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親が「年金生活」になったら、子どもの「扶養」に入るとお得になるって本当?「年収400万円」の会社員のケースで検証

ファイナンシャルフィールド / 2024年3月20日 4時20分

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現役世代から退いて年金生活をしている親を自分の扶養に入れることができれば、税金や健康保険料を節約できる可能性があります。   物価高騰などで家計が苦しくなってきている中、こうした制度を活用できれば家計の助けになるでしょう。本記事では親を扶養に入れたらいくら節約できるのか具体的に試算し、注意点なども解説しますので参考にしてみてください。

所得税・住民税の扶養控除を受けられる

親を扶養に入れると所得税は最大58万円、住民税は最大45万円の扶養控除を受けられます。
 

年齢によって控除額が異なる

扶養控除の金額は、親の年齢と同居の有無によって異なります。詳細は以下のとおりです。
 

【16歳以上70歳未満の場合※19歳以上23歳未満を除く】
・所得税:38万円
・住民税:33万円
 
【70歳以上で同居していない場合】
・所得税:48万円
・住民税:38万円
 
【70歳以上かつ同居している場合】
・所得税:58万円
・住民税:45万円

 
70歳以上の場合、同居しているかどうかで控除額に違いがあります。この同居は、1年以上の期間、病院に入院している場合でもメインとなる居所が同じ住居であれば適用されます。
 
一方で、老人ホームなどに入所している場合は、老人ホームが居所であると判断されるため、別居扱いとなり、同居している場合の控除金額は適用されません。
 

控除を受けるための条件

控除を受けるには、扶養しようとする親が、その年の12月31日時点で、以下の条件をすべて満たす必要があります。なお今回のケースは、親の収入は年金のみと仮定します。
 

・6親等内の血族(祖父母、父母、子など)、または3親等内の姻族(配偶者の祖父母、父母など)であること
・生計を一にしていること
・年金収入が65歳未満で108万円以下、65歳以上158万円以下であること
・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていない、白色申告者の専従者でないこと

 
自分と配偶者の両親、子どもは1親等、祖父母や兄弟は2親等、叔父や叔母は3親等のため、親であれば該当するでしょう。
 
生計を一にするというのは、同居しているかどうかだけで判断されません。個々の事情により別居している場合でも、仕送りをしたり生活の世話をみていたりするなどの状況であれば生計を一にしていると判断されます。
 

具体的にいくら節税できるの?

ここでは、課税所得が400万円の会社員が、親を扶養に入れる場合、所得税と住民税がいくら節税できるのか簡単に試算してみます(図表1)。
 
所得税は、先に説明した扶養控除額に、課税所得400万円の所得税率20%、住民税は10%を掛けることで節税額が算出できます。
 
図表1

    

所得税(20%) 住民税(10%)
控除額 節税できる額 控除額 節税できる額
16歳以上70歳未満
※19歳以上23歳未満を除く
38万円 7万6000円 33万円 3万3000円
70歳以上で同居なし 48万円 9万6000円 38万円 3万8000円
70歳以上かつ同居あり 58万円 11万6000円 45万円 4万5000円

国税庁「扶養控除」・東京都主税局「個人住民税」より筆者作成
 
例えば、親の年齢が70歳で同居している場合は、所得税11万6000円、住民税4万5000円を合わせた16万1000円を節税できることになります。なお、所得税率は所得によって異なるため注意が必要です。
 

親の健康保険料をおさえられる

親を、会社の社会保険の扶養に入れることで、親の健康保険料を節約できます。扶養する人数が増えても、本人の保険料は変わらないため、以下の要件を満たせば、扶養に入れるほうがお得と言えるでしょう。
 

・年齢が75歳未満である(75歳になると後期高齢者医療制度の対象になる)
・生計を一にしている(子の収入で生計を維持されている)

 

【収入の要件】

・同居の場合:年収が180万円未満かつ子どもの年収の2分の1未満である
・別居の場合:年収が180万円未満かつ子どもからの仕送り等の援助の金額より少ない
※60歳未満の場合は年収の部分は「130万円未満」になります。

 
税金と違い、所得ではなく収入額が判断基準となる点に注意が必要です。
 

親を扶養に入れる注意点

税金や社会保険料の面でのメリットが大きい反面、注意すべきなのが高額療養費の上限額です。高齢になると病院に行く機会も増え、医療費が高くなることもあるでしょう。
 
高額療養費は、かかった医療費が一定額以上になると払い戻してもらえる制度ですが、窓口負担の上限額は子どもの収入で判断されるため、扶養に入っている親の窓口負担が高くなる可能性があるのです。
 

まとめ

年金生活になった親を扶養に入れると、要件を満たせば所得税、住民税、健康保険料の面で有利になる可能性が高いでしょう。一方で高額療養費の自己負担の上限額は、子どもの収入で判断されるため、扶養に入らない場合より高くなる可能性があります。高額な治療を受けている場合は注意が必要です。
 

出典

国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 No.2260 所得税の税率
全国健康保険協会 被扶養者とは?
全国健康保険協会 高額な医療費を支払ったとき
 
執筆者:渡邉志帆
FP2級

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