大学生のころ学生納付特例を申請して猶予されていました。気が付くともう10年。そのままにしていますが、どうなりますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月5日 9時10分
学生のころに国民年金保険料の納付が困難で、学生納付特例制度によって猶予を受けた人もいるのではないでしょうか。就職してお金に余裕ができたら保険料を納付したいと考えているにも関わらず、気付いたら追納が可能な期限の10年が経過しそうという人もいるかもしれません。 結論から言えば、期限を過ぎたら追納はできません。60歳以降も任意で国民年金に加入する、厚生年金の被保険者になるといった方法で年金を増やすことが期待できます。 本記事では、学生納付特例制度について、学生納付特例制度の追納期限が切れて受給できる年金額の減額をカバーする方法などを解説します。
学生納付特例制度は猶予であり免除ではない
学生納付特例制度とは、申請手続きを行うことで学生であるうちの国民年金保険料の納付を猶予してもらえる制度です。対象者は以下の学生で、国民年金保険料が免除される制度ではない点に注意してください。
●学生納付特例を受ける前年度の所得が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」以下
●大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校および各種学校、一部の海外大学の日本分校(文部科学大臣が個別指定した課程)に在学中の学生
夜間・定時制課程や通信課程に在学する学生も含みます。各種学校で修業年限が1年以上の課程に在学し、私立の場合は都道府県知事の認可を受けていなければなりません。
追納できる期間は限定されている
学生納付特例制度で猶予された国民年金保険料を追納できる期間は、追納が承認された月の前10年以内です。期間内に追納ができなかったとしても受給資格期間に含まれますが、老後に受け取れる年金額に反映されないため、満額納付したときと比べて受け取れる年金額は低額になります。未納期間とみなされて年金受給額が低くならないためにも、期間内に追納できるようにしましょう。
国民年金の保険料は、月額1万6980円(令和6年度)です。例えば、納付猶予期間が20~22歳までの2年間だった場合、猶予額は40万7520円(1万6980円×24ヶ月)になります。10年以内に納付が完了できるように、毎月の給料や賞与などから少しずつ支払っていきましょう。
学生納付特例制度の追納期限が切れて受給の減額をカバーする方法
学生納付特例制度で猶予された国民年金保険料を期間内に追納できなかった場合は、以下の方法で受給額の減額をカバーするとよいでしょう。
●国民年金の任意加入制度を利用する
●60歳以降も厚生年金に加入して年金額を増やす
国民年金は満額81万6000円(令和6年度)です。しかし、未納期間が2年間ある場合の年金受給額は、以下のように満額納付時に比べて約4万円減額します。
・81万6000円×(480ヶ月-24ヶ月)÷480ヶ月=77万5200円
国民年金の任意加入制度を利用する
国民年金の任意加入制度によって、学生納付特例制度の追納期限切れによる受給の減額をカバーできます。任意加入制度は、老齢基礎年金の受給資格を満たしていない、保険料納付済期間が40年を超えていないことが理由で年金額の増額をしたい場合に利用できる制度です。
60歳になれば20代や30代のころと比べて経済的余裕ができる可能性が高いため、必要性を感じたタイミングで任意加入を検討してみましょう。ただし、保険料納付済期間が480月に達した時点でそれ以上は加入できない、60歳以降に厚生年金に加入している場合は任意加入できない点に注意してください。
60歳以降も厚生年金に加入して年金額を増やす
60歳以降も厚生年金に加入すれば、年金額を増やせることを期待できます。国民年金は原則として20歳から60歳未満の方が加入できますが、厚生年金は加入が義務付けられている事業所(強制適用事業所や任意適用事業所)で働く70歳未満の人が加入できるからです。
追納期限に間に合うように早めの納付を心掛けよう
学生納付特例制度によって国民年金保険料の納付期間を猶予された場合、追納が承認された月の前10年以内なら追納が可能です。追納できる期間を過ぎた場合は、納付を受け付けてもらえなくなります。その結果、将来的に受け取れる年金額が減額するため、早めの納付を心掛けてください。
ただし、期限内に納付ができなかったとしても、60歳以降に任意加入制度を利用する、厚生年金に加入するなどして、年金の減額をカバーすることは可能です。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 任意加入制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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