年金だけで老後を暮らすのは無理? 年収400万円の会社員で“おひとりさま”なので、なんとかなりそうな気がしています
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月23日 21時0分
老後の生活基盤について、不安感をお持ちの方は多いでしょう。仕事をしている間は一定の収入が確保されているのでめども立てやすいですし、家計運営のことを考えなくても何となく1ヶ月がまわっていくので後回しにしがちです。 ねんきん定期便が更新されるタイミングで、振り返っていくところから考えてみたいと思います。
年収400万円のおひとりさまの年金受給見込み額は年額150万円
厚生労働省が提供しているシミュレーションサイト「公的年金シミュレーター」があります。生年月日や属性(家族構成)、年収、勤務期間や勤務形態などを入力するだけで簡易的な概算を計算してくれます。
これで、年齢40歳、家族は1人、勤務期間40年で正社員を入力すると、65歳からの年金受給見込み額は150万円という試算結果が出ます。
民間の金融機関でも似たようなシミュレーションサイトを提供してくれるところがあります。そちらで計算した場合もほぼ同じで、厚生年金6.8万円、基礎年金6.4万円の合計月額13.2万円、年額で158万4000円という結果が出ました。
これは、「年収400万円で40年間」という前提です。もし40代の方で現在の年収が400万円だったとしても、就業開始年齢や途中パートやアルバイトの時期があったりすると変わってきますので、正確な試算は「ねんきん定期便」で確認することをお勧めします。
これを「十分」ととらえるのか「足りない」ととられるのかは、個人のお金との付き合い方です。この付き合い方を変えていかなければならない場合、それにも時間が必要になります。
「なんとかなりそう」というより「工夫して、なんとかする」
このざっくりした試算結果からどのように判断されるでしょうか?
自宅があって賃料支払いの心配がない、という人もいらっしゃるかもしれませんが、自宅を所有していても、毎年かかってくる固定資産税や経年劣化とともに修繕しなければならない箇所などが増えてきます。
特に水まわりは見て見ぬふりはできないので、まとまった資金を用意しておかなければなりません。そう考えてくると「自宅」はそれほど大きな助けにはならないかもしれません。
また医療費負担も現役時代よりも重くなってきます。健康保険で賄える部分はありますが、自己負担も考えなければなりません。介護サービスを受けることになった場合、要介護認定を受けて介護度に応じて1割負担のサービス内容は違います。
ただ、健康状態が急激に悪化するなどといった前提を入れることは、今回は含めていません。「なんとかなりそう」というよりは、「工夫してなんとかする」というほうがより適切でしょう。
自分の資産と正確な年金受給額を把握
ではどのように「工夫」すればいいのでしょうか。
まずは、自分の今の資産(不動産や預貯金などの金融資産)と正確な年金受給額を把握することから始めましょう。健康状態を維持する時も、まず検査をして問題点をあぶりだし、そこから解決策を探ります。お金との付き合いかたも同じです。
もしかしたら、民間の生命保険会社で個人年金に加入しているかもしれません。それ以外にも、長く勤めている会社で「企業年金」を別途積み立てていたかもしれません。これは公的年金の上乗せになりますから余裕が出ますね。
逆に、マイナスの資産は本当にないのか、確認が必要です。親御さまが投資用に不動産を購入されている、ということはないでしょうか?
かつてご相談者から、何年も前に他界されたお父さまがお持ちの不動産が見つかって、その後処理が大変だったという話を聞いたことがあります。そういった手続きは思いのほか時間も費用もかかってしまうものですから、早めに確認しておきましょう。
お金との付き合い方のスタンスを変える
現状の洗い出しが終わったら、老後は「収入は増えない」という前提のもとで、ストレスなく支出を少しずつ絞っていく方向で取り組んでいくのがいいでしょう。支出を抑えてもストレスにならないものがあれば削っていきましょう。
住宅については、負担の少ない高齢者向け住宅を見ておかれるのもいいかもしれません。こちらも介護が必要なのか自立なのか、また地域によって、賃料もさまざまですが、お住まいの行政窓口に問い合わせるのがより確実です。
定年を迎えてから、このような作業をやっていくと、どうしても現役時代の大ざっぱなお金の使い方と比べて悲壮感が増してしまうかもしれません。シニア時代のお金との付き合い方に慣れるのには時間がかかると思っておきましょう。
正確なお金の現状の把握と、やや節約モードのお金の使い方に慣れる、この2つができれば、こちらのご質問「年金だけで老後の生活は大丈夫?」の答えは「大丈夫と考えていいでしょう」といえるでしょう。
出典
厚生労働省 公的年金シミュレーター
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者
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