保険の基本をおさらいしよう! がん保険の内容について
ファイナンシャルフィールド / 2024年3月20日 2時20分
日本人の死因は、「悪性新生物(腫瘍)」つまり「がん」が最も多くなっています(出典:厚生労働省「令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況/表7 性別にみた死因順位別死亡数・死亡率(人口10万対)」)。 しかし、次のような統計もあります。男性・女性ともに一生のうちに「がん」になる人の確率は2人に1人であり、「がん」で死亡する確率は男性が4人に1人、女性が6人に1人だということです。このデータから、「がん」になる人は多いのですが、すべての方が「がん」で亡くなるわけではないということが分かります(出典:国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス「最新がん統計」)。 「がん」の闘病生活において、経済的な負担を軽くする目的の一つにがん保険があります。そこで本記事では、がん保険の一般的な内容について見ていくことにします。
がん診断給付金/がん診断保険金
「がん」と診断確定したときに、受け取ることができる一時金です。ちなみに一時金とは「ある程度、まとまった金額」のことですが、具体的には契約時に設定した金額のことで、例えば、「50万円」や「100万円」などです。
なお、一時金は1回だけではなく、「がん」と診断されると何度でも受け取ることができる商品も増えています。ただし、2回目以後は、前回から一定の期間(例えば2年間など)を経ていることなどの条件を設けている場合もあります。
入院給付金/入院保険金
がん保険の入院給付(入院保険)金は、「がん」の治療のために入院した場合に受け取ることができます。受け取ることができる金額は、契約時に設定した「入院1日当たりの給付金(保険金)額」に実際入院した日数を掛けた金額です。
例えば、「入院1日当たりの給付金(保険金)額」が5000円で、「がん」の治療のために入院した日数が10日間でしたら、5000円×10日間で、5万円の入院給付(入院保険)金を受け取ることができる、ということです。
なお、「がん」で入院したときに、がん保険とは別に、もし民間の医療保険の契約があれば、民間の医療保険からも入院給付(入院保険)金を受け取ることができます。
民間の医療保険の場合、入院給付(入院保険)金の受取額の計算対象となる入院日数に限度を設けているのが一般的です。しかし、がん保険の入院給付(入院保険)金には、受取額の計算の対象となる入院日数に限度はありません。
手術給付金/手術保険金
がん保険の手術給付(手術保険)金ですから、対象になるのは「がん」の治療のための手術に限定されます。その給付(保険)金額は、「入院1日当たりの給付(保険)金額」に倍率を掛けて計算します。商品によっては手術の内容に応じて倍率が3段階(10倍・20倍・40倍)になっていたり、一律に10倍や20倍になっていたりすることがあります。
例えば、「入院1日当たりの給付(保険)金額」が5000円で倍率が10倍の場合、受け取ることができる手術給付(手術保険)金の額は5万円ということになります。
手術給付(手術保険)金は原則、何回も受け取ることができる商品が多いですが、手術の内容によって受け取ることができる回数に限度を設けていることもあります。
通院給付金/通院保険金
「がん」の治療のために所定の日数入院し、退院後の通院に対して受け取ることができる給付(保険)金です。
商品によっては入院前の通院に対し、受け取ることができる給付(保険)金もあります。受け取ることができる金額が「通院1日当たりの給付(保険)金額」×通院日数です。ただし、通院給付(通院保険)金の対象となる通院の日数に限度が設けられています。
例えば、「がん」の治療のために20日間の入院、退院後10日間の通院だったとします。「入院1日当たりの給付(保険)金額」が5000円で、「通院1日当たりの給付(保険)金額」が3000円の場合、5000円×20日間+3000円×10日間で、受け取ることができる給付(保険)金の額は13万円ということになります。
まとめに代えて
冒頭に述べたように、がん保険は「がん」の闘病生活による経済的な負担を軽減するために加入する保険です。しかし、新たにがん保険を契約すれば新たな保険料が発生し、その分家計の支出が増えることになります。
がん保険の給付(保険)金を受け取ることができるのは、「がん」になったときだけです。貯金なら事情を問わず、いつでも払い戻しを受けることができます。
しかし、保険は四角、貯蓄は三角(保険はリスクに備えて保険料を支払っていれば損失をカバーするお金がすぐに確保できるが、貯蓄は少しずつしか増えない)という例えもあります。病気は好んでなるわけではありませんし、いつなるかも分かりません。闘病生活による経済的な負担を保険で賄うのか、貯金でカバーするのか、しっかり検討するとよいでしょう。
出典
厚生労働省 令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況
国立研究開発法人国立がん研究センター がん情報サービス 最新がん統計 1. 最新がん統計のまとめ
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役
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