまま分割ができますが、例えば夫婦で共有する車の場合は、どちらが所有するかを決めて、所有しないほうが車の評価額の半分を現金で受け取る形で分けます。
所有しない場合は売却して、売却金を分割する形で分けます。不動産においても、そのような形で財産分与が必要です。原則的に夫婦が婚姻中に得た財産は、夫婦双方に所有権があるため、財産分与が必要になるでしょう。
特有財産の場合は財産分与の対象外
ただし、へそくりが婚姻前からの財産である場合や、自分の親族から贈与を受けた場合は、特有財産にあたるため、財産分与の対象外です。そのほかに、もともと所有していた家や土地などの不動産や株、婚姻中であっても自分のスキルや努力で得た収入だと認められた場合も特有財産にあたるため、財産分与の対象には該当しません。
しかし、特有財産であっても、その財産を夫婦の生活に使用していた場合や、その財産の維持・管理が相手の協力によってなされていた場合は、財産分与の対象となる可能性があります。
普段からお互いの収入やお金について話し合う機会が大切
お金に関する問題は、夫婦間のトラブルにつながり、場合によっては離婚の原因にもなりかねません。普段の会話の中で、お互いの収入と支出や貯蓄計画について、話し合うことが大切です。
お互いの収入・支出については、以下の内容を確認します。
・総支給額と手取額
・住居費や光熱費などの固定費
・食費や日用品などの変動費
・毎月の貯金額
・個人の趣味に掛かる費用など
将来的な目標については、以下の内容を確認しましょう。
・目標貯蓄額
・住まいは賃貸か持ち家か
・子どもを持つことについて
・子どもの教育費について(習い事や学習塾の費用など)
上記のような内容を話し合い、お金に関する共通の認識を持つことが大切です。お金に関する話題は話しにくいものではありますが、仲のよい夫婦間でも価値観の差はあるでしょう。ささいなずれが、後々、大きなトラブルやいさかいにつながることもあります。
なお、固定費や貯蓄の目標額、将来的な支出額について話し合った結果、生活に支障のない程度にへそくりを持つことが、夫婦円満の秘けつになることもあります。お互いの生活の中で、自身の趣味に使ったり、夫婦で旅行したりと、ちょっとした楽しみを持つのもよいでしょう。
ある程度の金額のへそくりを持つことも、話し合いがあったうえであれば寛容になれますし、お互いが趣味にお金を使うことで心に余裕が生まれれば、生活は豊かになるでしょう。普段からお金について、オープンに話せる関係を築くことが大切です。
夫婦間でお金について話をしよう
普段からお金について話し合いをしていると、お互いのお金に対する価値観などを把握できます。相手への理解を深めることで、信頼できる関係の構築が可能です。そして、お互いに家庭のお財布事情を知っていれば、将来のリスクにも備えられるでしょう。
出典
デジタル庁 e-Gov法令検索 民法 第四編 親族 第二章 婚姻 第三節 夫婦財産制 第二款 法定財産制 (夫婦間における財産の帰属)第七百六十二条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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