「賃金が上がらない」という声をよく聞くのですが、どういった社会的背景によって賃金が上がりにくくなっているのですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月25日 9時0分
日本の賃上げ率を見ると、他国と比べて低い状況が続いています。しかし、なぜ賃金が上がりにくい状態となっているのか疑問に思う方も多いでしょう。 そこで本記事では、社会的背景を見ながらその理由を解説します。
日本の賃上げ率推移
表1は、日本の賃上げ率推移です。2013~2022年までは1.5%~2.0%を上下する程度の比率でしたが、2023年にかけて全体の賃上げ率は前年度に比べて3.58%、中小企業の賃上げ率は3.23%という数値が出ています。
出典:内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局「基礎資料」
世界と比較した日本の賃金推移
表2で、日本の賃金推移を最低賃金の国際比較の数値と比べてみましょう。
表2
国名 | 2001年(USドル) | 2022年(USドル) |
---|---|---|
フランス | 11.5 | 13.5 |
ドイツ | 12.7 (2015年) | 13.5 |
アメリカ | 8.5 | 7.3 |
日本 | 6.3 | 8.5 |
韓国 | 3.3 | 9.5 |
※内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局「基礎資料」をもとに筆者が作成
日本は上昇傾向にありますが、ヨーロッパやアメリカ、そして韓国と比較しても低い水準です。
日本の賃金が上がらない理由を予測
どうして日本の賃金の上昇は、世界的に見て低いのでしょうか?その社会的な背景について見ていきましょう。
非正規労働者の占める割合が多い
日本の賃金が30年間上がらない原因の1つとしてあげられるのが、賃金水準の低い非正規労働者が増えたことが挙げられます。1985年と2021年のデータを見ると、非正規労働者は20.2%から36.7%と16.5%も上昇しています。
原材料コストが高く賃上げが難しい
また、賃上げが難しい理由には、物価高も影響していると考えられます。物価高の影響で、企業側が値上げをしたくとも、消費者の販売数減少や買い控えをしてしまうことを恐れ、なかなか実行に移せないことが要因となっています。そのため十分な利益を上げられず、結果賃上げにマイナスの影響を与えていると考えられます。
給料アップがかなわない時の対処法
給料アップの交渉は、非常に難しい問題です。就業規則に昇給の条件が明確に記載されている場合ならば交渉の余地はありますが、条件にいろいろと理由がつけられ、適用されないケースも多いです。企業側がギリギリの経営の場合もありますので、今すぐに賃上げできない時の対処法を見ていきましょう。
生活費の見直し
まず大切なのは、家計の見直しです。生活に欠かせない水道光熱費の値上がり率は高く、家計を圧迫しています。仮に節約できたとしても、必要経費のため下げ過ぎは生活の質を下げてしまいます。
そのため、携帯料金の見直しや保険料、サブスクリプションの見直しなどを積極的に行うことをおすすめします。見直しして、余裕資金ができるようでしたら、国が勧める投資に回すのも1つの方法です。
転職という選択肢
賃上げが期待できない場合、転職する選択もあります。今はどの業界も人手不足であることから、比較的採用されやすい傾向にあります。
なかには、慣れている職場から転職するくらいなら、安くても今のところで……という考えもあるでしょう。しかし、そういった選択は企業側の賃上げを踏みとどめる原因にもなります。継続して働くメリットがなければ、転職も検討してみましょう。
賃金が上がらない社会的背景を理解して行動しよう
現状、物価高によるコスト上昇などさまざまな原因が重なり、実感できるほどの賃上げは期待できない状況ではあります。2023年10月に大幅な最低賃金アップがあり、町で見かける求人の単価は大きく上がりました。そのため、働き方を選べる幅が広がったといえますので、ご自身の環境を考えて、必要ならば転職などを検討してみましょう。
出典
内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局 基礎資料
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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