4月から相続登記の義務化開始! 登記をしないとどうなるの?
ファイナンシャルフィールド / 2024年3月20日 10時0分
![4月から相続登記の義務化開始! 登記をしないとどうなるの?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_278890_0-small.jpg)
相続登記が2024年4月から義務化されます。そもそもなぜ義務化されるのか、そして登記をしないとどうなるのか、ということについて解説します。
相続登記の義務化
相続登記の申請が2024年4月1日から義務化されます(※)。相続(分割協議)や遺贈により不動産を取得した人は、3年以内に相続登記をしなければなりません。
もし、正当な理由なく登記をしなかった場合は、10万円以下の過料の対象となります。また、2024年4月1日以前に相続している場合も3年の猶予はあるものの、同様の取扱いとなるため登記をする必要があります。
なぜ相続登記が義務化されるのか
今まで「義務」ではなかった相続登記がなぜ義務化されるのでしょうか。それは、相続登記がされていないため、所有者が分からない空き家や土地が増えているためです。そのため、国は相続登記の義務化に踏み切りました。空き地や空き家が増えると不動産取引の妨げや、その地域の活性化の妨げになる場合もあります。
一方、普段生活している中で「空き家が増えているな」と感じたところで、そこまで不便を感じないという人も多いのではないでしょうか。また、相続登記は面倒なうえに、時間もお金もかかるため、相続した不動産があるものの「先延ばし」をしている人もいることでしょう。
相続登記をしなかったら不利益をこうむるのか
先にも書いたように、普段の生活の中で「相続登記がされていなかったから困った」ということはほとんどないと思います。ところがこの「困った」が突然現れることがあります。それが「相続手続き」です。
亡くなった人が所有していた不動産は、相続手続きをして名義変更を行う必要があります。過去に登記が正しくされていれば特に問題はなく、スムーズにことは運びます。
しかし、過去に登記が正しくされていなかった場合は、大変です。何も知らずに亡くなった人(例えば親をイメージしてください)の不動産を自分(子をイメージしてください)に名義変更をしようと、法務局に手続きに訪れたとします。ところが、その不動産名義が自分の知らない「曾祖父」のものになっていたとしたらどうでしょう。
「『曾祖父』→『祖父』→『父親』→『自分』という流れでこの家を使ってきたのだから、少しは大変かもしれないけれど、大丈夫だろう。さっさと手続きを済まそう」、と思うかもしれません。しかし、そうはいきません。
例えば、祖父や父親に兄弟姉妹等がいたとします。すると、そのそれぞれが相続する権利があった人であり、さらにその人が亡くなっているとその子にも引き継ぐ権利が発生します。
つまり、本来であれば1回の相続ごとに多くの相続人がいたことになります。『曾祖父』名義のままになっていた不動産について、相続登記をして名義変更するとなると、その相続人全員の許可を取る必要が出てくるのです。
全国に曾祖父の子孫が広がっている場合などは、全国に許可を取りに回るといったケースも考えられます。この現実を見たときに、「自分で全部片づけてしまおう」という気持ちになれるでしょうか。なお、これは単なる1つの例にすぎません。
手続きを先延ばしにするか終わらせるか
先程の例のような事態に自分が直面した場合、手続きを先延ばしにしますか?それとも終わらせますか?
今までは「先延ばし」が多く見られました。地方では特にそのようなことが多く見られるようです。筆者も知人から同様の相談を受けたことがあります。
知人は「私も先延ばしにしようかな」と言っていたのですが、この義務化のこともあり、筆者は「先延ばしにして自分の子を同じように困らせるのは良くないのではないか」と説明をしました。すると知人も子に迷惑を残すのは良くないことだと感じたのか、気持ちを改めたようです。
罰則があるから相続登記をするというのも1つかもしれませんが、それだけではありません。相続登記がされていないと、例のように権利関係が複雑になったり、不動産を売却できなかったりと、面倒なことが重なることもあり得ます。
たしかに相続登記は面倒で時間と費用を伴います。避けたい気持ちも分かりますが、後世に面倒ごとを残さないためにも、相続登記を忘れることなく手続きを行いましょう。
出典
(※)法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
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