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年金を60歳から受け取ると「損」って本当ですか?“平均寿命”まで生きるなら「65歳」から受け取るほうが得でしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年5月24日 5時0分

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原則として65歳から受給開始となる年金ですが、もうすぐ60歳を迎え、「生活費が足りない」「もらえるなら可能な限り早く受け取りたい」と考える人も多いのではないでしょうか。しかし一方で「繰上げ受給をすると損をする」という意見もあります。   今回は繰上げ受給をした場合、受け取り総額にどれくらい変化があるのか紹介します。計算方法も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

受給開始年齢別に年金受け取り総額を比較

60歳で繰上げ受給を行った場合と、原則の65歳から受け取った場合とで、年金受け取り総額を比較してみます。年金の受け取り総額はいつ亡くなるかにより変動するため、平均寿命まで存命である場合のシミュレーションを行います。
 
なお、このシミュレーションは、昭和37年4月2日以降生まれで、65歳時点の受給年額を180万円として計算します。平均寿命については、厚生労働省の令和4年簡易生命表を参考にして、男性が81.05歳、女性が87.09歳と仮定します。
 
シミュレーションの結果は図表1の通りです。平均寿命まで存命した場合、男性・女性ともに、65歳からの年金受給のほうが、60歳から繰上げ受給するよりも受け取り総額が大きくなることがわかります。
 
また、女性のほうが平均寿命は長いため、男性よりも受け取り総額が大きくなることがわかります。女性であれば、60歳から繰上げ受給する場合と65歳から受給する場合との受給総額の差は、270万2880円です。
 
図表1

図表1

著者作成
 
この結果から、男性でも女性でも「平均寿命まで生きるのであれば、原則の65歳からの受給開始のほうが金銭的なメリットがある」といえます。一方で、繰り返しになりますが、年金の受け取り総額はいつ亡くなるかにより変動します。図表1の結果については一つの参考としてください。
 

繰上げ受給による減額率の計算について

ここからは、繰上げ受給をした際の減額率はどのように計算されるのかを説明します。減額率の計算方法は以下の通りです。
 
繰上げ受給時の減額率=0.4%(※)×繰上げた月数(60~64歳)
※1962年4月1日以前に生まれた人については0.5%
 
以上の計算方法をもとにすると、例えば60歳から受給を開始した場合の減額率は以下です。
 
60歳で繰上げ受給した場合の減額率=0.4%×60ヶ月=24%
 
つまり、60歳で繰上げ受給した場合は、受給額が24%減額されることになります。この減額率は一生涯にわたって適用されるため、長寿であればあるほど、65歳からの受給開始の金額よりも、受け取り総額の減少幅は大きくなります。
 

繰上げ受給するかは慎重に検討を

図表1の計算結果から、平均寿命以上に長寿である場合には、原則の65歳からの受給開始のほうが、60歳で繰上げ受給するよりも金銭的メリットがあることがわかりました。
 
それでも、60歳から繰上げ受給をしたいという人も一定数いるでしょう。注意すべき事項は、一度繰上げ受給をしてしまうと、変更できないことです。そのため、60歳以降の家計の収支状況や給与収入があるかなどをよく考慮した上で、受給開始タイミングを検討してみてください。
 

出典

厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況
厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方]第11 老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給
 
執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート

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