年収300万円で「貯金ゼロ」。年金受け取りを「65歳から60歳」に繰り上げたら、受給額はいくら減る?
ファイナンシャルフィールド / 2024年3月27日 4時30分
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収入によっては、年金の受給開始年齢の65歳まで年金の受け取りを待てないケースもあります。 繰上げ受給をすると60歳でも年金を受給できますが、繰り上げた分だけ受給金額は減少するため、制度を利用する時はしっかりと考えて決めることが必要です。 老後の貯金が少ないと、老後破産のリスクもあります。年金を前倒しで受け取るのではなく、コツコツ貯金したり定年を延長して働いたりすると、老後のさまざまなリスクにも対応しやすくなるでしょう。 今回は、年収300万円の方が65歳で年金受給するケースと、繰上げ受給するケースを比較します。
年収300万円で受け取れる年金額は?
まず、年収から年金額を求めるためには、標準報酬月額を求めます。
標準報酬月額とは、収入を一定の金額ごとに等級で分けた数値です。標準報酬月額を求めると、老齢厚生年金の金額を求めるのに必要な報酬比例部分の計算ができます。
厚生年金の加入期間が平成15年4月以降か平成15年3月以前かで計算式が異なり、平成15年4月以降に加入した場合の報酬比例部分の計算式は以下の通りです。
・平均標準報酬額×0.005481×平成15年4月以降の加入期間の月数
今回年金の金額を求めるにあたって、以下の条件で計算しました。
・賞与なし
・厚生年金に加入したのは大学卒業後の22歳から
・厚生年金に加入したのは平成15年4月以降
・国民年金は全期間欠かさず納めている
・報酬比例部分を老齢厚生年金の受給額とする
年収300万円の場合、月収は25万円です。月収25万円は等級17の標準報酬月額26万円に該当します。これらの数値を基に、65歳で年金を受け取る場合と60歳で年金を受け取る場合を比較します。
65歳まで働いて通常通り受け取った場合
日本年金機構によると、令和5年の老齢基礎年金額は月額で6万6250円、年額にして79万5000円であることが分かりました。
老齢厚生年金は、平均標準報酬額が26万円なので、報酬比例部分は約73万5331円の計算になります。老齢基礎年金と老齢厚生年金を合計すると、22歳から65歳まで働いた時の年金額は153万331円、月額約12万7528円です。
60歳まで働いて繰上げ受給をした場合
繰上げ受給とは、本来年金を受け取る年齢である65歳よりも受給年齢を前倒して年金を受け取ることです。早く年金を受給できるメリットの反面、受け取れる金額は減少します。
繰上げ受給を利用した場合の減額率は0.4%×繰り上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数です。
日本年金機構によると、昭和37年4月25日以降生まれの人は最大で60歳への繰り上げにより24%減額され、一度繰上げ受給を選ぶと生涯にわたって減額された金額を受け取ることになるようです。
まず、22歳から60歳まで働いた場合の老齢厚生年金額は64万9827円です。老齢基礎年金と合わせると、65歳から受給開始すれば年間144万4827円、月額約12万402円を受け取れます。
しかし、60歳まで繰り上げると24%減額するため、年金額は約109万8069円、月額約9万1506円です。65歳まで働いて年金を受給する場合と比べると、年間43万2262円、月額3万6022円の差になります。
貯金をする方法
60歳まで繰上げ受給をすると、受け取れる年金額は減少します。できるだけ年金を多く受け取るためには、繰上げ受給をするのではなく働いている間に貯金をすることが必要です。
例えば、毎月1万円を貯金に回せば40年間で480万円の貯金ができます。さらに、定年延長制度などを利用すれば長く働けるため、老後の資金づくりに活用可能です。働いて厚生年金に加入している期間が長くなるほど、受け取れる老齢厚生年金額も多くなります。
老後はけがや病気のリスクも多いので、万が一の事態にも対応できるように余裕を持った貯金をしておきましょう。余裕を持った貯金は、老後破産の予防にもつながります。
60歳退職の繰上げ受給と65歳退職で年金を受給するのでは年金額が年40万円以上異なる
60歳退職で繰上げ受給をすると、年金を早く受け取れる一方で支給される金額は減少します。65歳退職で通常通り年金を受け取ると、将来のけがや病気のリスクに備えた貯金もしやすくなるでしょう。
老後に向けた資金づくりをするには、毎月の貯金額を決めたり、定年延長制度などを使って働く期間を延ばしたりする方法が有効です。自分に合った方法を見つけて、老後に備えましょう。
出典
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
日本年金機構 年金の繰上げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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