50代になって思う「長い老後、できるだけ他の人の助けを借りずに健康に過ごしたい…」 健康寿命と資産寿命を延ばす方法
ファイナンシャルフィールド / 2018年10月30日 22時30分
厚労省が公開した「平成29年簡易生命表」によると、日本人の「平均寿命」は男性「81.09歳」、女性「87.26歳」となっています。これは過去最高の年齢で、「悪性新生物(ガン)」の死亡率が下がったためだそうです。 医学は年々目覚ましい進歩を遂げていますから、今後ますます長寿が延び、人生100年時代になるといわれています。長くなった時間を充実したものにするためには、健康も経済も非常に大事です。 そして、助けを借りずに生活できる健康寿命は、平成28年の厚生労働省のデータでは男性「70.42歳」、女性「73.62歳」となっています。助けが必要になってくる期間が男性「9.13年」、女性「12.68年」あります。この健康な期間をどのように長くしていくのかが、豊かな老後を過ごすための重要な課題の1つとなります。寝たきりにならずに元気で過ごしたいものです。 加えて、資産寿命の長寿化です。退職後20年間の生活費と40年間の生活費では、年金生活になっていた場合、資金不足にならないように資産寿命を延ばす工夫が必要になってきます。 健康寿命を長くし、医療費、介護費用を抑えることができれば、資産寿命の長期化にもつながります。今回は、健康で生き生きと過ごすための方法について考えていきましょう。
健康寿命を延ばすのはなぜ大事? 生活習慣が健康寿命を長くします!
皆さまのご家族の方でご高齢の方はいらっしゃいますか? 70代半ばになると、私の両親もそうですが、他の人の助けなしでは生活ができなくなる方が増えてきます。
私の知人たちもそうですが、50代になると介護をしている人を多く見かけます。父が歩けなくなっていく過程を見ていたり、介護している母の大変そうな姿を見ていたりして、そうならないための事前の対策はとても大切に感じます。
厚生労働省の2015年の発表では、現在7人に1人が認知症、そして2025年には5人に1人といわれていて、身近な問題になってきています。
ある介護施設を訪問した際に教えていただいた、認知症になりにくくなる方法をご紹介いたします。それは、今すぐに始められ、日々の生活習慣を見直すことでできますから、とても簡単な方法です。
その方法とは、「食事の改善」なのです。食事をちょっと改善することで、健康寿命も寿命自体も延ばすことができることがわかってきたということです。
介護が必要になる原因について考えてみるとよく理解できます。主な3つの原因は
・脳心血管疾患・・・20~50%
・認知症・・・・・10~20%
・骨折・・・・・・10~20%
認知症の20%も脳血管疾患性ですから、脳心血管患系の病気にならないように食事を工夫していく、ということです。
健康寿命を延ばすための食事、何に注意すればよいの?
Natureという学術誌で発表されたサルの実験では、洋食と和食のグループに分けて比較した結果、和食のグループの方が癌や心血管疾患の発症が50%減少し、寿命でも人間の数値に置き換えて考えると、7年から8年長生きになったのです。この実験結果から、食事の取り方を工夫することで、将来の健康寿命を長くできるのではないかと考えられるのです。
病気になりにくい食材は、豆、果物、海藻、魚(青魚)、お米、発酵食品(みそ汁・納豆)、卵、乳製品などで、減塩を心掛けることが大切です。
この食材は、普段の食事に取り入れているものばかりです。アルコールを控え(週に2回程度)、緑茶を1日に3回飲むなど日々の生活でちょっとした心がけをするだけで、癌や心血管疾患になるリスクを大幅に下げられるのです。食事療法はお薬と同じような効果を得られるのですから、普段から食事に気を付けておきたいものです。
洋食を多量に摂ることで問題になるのは、飽和脂肪酸(動物性油)やトランス脂肪酸をたくさん摂ることにより起こるLDL(悪玉コレスレロール)の増加です。飽和脂肪酸やトランス脂肪酸は、お肉やパン、ケーキなどの原材料に多く含まれており、日本人でも摂取量が増えているので、摂りすぎには気を付けたいところです。
普段の食事がお肉や揚げ物中心なら、和食へと変えていくことで、癌や心血管疾患になりにくい体へと変えていくことができるのです。
健康寿命を延ばすと資産寿命も延ばす結果に!
人生80年といわれていた時からでは、人生100年時代といわれる現在では、年金生活を20年も多く過ごすことになります。生きがいを持って生き生きと過ごすためにも、年金以外の資金準備も必要になってきます。
しかし、どんなに資金面で余裕があっても、寝たきり状態になったり、意志の力が働かなくなったりしたら、豊かな老後とはいえないでしょう。健康だからこそ、趣味や生活を楽しむことができるのです。
資金面も準備しながら、健康に良い生活習慣へ変えていくことで、医療費・介護費用の節約にもなり、資産寿命を延ばすという結果につながります。もし、ずっと健康だったら、医療費が少額になり、その分を、他の資金に使うことができるからです。
生命文化センター調査では、病気で入院した時にかかる医療費の自己負担費用の平均は、約22万円となっています。高額療養費制度が使えるおかげで、金額的には大きくなっていません。しかし、癌の場合には継続的な治療が必要になることもありますし、保険適用外の高度医療など検討する場合も、医療費が高額になることも考えられます。
脳血管疾患の場合には、入院も長期な上に退院後にリハビリ施設に入院することも多いようです。その場合3割負担でも、自己負担額は月10万円、1割負担でも7.5万円ほどかかっているようです。長期のリハビリの場合には、さらに負担が大きくなりますね。
次に、介護が必要な状態になったときにはどれくらいかかるか見ていきましょう。
生命保険文化センターの平成27年度「生命保険に関する全国実態調査」では、介護の一時的な費用は約80万円、毎月7.9万円となっています。介護期間は平均59.1か月で、計算してみると約467万円です。一時金と合わせると約547万円にもなり、介護状態になった場合には多額の資金が必要になってくることがわかります。
介護は、ご家族の心身的なご負担と費用がかかります。介護施設を利用することも考えられますから、その場合はさらに費用が増えることになります。
もし健康で暮らすことができたら、これらの病気や介護の費用は必要なくなります。和食中心の食事に切り替えることで健康を維持し、医療費・介護費の節約ができれば、ご自分の楽しみを増やすこともできるようになりますね。
健康寿命を長くするための食事の気遣いを、今から始められてはいかがでしょうか?
Text:木田美智子(きだ みちこ)
CFP(R)認定者
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