物流の「2024年問題」で荷物が届かなくなるって本当ですか? トラック運転手の給料が減る可能性もあり、運転手不足になる?
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月6日 5時20分
2024年4月から「トラックドライバーの時間外労働の上限」がこれまで以上に制限されています。 年間の労働時間が他の職業と比べて長いトラックドライバーの労働環境が良くなるというメリットがある一方で、荷物が届かなくなる恐れやトラックドライバーの給料の減少が予測されています。いわゆる、物流の「2024年問題」です。 そこで本記事では、物流の2024年問題でどのような不利益や問題があるのかについて解説していきます。
2024年の法改正で変わること
2024年4月から働き方改革の一環として、図表1の通り拘束時間が1年、1ヶ月、1日で上限が変わっています。
拘束時間は労働時間と休憩時間を合計したものです。トラックドライバーは運転時間以外にも荷物の出荷や洗車、休憩時間といった自由にできない時間が多いため、拘束時間を定めて労働環境を整えるようにしています。
図表1
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
1年間 | 3516時間 | 3300時間 |
1ヶ月 | 最大320時間、原則293時間 | 最大310時間、原則284時間 |
1日 | 最大16時間以内、原則13時間以内 | 最大15時間以内、原則13時間以内 |
筆者作成
具体的には「1年で3300時間」、「1ヶ月で最大310時間、原則284時間」、「1日で最大15時間以内、原則13時間以内」と上限が変更され、拘束時間が短縮します。これによってトラックドライバーの負担を減らすことが狙いです。
また、1日の休憩時間も継続11時間を基本とし、9時間を最低限でも取るようにするなど、改正前の8時間から伸ばすように変更されています。
物流の2024年問題とは?
トラックドライバーの負担を軽減するために導入される今回の改正ですが、この改正により懸念される影響が2024年問題です。
拘束時間が制限されることで、「1日に運搬できる荷物が減ることで物流が滞る恐れがある」、「1日に運搬できる荷物が減るので、トラック事業者の利益が減少し運転手の収入に影響が出る」、「収入減少によるトラックドライバーの担い手不足」といった問題が生じます。これらが物流の2024年問題です。
トラックドライバーは現在でも担い手不足が深刻で、有効求人倍率は2.11%です。これは全業種の1.13%と比較すると倍近くあり、この点からも担い手不足が深刻である状況が分かります。2024年からは現在働いているトラックドライバーの転職や担い手がさらに不足することも考えられるので、物流業界全体でトラックドライバーが不足する可能性があります。
また、トラックドライバーが減少することに加えて、1日に運搬できる荷物が減ってしまうので物流が滞り、時間通りの配達ができなくなる恐れもあるので注意が必要です。2024年問題は物流業界だけでなく、一般消費者にも影響が及ぶ可能性があります。
一般消費者も一緒に2024年問題を考えていこう
物流の2024年問題は、物流業界で何とか解決できないかの議論が進められているのが現状です。それだけでなく、一般消費者も見直さなければいけないことがあります。例えば、「再配達を減らす」、「まとめ買いを増やして運送回数を減らす」といった配慮です。
再配達を減らす方法としては、時間指定をすることや宅配ボックスを設置する方法が考えられます。特に、宅配ボックスがあればトラックドライバーも一般消費者も時間に拘束されることなく運送と受け取りができるので効果的です。また、まとめ買いをすることで運送回数を減らすだけでなく、一般消費者も運送料や手数料を削減できます。
物流業界だけの問題で済ませるのではなく、一般消費者も一緒に2024年問題を考えていきましょう。
出典
公益社団法人全日本トラック協会 知っていますか? 物流の2024年問題
国土交通省 東北運輸局 物流の「2024年問題」とは
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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