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サラリーマンが急逝した父の家業を突然継ぐことに! 消費税の納税義務の判定は?

ファイナンシャルフィールド / 2018年11月9日 9時20分

サラリーマンが急逝した父の家業を突然継ぐことに! 消費税の納税義務の判定は?

地方で個人事業を営む父親Aが突然亡くなりました。   東京に出て会社員として働いていたひとり息子のBは、長年続いた家業を絶やすことなく、継承することを選択し、田舎に帰って相続するとともに、父Aの家業を引き継ぐこととなりました。   個人事業を営んでいて、年間の課税売上高が1000万円以下の場合、免税事業者として消費税の納税義務はありません。   この事例のような事業承継の場合、消費税の納税義務(または、免税事業者であること)は、その後も引き継がれるのでしょうか?   個人事業者が事業承継する際の、消費税納税義務について考えてみましょう。  

個人事業者における消費税の納税義務とは

個人事業者が消費税を納税する必要があるのか? ないのか? について、判定の原則は、2年前の課税売上高が1000万円を超えるか否かで判定します。
つまり、課税売上高が1000万円超となった年の2年後に、消費税の納税義務が発生することになります。
そのため、新規に個人事業を開業した場合には、少なくとも2年以内には納税義務は発生しないことになります。
 

相続による事業承継の場合

まず、冒頭のひとり息子Bのように、相続によって事業承継した場合を考えてみましょう。
結論として、相続の場合には、被相続人父Aの課税売上高が引き継がれ、消費税の納税義務も継承されることとなります。
例えば、平成30年5月31日に父Aが亡くなり、すぐに息子B が事業を承継した場合、平成30年の消費税の納税義務は、2年前の平成28年の課税売上高が1000万円超であるかで判定されます。
また、平成30年の課税売上高は、父A (1月~5月)と息子B(6月~12月)の課税売上高の合計で判定されることになります。
なお、この場合に父Aが生前に提出していた「課税期間特例選択等届出書」、「簡易課税選択届出書」などの効力については、息子Bには及ばない点に注意が必要です。息子Bがこれらの適用を受けようとする場合は、新たに届け出書を提出する必要があります。
また、事業の一部を複数の相続人が継承する場合には、父Aの2年前の課税売上高に各相続人の事業承継割合を乗じて計算します。
 

父Aが生前に事業承継した場合

ここまでは、父の死後、個人事業を継承した場合について、述べてきました。
もしも、父Aが生前のうちに、息子Bに事業承継した場合は、どうなるのでしょうか。
例えば、父Aが体調を崩してしまい、急きょ息子Bが事業を引き継ぐ場合などが想定されるでしょう。
個人事業主の父Aが生きている間に事業承継するということは、「父Aの事業の廃止」と「後継者、息子Bの事業の開始」を意味することになります。
つまり、父Aが廃業し、事業承継をすることで息子Bが開業することになります。消費税の納税義務の判定については、前述の原則の通り、開業後2年以内は消費税の納税義務が発生しない(免税事業者となる)ことになります。
また、これも原則通り、課税売上高が1,000万円超となった年の2年後に消費税の納税義務が発生することになります。
 

生前に事業承継した方が有利?

今回の事例は個人事業者を取り上げましたが、法人企業の場合の事業承継では当然ながら、たとえ経営者が変わったとしても、同一の納税義務が継承されます。
一方、個人事業者の場合は、消費税の納税義務のみを考慮すれば、生前で事業承継する方が有利になると思われます。
つまり、同じ屋号で、同じ商品やサービス内容であったとしても、父Aと息子Bは、それぞれ別々の納税義務を負うことになるためです。
生前において計画的に事業承継を進めるためには、できる限り早めにその準備を進めておくことが重要となるでしょう。
ただし、店舗や工場などの不動産の財産を、後継者に譲る場合には、贈与税と相続税の試算(一般的には贈与税の方が高い)も考慮すべきでしょう。
また、事業を承継した年に多額の設備投資が想定されるなど、消費税の還付を受けるような場合には、免税事業者の期間であっても「消費税課税事業者選択届出書」を提出した方が有利となる場合もあります。
Text:高橋 庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
 

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