先輩から仕事を押し付けられ、いつも私だけ有休がとれません。訴えることは可能でしょうか。
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月14日 8時0分
職場環境によっては、嫌がらせを目的とした仕事の押しつけや業務量の増加が起こるケースも珍しくありません。このようなパワハラは、泣き寝入りしても解決が見込めないこともあります。そのため、事態が悪化する前に、労働基準監督署への相談や訴訟などの対策を講じましょう。 そこで今回は、仕事の押しつけやパワハラの訴訟で発生するお金について解説します。
仕事の押しつけはパワハラの可能性あり
厚生労働省が公開している「パワーハラスメントの定義について」によると、パワハラは以下のように定義されています。
「優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること」
「業務の適正な範囲を超えて行われること」
「身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること」
仕事の押しつけは、上記の3つすべてにあてはまるため、パワハラと認められる可能性があります。またパワハラは、暴力を伴う行為だけがあてはまるわけではありません。例えば、罵倒や暴言、過酷な労働環境の強制もパワハラに該当します。
仕事の押しつけの場合では、職場内の人間が故意に起こしたものか、本人に精神的苦痛が伴うかが主な争点になるでしょう。いずれにしても、現状の業務量に違和感があるなら、労働基準監督署への相談をおすすめします。
パワハラとみなされる基準
パワハラを受けている人のなかには、現状がパワハラと認識できていない場合があります。例えば、ストレスに耐性がある方だと、多少の押しつけが生じても無理して仕事に従事してしまうでしょう。
仕事の押しつけは、厚生労働省が「上司が部下に対して、長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずる」といった例がパワハラにあたる可能性があるでしょう。パワハラのなかには、はっきりとパワハラと言いづらい陰湿な嫌がらせもあれば、明確な意思をもってパワハラをしてくるケースもあります。うつ病や過労などの実害がでれば訴訟にまで発展しやすいですが、できるなら早期の解決が望ましいでしょう。
「任せる」と「押しつけ」の違い
仕事を「任せる」と「押しつけ」の境界は、曖昧です。パワハラを告発した場合でも、人によっては「仕事を任せていただけ」と釈明するケースもあるでしょう。「任せる」と「押しつけ」の主な違いは、業務内容の正当性と本人のストレスにあると考えられます。
例えば、仕事の内容が本人でも問題なくこなせるものと第三者が見て判断できるなら「任せる」といってよいでしょう。一方、担当する業務量が明らかに個人でこなせるキャパシティーを超えている場合には、「押しつけ」とみなされます。
パワハラで訴訟した際にかかわるお金
次に、パワハラで訴訟に発展した場合にかかるお金について解説します。訴訟に発展した場合、必ずしも慰謝料や賠償金がもらえるとは限りません。また、原告(訴訟した側)にも費用がかかるため、あらかじめ予算を見積もったうえで、訴訟に臨みましょう。
訴訟費用
裁判に関連するお金には、以下のようなものがあります。
・裁判手数料
・手続きにかかる諸費用
・弁護士費用
上記のうち、裁判手数料と手続きに関する諸費用は、勝訴によって被告(訴えられた側)に請求できます。裁判手数料は被告に求める賠償額によって変動しますが、数万円ほどで済む場合がほとんどです。
ただし、弁護士費用は勝訴しても被告に請求できません。裁判手数料も一時的に原告側が負担するため、弁護士費用も合わせてある程度まとまったお金を用意しておくとよいでしょう。
慰謝料・賠償金
パワハラの裁判で原告側が勝訴すると、事前に提示した金額の満額、あるいはその一部を請求できます。精神的苦痛を伴った慰謝料はもちろん、実損が生じた場合は休業被害や治療費も請求できる可能性があります。
パワハラは労働基準監督署に相談しよう
パワハラは陰湿なものも多く、はっきりと判断しづらいケースだと長期化するおそれもあります。特に仕事の押しつけは暴言や暴力を伴わない分、判断が難しいといえるでしょう。
しかし、もし「これってパワハラ?」と思うことがあれば、知り合いや労働基準監督署に気兼ねなく相談しましょう。
出典
厚生労働省 パワーハラスメントの定義について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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