義母に「二世帯住宅のほうがいろいろお得よ」と言われました。本当にお得なのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月13日 10時0分
![義母に「二世帯住宅のほうがいろいろお得よ」と言われました。本当にお得なのでしょうか?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_292299_0-small.jpg)
二世帯住宅で暮らすと、いろいろとお得になるといわれていますが、本当にお得になるのか知りたいですよね。 今回は、親の持つ敷地に二世帯住宅を建てて暮らす場合、どのようなお得があるのか? また、その際のメリットやデメリットについても考えてみましょう。
お得といわれるのは金銭的なメリットや税制上のメリット、その他のメリットがあるから
お得といえば、お金に関することを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。まず、金銭的なメリットを考えてみましょう。
・敷地が親の持ち物の場合、土地の購入代金がかからない
・家を建築するときのローン費用を親に部分的に負担してもらえる可能性がある
・親に子どもの面倒をみてもらうことが期待できる
など
・家を建築するときの費用を子どもにも一部負担してもらえる可能性がある
・いつも孫の顔が見られる
・日常生活において何か問題があった際に子世帯にフォローしてもらえる
・介護の不安が軽減される
など
そして、二世帯住宅の最大のメリットといわれているのが、税制的なメリットです。相続発生時に土地を持っている人の多くが利用する特例に、小規模宅地等の特例というものがあります。この特例を利用した場合、土地の評価額の80%が減額される制度です。
つまり、土地の評価額が1億円であった場合、80%減額した2000万円を評価額とますので、相続税課税額を圧縮できます。ただし、小規模宅地等の特例の適用を受けるには要件を満たしている必要があります。
被相続人等(親世帯)の居住の用に供されていた宅地の場合、特定居住用宅地等であり、限度面積は330平方メートルまでと制限があり、さらに被相続人と同居していることが条件とされています。また、特例が適用されるのが330平方メートルまでですが、それ以上に広い土地であっても、一定の条件のもと特例を利用できます。
ただし、同居親族以外であっても、被相続人に配偶者や同居相続人がおらず、相続開始前の3年以内に、その親族やその親族の配偶者や3親等内の親族や同族会社等が所有する家屋に住んだことがない場合も適用されます。これは3年以上賃貸で暮らしている人を対象にしていることから「家なき子の特例」とも呼ばれています。
こちらの特例は利用やすい反面、細かい要件があるため、利用するときには、税務署等で確認すると安心です。
その他の税制的なメリットもある?!
不動産を取得するときには、不動産取得税、固定資産税が発生しますが、要件を満たすことで税額を減らすことが可能になります。代表的なものとしては下記のとおりです。
●不動産取得税・・・住宅を新築した場合、課税標準から2分の1の控除が受けられ、本来4%の税率が3%になる。
●固定資産税・・・戸建の場合、税額を3年間税額を2分の1に減額(マンションの場合5年間税額を2分の1に減額)。
デメリットについても目を向けよう
二世帯住宅にすると、メリットばかりのように思えるかもしれませんが、デメリットも生じてきます。
まず、金銭的な問題としては、二世帯住宅で暮らしていない他の兄弟姉妹がいるときには、税制上は節約できたとしても、相続財産の内容が不公平になってしまう等、分配方法を巡ってトラブルになってしまう可能性があります。
特に相続が発生した場合大きな金額を相続人で分配するケースもあるでしょうから、あらかじめ相続財産の配分について家族で話し合っておくことも必要です。また、経済的価値が相続人同士均等になるように、事前に準備しておく等の対策も重要なポイントです。
さらに、二世帯で生活することにより、精神的な負担が生じる可能性も見逃せません。
二世帯住宅で暮らすというのは、ある意味、親世代やそれ以上の世代がこれまで行ってきた付き合い方を継続することも意味します。冠婚葬祭以外の親族の集まりなどへの参加や外部からの干渉が生じる可能性があります。
また、親世帯と至近距離で暮らしているため、親からの過干渉があったり、プライバシーが失われてしまったりすることもあるかもしれません。二世帯住宅にはたくさんのメリットがある反面、あらかじめルールを決めておかないと、後からトラブルになってしまうケースもあるのです。
二世帯住宅で暮らしたいと考えているなら、資金計画とともに、どうしたらより税制上のメリットが得られるのかを考えること。また、お互いが気持ちよく生活できるよう、どのようなルールを設けるのが良いのかを話し合っておくことも必要です。
出典
国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
国土交通省 令和6年度 国土交通省税制改正概要 P.6、16
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
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