新NISAが話題。証券会社の社員は自分で運用して大もうけできるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月5日 23時10分
![新NISAが話題。証券会社の社員は自分で運用して大もうけできるのでしょうか?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_283670_0-small.jpg)
2024年1月から新しくなった、「つみたてNISA」が話題になっています。メディアでも盛んに取り上げられているため、関心のある人も多いでしょう。つみたてNISA口座を証券会社の窓口で開設する際には、証券会社の社員から株式投資などに関するアドバイスを受けられます。 そこで、証券会社の社員は自分で株を運用して大もうけしているか、 新NISAについてはどうなのかなど、 気になる人もいるのではないでしょうか。 本記事で、新しくなったつみたてNISAの概要などとともに解説していきます。
新しくなった「NISA」とは
NISAは、株式投資などによる分配金や譲渡金が非課税になる制度です。2014年に始まった一般NISAに続いて、2018年にはつみたてNISAがスタートしました。以前は、一般NISAとつみたてNISAは選択制でしたが、2024年1月から始まった「新しいNISA」では併用が可能になっています。
それに伴って非課税期間が無期限化され、年間投資枠もつみたてNISAが3倍、一般NISA(成長投資枠)が2倍に増額されています。なお、投資対象商品は、つみたてNISAが金融庁の基準を満たす投資信託、一般NISAが上場株式や投資信託などです。
ところで、証券会社の社員も新しいNISAを利用できるのでしょうか。また、一般の人では入手がむずかしい情報に接していることから、株の運用で大もうけすることも可能なのでしょうか。
証券会社の社員は株の運用で大もうけできる?
証券会社の社員は、必ずしも株の運用で大もうけできるとはいえません。その理由は、証券会社の社員は、大きな利益が得られる可能性がある、株式信用取引や先物・オプション取引などが禁止されているからです。これは、多くの証券会社が加入する日本証券業協会の「教会員の従業員に関する規則」によるものです。
また、証券会社などの役職員は、金融商品取引法で「投機的利益の追求を目的とした有価証券の売買や、その他の取引」が禁止されています。では、新しいNISAも利用できないのでしょうか。
証券会社の社員や役職員も、新NISAの成長投資枠やつみたて投資枠は利用できます。そもそもNISAは投機的な利益を狙うわけではありません。できるだけ堅実な投資をして、コツコツと資産を増やしていくことを主な目的としています。これらの理由から、証券会社の社員だからといって、NISAで大もうけできるとはかぎらないのです。
なお、株の運用には一定の規制が設けられています。その一つがインサイダー取引で、該当する場合は刑事罰や課徴金の対象になるため注意が必要です。では、新しいNISAもインサイダー取引の対象なのでしょうか。
つみたて投資枠もインサイダー取引の対象になる?
成長投資枠はインサイダー取引の対象取引になる可能性がありますが、つみたて投資枠は対象外と考えられます。インサイダー取引は、上場企業の関係者などが、その企業の重要な事実を知りながら、その事実が公になる前に当該企業の株式を売買することです。
重要事実には、当該企業の新株発行の事実や、決算予想値の大幅修正の事実などに関する情報が該当します。インサイダー取引は金融商品取引法で禁止されているため、違反した場合には罰則が科されます。罰則は、刑事罰(「懲役5年以下、罰金500万円以下」)か利益相当額の課徴金です。もちろん、証券会社の社員も、インサイダー取引を行えば処罰の対象になります。
また、インサイダー取引は、上場株式、新株予約権証券、社債、J-REIT、上場インフラファンドなどが対象ですが、大部分の投資信託やETFは対象外です。成長投資枠の投資対象商品には上場株式も含まれるため、インサイダー取引の対象になると考えてよいでしょう。
一方、つみたてNISAの投資対象商品は金融庁の基準を満たす投資信託のみのため、基本的にインサイダー取引の対象にはなりません。
新NISAを検討しているなら、リスクについても理解しておこう
証券会社の社員だからといって、株の運用で大もうけできるわけではありません。ただし、これは投機的な投資を制限されているためで、社員個人の能力に問題があるわけではありません。なお、新NISAにかぎらず、投資に利益の保証はありません。損失を被る可能性もあるため、新NISAの利用を検討している場合は、メリットだけでなくリスクについても理解しておくことが大切です。
出典
金融庁 新しいNISA
e-GOV 金融商品取引法
日本証券業協会 教会員の従業員に関する規則
金融庁 インサイター取引規制に関するQ&A
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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