28歳、投資初心者です。ネットで「初心者はS&P500を買えばいい」と見かけますが、実際どうなのでしょうか? 人気なら安心ですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年3月23日 2時10分
アメリカの株価が好調です。2024年1月からNISAの制度が新しくなって利用しやすくなったこともあり、投資を始めてみようと考えている人もいるのではないでしょうか。しかし、投資には注意しなければならないこともあります。本記事ではS&P500に投資するメリットやリスク、ポイントなどを解説します。
S&P500とは
S&P500とはアメリカの株価をもとにした株価指数です。米投資情報会社のスタンダード・アンド・プアーズ社がニューヨーク証券取引所やNASDAQなどに上場している銘柄から選ばれた500銘柄の株価をもとに計算しています。
S&P500に似たものにダウ平均株価があります。ダウ平均株価にはいくつかの種類があり、特に有名なのが「ダウ・ジョーンズ工業株30種平均」です。工業を中心にした30銘柄の株価から計算しており、銘柄数が30しかないため個別の株価の影響を受けやすい点がS&P500との大きな違いです。
両者の違いは、銘柄数だけでなく選定される銘柄にも特徴があります。S&P500は現在勢いのある企業が選ばれている点が特徴です。現在だとGAFAなどIT企業が上位を占めています。一方でダウ平均株価は単純に1株当たりの株価が高い銘柄が上位を占める点が異なります。
S&P500に投資するメリット
S&P500に投資するメリットは、以下が挙げられます。
・アメリカ経済をリードする企業に投資できる
・単一企業に投資するのではないため分散効果が期待できる
アメリカにはGAFAなど世界的な企業がいくつもあり、今後も成長が期待できます。実際にS&P500を長期的に見ると、短期的に下がることがあるものの、基本的には右肩上がりです。
現在世間をにぎわせているAIも米国の企業が主に主導しており、今後も成長が期待できるでしょう。
しかし、いくら成長が期待できるとはいっても、1社に投資すると業績悪化や倒産などのリスクが生じます。その点、S&P500は500銘柄の株価をもとにしているため、倒産などのリスクを最小限に抑えられます。
S&P500に投資するリスク
S&P500にはリスクもあります。まず、元本保証ではないことが挙げられます。長期的なS&P500の値動きはたしかに右肩上がりですが、今後もそれが続く保証はありません。ひょっとしたら大暴落を起こす可能性もあり得ます。そのため、S&P500への資産の全額投資は賢明ではありません。
また、S&P500はアメリカのみによる指数のため、地域での分散ができません。さまざまな地域に投資するのと比べると、S&P500はアメリカが不景気になったときにダメージが大きくなるリスクがあります。
S&P500に投資するポイント
投資初心者がS&P500に投資する際のポイントを説明します。
短期で売買しない
まず、短期で売買しないことです。S&P500は長期的には右肩上がりですが、短期的に見ると値下がりをしている年もあります。特にリーマンショックが起きた2007年10月から2009年3月にかけては50%以上下落しています。
しかし、こうした下落が起きた際でも、あせって売却せず長期で保有することがポイントです。先ほどのリーマンショックでの下落分も、2013年には高値を更新しています。
S&P500だけに投資しない
今後も成長が期待できるからといってS&P500だけへの投資は危険です。投資の世界では「卵を1つのかごに盛るな」という格言があります。1つのかごにすべての卵を盛ると、かごが落ちたときにすべて割れてしまいますが、複数のかごに卵を分散しておけば、落ちなかったかごの卵は安全です。
一定割合を現金や預金で保有したり、債券や日本株で投資したりするなど資産の分散が大切です。
NISAやiDeCoの活用
投資で利益が出ると税金がかかります。しかしNISAという制度を使えば、投資での利益に税金がかかりません。投資額に制限があるなど一定の条件はあるものの、投資を始めるのであればぜひ利用したほうがよいでしょう。
また、iDeCoと呼ばれる個人型確定拠出年金を利用して投資する方法もあります。こちらは年金のため原則60歳まで引き出せませんが、利益に税金がかからないだけでなく、掛金が所得控除の対象になったり、受取時にも控除が受けられたりする点などがメリットです。
まとめ
現在はアメリカの株価が好調のため、これからS&P500に投資してみようと考えている人も多いでしょう。しかし、投資には元本保証がないなどのリスクがあります。リスクをしっかりと理解して、無理のない範囲で投資を始めることが大切です。
執筆者:山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士
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