高齢運転者の死亡事故の人的要因第1位は「操作不適」! 運転者の事故発生リスクを軽減する「サポカー」とは?
ファイナンシャルフィールド / 2024年3月23日 2時20分
警察庁の統計によると、自動車の先進安全技術などの普及により、運転者(免許人口10万人当たり)の死亡事故件数は、年々減少傾向にあります。その一方で、高齢運転者の操作ミスによる事故の報道や、運転免許証の返納の話題などが多く聞かれます。 本記事では、官民が連携して普及啓発に取り組んでいる、「セーフティ・サポートカー(サポカー)」の現状について確認します。
サポカーの普及促進
2021年11月より、国産新型車には衝突被害軽減ブレーキの装着が義務化されており、輸入新型車についても2024年7月より義務化されます。政府は、より安全性の高い新型車への買い替えを促進しています。
また、自動車保険についても、所定の衝突被害軽減ブレーキが装着されている場合に約9%保険料を割引する「ASV割引」が、2018年より適用されています。それでは、より安全な車を購入する場合の基準は何でしょうか。
国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)は、新車販売されている自動車に対してさまざまな安全性能を試験し、その結果を公表する「自動車アセスメント」の事業を実施しています。
予防安全性能と衝突安全性能の総合得点により、★1つから最も安全性能が高い★5つまでの5段階で評価され、サイト上では自動車の「ブランド名」や「車種名」などにより、評価結果を検索することができます。
サポカーの種類
サポカーの種類は、「セーフティ・サポートカー(サポカー)」と「セーフティ・サポートカーS(サポカーS)」に分かれ、さらにサポカーSは、衝突被害軽減ブレーキの機能に応じて、「ワイド」「ベーシック+」「ベーシック」の3つに区分されます。
図表1
経済産業省「サポカー(安全運転サポート車)」より筆者作成
また、サポカーに登載される主な装置の概要は、以下のとおりです。
(1)衝突被害軽減ブレーキ
車載のレーダーやカメラにより前方の車両や歩行者を検知し、衝突の可能性がある場合には、運転者に対して警報する。さらに衝突の可能性が高い場合には、自動でブレーキを作動させる。
(2)ペダル踏み間違い急発進抑制装置
停止時や低速走行時に、車載のレーダー、カメラ、ソナーが前方(および後方)の壁や車両を検知している状態でアクセルを踏み込んだ場合には、エンジン出力を抑える等の方法により、急加速を防止する。
(3)車線逸脱警報装置
車載のカメラにより道路上の車線を検知し、車線からはみ出しそうになった場合や、はみ出した場合には、運転者に対して警報する。
(4)先進ライト
この装置の一例である自動切替型前照灯は、前方の先行車や対向車等を検知し、ハイビームとロービームを自動的に切り替える機能を有するヘッドライト。
※経済産業省「サポカー(安全運転サポート車)」より引用
高齢運転者の死亡事故原因の第1位は「操作不適」
「令和5年における交通事故の発生状況について(警察庁)」によると、75歳以上の高齢運転者による死亡事故で人的要因の第1位は「操作不適」(全体の27.6%)となっており、そのうち「ハンドルの操作不適」が14.9%、「ブレーキとアクセルの踏み間違い」が6.6%となっています。
その一方、75歳未満の運転者の場合は、「操作不適)が全体の9.9%、うち「ハンドルの操作不適」が5.8%、「ブレーキとアクセルの踏み間違い」が0.8%であり、高齢運転者の場合はこれと比べて、数値が格段に上がっていることが分かります。
後付けできるペダル踏み間違い急発進抑制装置
先述のとおり、高齢運転者の死亡事故の大きな要因は、ペダルの踏み間違いです。そのリスクの軽減のため、利用中の自動車や中古車に後付けで装置を取り付けることができる場合もあります。通常、後付けの装備費用は4~5万円程度とされますが、2021年までは補助金の対象となっていました。
現在、国土交通省がその効果や安全性を調査し認定した、後付けができるペダル踏み間違い急発進抑制装置が、自動車メーカーや部品メーカーから販売されています。認定装置は、「障害物検知機能付きペダル踏み間違い急発進等抑制装置」「ペダル踏み間違い急発進等抑制装置」「ペダル踏み間違い防止装置」の3分類があります。
まとめ
自動車の先進安全技術は今後も進展し、それらを登載したより安全性能の高い自動車が普及することが、交通事故の防止や被害の低減につながっていくものと考えられます。
ただし、これらの技術は必ずしも万能ではないため、装置の機能のみを過信することなく、個々の運転者が安全運転を心掛けることが、最も重要でしょう。
出典
独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA) 自動車アセスメントのご案内
経済産業省 サポカー(安全運転サポート車)
警察庁 交通事故分析資料
国土交通省 ペダル踏み間違い急発進抑制装置性能認定結果一覧
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「え、ブレーキ踏まなきゃダメなの知らなかった!」過半数!? 自動安全装置が完備された自動車にも限界はある
乗りものニュース / 2024年9月25日 18時42分
-
スズキが小型乗用車「クロスビー」の新型モデルを発売!個性的なNEWカラー追加の全13色をラインナップ
バイクのニュース / 2024年9月20日 15時10分
-
自動車の先進安全技術の理解度・運転に対する意識を調査 「令和5年度 ASV機能に関する調査」(国土交通省)分析結果
@Press / 2024年9月20日 11時15分
-
「自動ブレーキ」でも運転者がブレーキを踏む必要がある? 知っている人は半数以下に
マイナビニュース / 2024年9月19日 11時0分
-
新車で安い軽自動車はどの車? 価格・維持費・リセールバリュー別TOP5を紹介
MōTA / 2024年8月28日 17時0分
ランキング
-
1ワコール、英同業企業を買収 海外事業拡大へ販売力強化
共同通信 / 2024年9月26日 18時45分
-
2USスチール買収計画、日鉄社長「決して楽観できない」…仲裁委が「適格」判断で追い風も
読売新聞 / 2024年9月26日 23時17分
-
3年金「月14万円」…手取り30万円労働者の「残酷すぎる老後」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月24日 18時30分
-
4任天堂も激怒「酷似ゲーム」会社が犯した痛恨失態 特許権侵害で訴訟され…出した"声明"にツッコミが殺到
東洋経済オンライン / 2024年9月25日 18時30分
-
5為替相場 27日(日本時間 7時)
共同通信 / 2024年9月27日 7時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください