「国民年金の保険料ってこんなに上がったの?」今年退職する人が驚く「自分たちが若かった頃の保険料」ってどのくらい?
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月9日 10時10分
国民年金の保険料は、徐々に上がっていることをご存じでしょうか。また、数十年前から加入している場合、どれくらい上がっているのかは知らない方も多いでしょう。現在の保険料と比較してみると、その違いに驚くはずです。 国民年金の保険料は、消費者を取り巻く物価や賃金とも密接に関係しています。そのため過去の保険料を知っておけば、物価が大きく変化していることに気付くきっかけにもなるでしょう。 そこで本記事では、国民年金の保険料を数十年前と現在で比較しながら、合わせて物価の変化なども紹介していきます。
30年前の国民年金の保険料はいくら?
日本年金機構による「国民年金保険料の変遷」を見てみると、30年前にあたる平成6年4月~平成7年3月までの保険料は1万1100円でした。令和6年4月現在の保険料が1万6980円なので、30年で6000円ほど上昇していることになります。そのため年間で7万2000円ほどの差が生まれており、大きな出費になっているといえます。
35年前の平成元年4月~平成2年3月の保険料は8000円でしたので、現在の保険料と比較すると2倍以上です。年金などの社会保障費が今まで以上に家計を圧迫していることは社会的な問題ですが、数値で見てみると負担の大きさがよく分かります。
国民年金の保険料が1万円の大台を超えたのは、31年前の平成5年4月~平成6年3月までの保険料で1万500円です。平成10年4月~平成17年3月までの期間は保険料の上昇がなく1万3300円のままでしたが、基本的には上昇し続けていることが分かります。
物価はどれくらい上がった?
国民年金の保険料には、物価も密接に関係しています。物価は企業間で取引される場合と、小売りの段階で消費者が介入する場合とで分けて考える場合が多いです。この2つの指数は、「企業物価指数」「消費者物価指数」と呼ばれています。
日本銀行の試算によると、昭和40年から令和5年で消費者物価指数は約4.5倍になっています。つまり、当時は1万円で購入できていたものが現在では4万5000円かかることになるのです。物価の変化は商品によっても異なるので、一概にこの計算が当てはまるわけではありませんが、物価がかなり上昇していることは明白です。
物価が上がるインフレには、良い側面と悪い側面があります。商品への需要が高まることで物価が上昇し、売れることで企業利益も増加します。この結果で期待できるのが、労働者の賃金増加ですので、この面は望ましいといえるでしょう。
しかし、原材料の高騰のように商品への需要以外で物価が上がってしまうと、売り上げや企業利益に結びつかないので労働者の賃金増加にもつながりません。結果的に消費者の収入は変わらず、物価だけが上がって生活が苦しくなってしまうマイナス面もあります。
国民年金の保険料はどうやって決まる?
国民年金の保険料は設定された保険料に、保険料改定率を乗算して求められます。前年度の保険料改定率に対し、名目賃金変動率を乗算して算出したものが保険料改定率です。名目賃金変動率は物価変動率と実質賃金変動率を乗算した結果なので、物価の変化は間接的に国民年金の保険料に関係しています。
端的にいえば、消費者の賃金や物価に応じて国民年金の保険料は変化します。保険料の増加に伴って賃金も上昇し、保険料と賃金のバランスが良好な関係であれば家計的にも問題ありません。しかし、賃金が上がらず、保険料のみが増加してしまうと支出が増えるだけになってしまいます。
物価の上昇も相まって、苦しい生活を余儀なくされてしまうでしょう。結果的に消費者の購買意欲も低下し、景気の回復がより難しくなる事態が考えられます。
30年前と比較すると、国民年金の保険料は6000円ほど上がっている
国民年金の保険料は30年前で1万1100円、現在は1万6980円なので6000円ほど上がっています。年間にすると7万2000円で大きな支出にもなります。
物価は58年で約4.5倍になっており、当時は1万円で購入できていたものが4万5000円出さないと購入できない計算です。保険料と合わせると、物価もかなり上がっていることが分かります。
国民年金の保険料には消費者の賃金や物価が深く関係しており、家計への負担を考慮すると保険料と賃金のバランスが大切です。賃金が上がらずに保険料が上がると、物価の高騰も相まって家計は苦しくなってしまいます。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の変遷
日本銀行 日本銀行について Q 昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか?
日本年金機構 国民年金保険料の額は、どのようにして決まるのか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
今払っている「年金保険料」って、自分は老後“もらえない”こともあるんですよね? 毎月給料から「4万円」引かれているので、払わずに自分の貯金にしたいのですが…
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月27日 5時0分
-
平均月収40万円…日本のサラリーマンが唖然とする「手取り額」、さらなる負担増で「自助努力」さえできない悲惨
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月22日 7時15分
-
先日、父に「昔は時給なんて500円くらいだった」と言われました。今は地方でも「900円」以上が当たり前だと思うのですが、当時はそれでも生活できていたのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月6日 4時30分
-
夫の給料が手取り30万円から「33万円」に10%上がったのに貯蓄が全く増えません。無駄遣いをしているわけではないのですが…
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月2日 4時40分
-
「値上げ地獄の夏」が庶民を襲う…物価も金利も上がるのに実質賃金だけが上がらない日本人の不幸
プレジデントオンライン / 2024年7月1日 9時15分
ランキング
-
1ドンキでバカ売れの家電「置くだけエアコン」 担当者「特に人気の地域がある」、なぜ?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月29日 12時0分
-
2タリーズコーヒー、創業記念にこだわり「バニラアフォガートシェイク」発売 限定ボトルもかわいい
J-CASTニュース / 2024年7月29日 7時0分
-
3スマホより小さなミニPC「S100-WLP」 MINISFORUMから
J-CASTトレンド / 2024年7月29日 12時0分
-
4NTTグループ、「カスハラに対する基本方針」 発表 悪質な場合は法的措置も
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月29日 14時51分
-
5東京メトロ東西線一部運休「代行バス」輸送の裏側 14バス事業者が集結、見慣れぬ京急バスも登場
東洋経済オンライン / 2024年7月29日 7時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください