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上司から「残業は勤怠で『コミュニケーション』や『自己啓発』と入力して」と言われました。普通に仕事や会議をしているのですが、これってブラック企業ですよね…?

ファイナンシャルフィールド / 2024年5月18日 4時30分

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残業が発生すると、労働者は残業を会社に申請し、その残業時間に応じて残業代が支払われるのが一般的です。   しかし新入社員が、会社の先輩から「夜20時までの仕事は残業としない」という暗黙のルールがあることを告げられ、退社時間が遅くなった理由については「残業以外」で報告するよう求められたらどうでしょう。疑問を感じてもしぶしぶ残業を申請しない新入社員は多いのではないでしょうか。   このようなケースでは、過去に申請しなかった残業をさかのぼり、未払い残業代を請求することはできるのでしょうか?   本記事では労働時間の違い、労働時間の適正な把握のために会社が講ずべき措置や未払い残業代の請求方法・金額について解説します。

出退社時間と労働時間は違う

社員証をカードリーダーに読み込ませて出社・退社時刻を把握する会社は多いでしょう。カードリーダーはあくまでも出社・退社の時刻を記録するもので、労働の開始・終了時間と同じではありません。
 
例えば終業後に同僚と仕事に関係のない雑談をしていて退社時間が遅くなった場合、その時間は会社にいた時間だったとしても、労働時間には該当しません。
 

労働時間に含まれる業務とは?

労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間をさし、次のような時間も労働時間に含まれます。なお、使用者とは「課長」「部長」などの肩書ではなく一定の権限が与えられているかどうかで判断されます。
 

・使用者の指示で就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替えなど)や、業務終了後の業務に関連した清掃などの後始末を事業場内で行った時間
 
・使用者の指示があった場合、即時に業務に従事することを求められており、 労働から離れることが保障されていない状態で待機などをしている時間(いわゆる「手待ち時間」)
 
・参加することが業務上、義務付けられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示で業務に必要な学習などを行っていた時間

 
今回のケースの場合、毎日20時までの業務が使用者の指示であれば、労働時間に該当します。
 

会社は労働時間を正確に把握し、残業代を支払う義務がある

会社側には労働時間(始業・終業時刻)を正確に把握することが義務付けられています。使用者に定められた始業・終業時刻を確認し、記録する方法は次のとおりです。
 

・使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること
・タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること
・労働者の自己申告

 
労働者が自己申告する場合、今回のケースのように退社時間と終業時刻の差異が大きいときは会社側の調査が必要ですが、社員証などのICカードで管理している場合はそこまで求められていません。
 
今回のケースにおいて、「残業代をつけない」というのは使用者ではなく先輩社員の指示によるものです。会社側は始業・終業時刻の管理体制を構築していますが、社員が自ら残業を申告していない状態です。
 
しかし会社側は労働時間を正確に把握し、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた場合は割増賃金を払う必要があります。管理職などの使用者がこの状態を見て見ぬフリをしている場合は未払い残業に該当すると考えられます。
 
また時間外労働の上限規制は原則1月45時間、年間360時間であり、1日に換算すると2時間程度です。
 
今回のケースで終業時刻が17時の場合、20時まで働くと1日3時間、月20日出勤すると仮定すれば60時間の残業となり、時間外労働の上限規制を超えている可能性も考えられますし、そもそも残業代を支払わない行為も労働基準法違反となります。
 

未払い残業代は請求できるの? どのくらいの金額?

今回のケースでは、まず残業申請や勤怠入力について、先輩ではなく使用者に該当する管理職などに相談するべきだと考えられます。使用者が労働環境や勤怠入力の件を把握しているかどうかを確認しましょう。そして未払い残業代を請求するには「残業していた」という証拠が必要になります。
 
今回のケースでは会社側が保管しているデータに出退社時間が記録されていますので、その時間帯に業務関係のメールや通話記録、書類の作成記録が残っていれば、「実際には業務をしていた」という証拠になります。
 
会社と直接交渉するのが不安な人は、労働基準監督署や弁護士などに相談するといいでしょう。
 
今回のケースで月当たり60時間の未払い残業代があると仮定すると、賃金が時給換算で2000円の場合、「2000円×1.25(残業割増賃金率)×60時間=15万円」と計算されます。
 
また未払い残業代の請求は過去3年(2020年4月1日以降の未払い残業代に限る)までさかのぼって請求することができます。仮にこのような残業が継続的に続いていた場合は「15万円×12ヶ月×3年=540万円+遅延利息」と非常に高額になる可能性もあります。
 

出典

厚生労働省 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
厚生労働省 時間外労働の上限規制
厚生労働省 東京労働局 未払賃金とは
厚生労働省 未払賃金が請求できる期間などが延長されています
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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