年金の「免除申請」をすると受給額はどうなる?申請し続けても年金は「受給」できる?
ファイナンシャルフィールド / 2024年3月25日 5時10分
国民年金保険は、20歳になれば加入して、保険料を支払う必要がありますが、収入が少なくて支払えないケースもゼロではありません。所得が少ない場合に、前年の所得上限を満たしていれば、保険料を免除してもらったり猶予してもらったりできます。 ただし、免除や猶予された期間に応じて、老後に支給される年金額は少なくなるため、注意しましょう。 今回は、国民年金保険料の免除と、納付猶予制度についてご紹介します。
国民年金で利用できる免除制度と納付猶予制度とは
国民年金は、日本在住の20~60歳であれば、加入が義務付けられている年金保険です。しかし収入状況によっては、年金保険料を納められない可能性もゼロではありません。その場合に利用できるものが「免除制度」や「納付猶予制度」です。
収入減少などを理由に、国民年金保険料を支払えなくなった方が申請すると、受給資格期間を減らさずに、保険料を納める期間を免除してもらったり、猶予してもらったりできます。
ただし支給される年金額は、納めている場合と比べると減少するため、制度を利用する際は注意が必要です。
受給資格期間とは
受給資格期間は、老後に年金を受け取る権利を取得するために必要な期間です。老齢基礎年金を受け取るためには、基本的に国民年金保険料を、最低10年以上納付している必要があります。もし納付している期間が足りなければ、老後の年金は受け取れません。
免除制度の利用条件
免除制度とは、申請をして認定されると、年金の支払い自体を免除してもらえる制度です。所得状況により、全額免除をはじめとして、4段階から免除する割合を決められます。各免除を受けるための前年の所得条件は、表1の通りです。
表1
免除額 | 全額 | 4分の3 | 2分の1 | 4分の1 |
---|---|---|---|---|
条件 | (扶養している親族などの人数+1)×35万円+32万円 以上の計算値以下 |
88万円+扶養している親族などの控除額+社会保険料控除額など 以上の計算値以下 |
128万円+扶養している親族などの控除額+社会保険料控除額など 以上の計算値以下 |
168万円+扶養している親族などの控除額+社会保険料控除額など 以上の計算値以下 |
※日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」を基に筆者作成
例えば、扶養している親族が1人いる場合は、前年の所得が102万円以内であれば、全額免除の対象になります。
ただし、免除制度を利用すると、老齢基礎年金は満額を受け取れません。老齢基礎年金の金額は、免除月数に応じて減っていくからです。
もし12ヶ月間全額免除を受けて、残りの期間はすべて制度を利用せずに納めた場合は、令和5年時点の年金額で、78万5063円受け取ることになります。もし通常通りに欠かさずに全期間支払った場合は、支給される年金の満額は79万5000円ですので、9937円の減額になります。
納付猶予制度の利用条件
納付猶予制度も、申請をして認定されると、受給資格期間はそのままで、年金の支払いの先送りが可能になります。前年の所得が、以下の式で求められる金額以下であれば利用できます。
・(扶養している親族などの数+1)×35万円+32万円
なお、免除制度とは異なり、あくまでも猶予ですので、追納しなければ、年金の金額計算に猶予期間は含まれません。例えば、猶予を12ヶ月間受けた場合では、468ヶ月納付したとみなされるため、令和5年時点の受給額は、77万5125円です。
申請に期限はある?
所得上限を超えていなければ、制度は期間にかかわらず利用が可能です。しかし、受給資格期間が減らないだけで、支給される金額は、制度を使った期間に応じて減額されることになります。
少しでも受け取る額を満額に近づけたい場合は、追納制度を利用しましょう。過去10年以内かつ老齢基礎年金の受給者でなければ、免除を受けた年金でも、後から納めることができます。
制度を利用すると年金の受給資格期間はそのままだが、受け取れる金額が減る
国民年金保険料は、収入に余裕がないといった理由で支払えない際には、免除制度や納付猶予制度を利用することで、受給資格期間を減らさずに、保険料の負担を軽減することが可能です。
ただし、制度を利用すればするほど、老後に支給される年金額は減ります。もしも収入に余裕ができたならば、追納することも検討してみましょう。
出典
日本年金機構
国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
年金Q&A(国民年金の加入) Q国民年金はどのような人が加入するのですか。
年金Q&A(国民年金の保険料) Q免除されていた保険料は、後で納めることができますか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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