11時50分から13時まで「1時間10分」の休憩を取る部下。就業規則違反として、減給処分にできるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月10日 9時20分
![写真](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_291863_0-small.jpg)
休憩時間は、従業員の疲れを癒やすために必要であり、労働基準法において適切に与えることが定められています。しかし、休憩時間に関する基本的なルールは法的に定められているため、従業員や会社はその規定を順守しなければなりません。 本記事では、休憩時間の定義や原則、休憩時間超過への対処方法について解説します。
労働基準法に基づく休憩時間
従業員に対する休憩時間は、労働基準法第三十四条で以下のように規定されています。
・「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」
・「前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。」
・「使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。」
休憩の3原則
休憩時間には基本的なルールが存在し、休憩の3原則と呼ばれています。
・一斉付与の原則
「休憩時間は一斉に与えなければならない」とされており、一般的には昼休み休憩が該当します。ただし、運輸交通業・通信業・保険衛生業などの特性上一斉に休憩をとることが難しい業種に関しては、一斉付与の原則の適用外です。
・自由利用の原則
自由利用の原則とは、「休憩時間を従業員の自由に過ごさせる」ことを指します。休憩時間中は従業員を業務から解放し、休憩時間をどのように過ごすかについて干渉することはできません。休憩時間中の来客や電話対応によって、休憩時間を早めに切り上げることは違反です。
ただし、休憩時間を別途与えたり休憩を自由にとれる環境があったりするなどの場合は、違法に該当しないケースもあります。
・途中付与の原則
途中付与の原則とは「休憩を労働時間の途中に与えなければならない」というルールです。休憩時間を就業前や就業後に与えることは、違反となります。
休憩時間を多くとる問題の影響
休憩時間の超過は、頻繁に起これば会社運営にさまざまな影響を与えます。休憩時間が増えることによって、未処理の業務へのカバーが必要です。従業員個人の問題だけでなく、給与の算出への影響や時間を守っている社員に対する負担の増加などの問題につながる恐れもあります。
また一部の従業員が規則を守らないことが日常化すると、ほかの従業員の規則順守に対する意識が低下してしまいます。職場全体の勤務態度に悪影響を及ぼすため、休憩時間の超過は深刻な問題であると認識しておくことが重要です。
休憩時間超過への対処方法
休憩時間超過への対処方法として、超過時間分の給与控除が挙げられます。仕事に従事していない時間に対する賃金は支払わなくてもよいとされており、労働基準法第二十四条に基づいているため、違法にはなりません。
ただし、超過した休憩時間以上の給与控除は、懲戒処分に該当する恐れがあるため、注意が必要です。また労働基準法第九十一条では、「一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と定められています。
段階的なアプローチで効果的に問題解決へ
休憩時間の超過は、規則違反をした従業員だけの問題ではなく、会社運営に悪影響を与える恐れがある重大な問題です。休憩時間の超過が日常化しないように対処する必要があるものの、規則違反に対する指導や処分は段階的なアプローチをとることが重要になります。
口頭や書面による注意から行い、従業員が自身で改善する機会を与えることによって、規則を守る意識の向上が期待できます。休憩時間をはじめとする規則の順守に関する教育を行うことによって、従業員個人だけでなく職場全体の意識改善へとつなげることが大切です。
出典
e-Gov 法令検索 昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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