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失業中で金銭的に厳しく、年金納付の免除申請をしようと考えています。将来貰える年金額などに影響はあるのでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年3月19日 23時0分

失業中で金銭的に厳しく、年金納付の免除申請をしようと考えています。将来貰える年金額などに影響はあるのでしょうか?

失業して厚生年金の被保険者でなくなった場合、国民年金保険料を納付する義務が生じますが、失業により保険料を納めることが経済的に困難な場合、保険料の納付免除を受けることができます。しかしながら、免除された額や期間に応じて、将来受け取る老齢基礎年金額が減額されます。   今回は、国民年金保険料の免除制度について詳しく解説します。

国民年金保険料の免除制度とは

失業したことにより、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合、居住する市町村役場や年金事務所に申請し、承認されると、保険料の納付が免除されることがあります(※1)。
 
免除の形は保険料の額で異なり、4分の1、半額、4分の3、全額の4種類があります。保険料の免除の種類ごとに、世帯主と配偶者の所得基準が下表のとおり規定されています。
 

免除の種類 所得基準
(前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内)
4分の1免除 168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
半額免除 128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
4分の3免除 88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
全額免除 (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

(※1を基に筆者作成)

なお、失業による保険料免除には特例制度があり、失業した事実を確認できる書類を提出することにより、前年度の所得に関わらず申請することができます。
 

将来受け取る年金額への影響は?

65歳から受け取る老齢基礎年金の額は、20歳から60歳になるまでの40年間に、国民年金保険料を納付した月数や厚生年金に加入していた期間を踏まえて、下式により計算されます(※2、3)。
 

 
従って、20年間(480月)保険料を全額納付した(または厚生年金の被保険者であった)場合、満額の81万6000円(令和6年度額)の老齢基礎年金を、65歳から受給することができます。これに対し、保険料を免除された期間がある場合は、保険料を全額納付した場合に比して、下表のとおり減額された年金額となります。
 

免除の種類 受給できる年金額
4分の1免除 保険料を全額納付した場合の年金額の8分の7
半額免除 保険料を全額納付した場合の年金額の8分の6
4分の3免除 保険料を全額納付した場合の年金額の8分の5
全額免除 保険料を全額納付した場合の年金額の8分の4

(※1を基に筆者作成)
 
つまり見方を変えれば「国民年金保険料を1年間全額支払うと、満額の老齢基礎年金額の480分の12に相当する、2万400円の年金を受給する権利を得られる」ということです。
 
そこで、国民年金保険料(令和6年度の月額1万6980円)の免除を1年間受けた場合の年金額(カッコ内は差額)を比較してみると、それぞれ下表のとおりとなります。
 

免除の種類 保険料の月額 割合 1年間支払った場合の年金額
免除なし 1万6980円 8/8 2万400円
4分の1免除 1万2735円 7/8 1万7850円(▲2550円)
半額免除 8490円 6/8 1万5300円(▲5100円)
4分の3免除 4245円 5/8 1万2750円(▲7650円)
全額免除 0円 4/8 1万200円(▲1万200円)
未納 未納 0/8 0円

(※1、2、3を基に筆者作成)
 
従って、国民年金保険料を1年間全額免除された場合、全額納付した場合に比して、将来受け取る老齢基礎年金の額が、1万200円少なくなります。なお、保険料の免除を受けることなく未納の状態を続けた場合、将来受け取る年金額には全く反映されません。
 

まとめ

失業によって収入が減り、国民年金保険料を納付することが困難になった場合には、保険料の免除制度を利用することができます。
 
保険料の免除には、4分の1免除、半額免除、4分の3免除、全額免除の4種類があります。このように保険料を免除された場合は、保険料を全額納付した場合に比して8分の1から8分の4減額された額が、将来受け取る老齢基礎年金に反映されます。
 
一方、保険料の免除を申請することなく保険料が未納である状態を続けると、将来の年金額が増えないばかりか、障害や死亡など万が一の事態に対する障害基礎年金や遺族基礎年金を受給できない場合がありますので、必ず免除の申請を行いましょう。
 

出典

(※1)日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
(※2)日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
(※3)厚生労働省 令和6年度の年金額改定についてお知らせします
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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