刀鍛冶職人に興味があります。弟子入り期間や年収はどのくらいですか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月22日 9時10分
日本の伝統工芸品である「刀」は、現代で使われることはありませんが、できのよい刀はコレクションとしての価値があるといわれます。また刀作りを担う鍛冶職人は「刀匠」と呼ばれる立派な仕事です。 しかし、刃物全般を取り扱うには文化庁の許可を得なければなりません。そこで今回は、刀鍛冶職人という職種について詳しく解説します。
刀鍛冶の仕事は幅広い
刀鍛冶職人は国内で「刀匠」と呼ばれており、包丁やハサミなど刃物全般の製造を担う職人を指します。大昔は武士が携帯していた刀を作る職人でしたが、現代では刀ではなく、主に園芸用のハサミや農具、家庭用の包丁を作ることをなりわいとしています。
刀鍛冶職人を目指す人は、刀匠のキャリアやルートを確認したうえで、その道を進みましょう。そこで、刀鍛冶職人の概要について解説します。
刀を作るには許可が必要
刀を始めとした刃物類を製造するには、文化庁の許可が必要です。また、刀の場合は製造本数が24本までと定められており、大量生産できません。
そもそも刀匠の作る刃物は総じて製造に時間がかかります。そのため、刀匠の作る刀や刃物類は総じて高値で取引されます。
また、刀匠の仕事は高温の鉄や鋭い刃物を取り扱うため、危険が伴います。物作りが好きな人に向いている一方、センスの問われる世界であるため、職人の道を進むにはある程度の覚悟を持って臨む必要があります。
弟子入り期間はおよそ5年
刀匠として刀や刃物類を作るには、5年間の修行期間と文化庁の登録審査員2名以上による推薦が必要とされています。以上の条件をクリアした者が刃物の製造許可を得られるため、弟子入り期間は5年間以上は見積もっておかなければなりません。
また5年間の修行であっても、就職先の職人から技術を認められなければ、独立の許可をもらえない場合もあります。そのため、一概に5年たてば必ず刀匠として活躍できると保証されているわけではありません。
刀鍛冶の年収
刀鍛冶職人の年収に公的な情報はありませんが、有名な刀匠なら高年収ともいわれています。ただし、基本的に作った刀や刃物を売って生計を立てるため、決まった収入があるとはいえません。
また刀匠になりたての頃は知名度もなく、作った刀や刃物を売るには、地道な営業努力が欠かせません。有名な刀匠のもとなら福利厚生が充実している可能性はありますが、原則として刀匠の就業条件は場所によって大きく異なります。修業時代は無賃ともいわれている業界なため、立派な刀匠に上り詰めるまでは、収入面で苦労するかもしれません。
刃物業界の将来性
刀匠を始めとした日本の伝統工芸文化は、年々衰退の一途をたどっているといわれます。そのため、刀鍛冶職人を目指す人のなかには、将来性を不安視する気持ちも少なからずあることでしょう。そこで、刃物業界の将来性について解説します。
大きく稼げないが安定した需要がある
刀匠の仕事である刃物の製造は、製造業における「金属製品製造業」に分類されます。2020年に実施された「工業統計調査」によると、産業のうち金属製品の出荷額の割合はおよそ4.9%です。
また同資料の平成2年から2020年までの数値を見ると、常に5%前後をキープしており、国内でも刃物の需要は一定数存在していることが分かります。以上の情報と刀匠の職業を踏まえると、売り口を開拓ができた刀匠なら一定の収入が見込めるといえるでしょう。
刃物作り以外の仕事もある
刀匠の仕事は、刃物の製造だけではありません。例えば、料理人や主婦層に向けた刃物研ぎのサービスや出張メンテナンスサービスを実施している刀匠もいます。アイデアと営業努力次第で仕事の幅を広げられる点は、特定のスキルに特化した職人系の恩恵ともいえるでしょう。
刀鍛冶は刃物全般を扱う仕事
刀鍛冶職人は、国内外の刃物全般を取り扱う伝統工芸の世界です。近年は海外の日本人気から、刀に対するニーズも高まってきています。刀の製造にはさまざまな制限がありますが、昨今の海外需要も巻き込めるなら、高い収入が期待できるでしょう。
出典
国税庁 日本標準産業分類からみた事業区分(大分類-E製造業)
経済産業省 概況 利用上の注意
全日本刀匠会 刀鍛冶になりたい方へ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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