ニュースで目にする「春闘」って一体何ですか? 春闘が賃上げに繋がる仕組みを教えて!
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月24日 7時50分
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新生活シーズンを目前にすると、ニュースや新聞などで「春闘」という言葉を目にする機会があると思います。なんとなく「企業側と労働組合の賃上げ交渉だろう」というイメージをお持ちの方が多いでしょうが、実際にどういったことが行われ、なぜ春闘が賃上げにつながるのか把握している方は少ないのではないでしょうか。 そこで本記事では、春闘の内容と賃上げにつながる理由などについて解説します。
春闘とは?
厚生労働省のホームページによると、春闘とは各企業等の労働組合が全国中央組織の労働団体や産業別組織の指導・調整のもとに、毎年春ごろに賃金引き上げ等を中心とする要求を各企業等に提出して行う団体交渉であると説明されています。
現在の形式の春闘は1956年に始まったとされていますので、意外に歴史が長いと感じる方もいるのではないでしょうか。なお、春ごろに決着がつくことから春闘と呼ばれていますが、一連のプロセスは前年から進められているため、時間をかけて準備を進める労働運動となっています。
労働組合単体だけでは、企業との交渉をスムーズに進めることは難しいです。そこで、日本労働組合総連合会や産業別組織といった組織と連携することが重要となります。
春闘の具体的な交渉内容
一般的なイメージだと、春闘イコール賃上げ交渉だと考える方も多いかもしれません。しかし、実際には賃上げ以外の労働条件・労働環境の整備なども交渉内容に含まれます。昨今は働き方改革の推進やダイバーシティの導入など、労働環境はめまぐるしく変化しており、誰もが働きやすい仕組みを構築することも重要なテーマとなっています。
これらを実現して、労働者の地位の向上や過労死リスクの低下などを求めるためには、企業の経営者との交渉が不可欠です。春闘での交渉によって、物価の上昇やより働きやすい労働環境の整備などにも対応でき、労働者は日常生活を充実させるとともに仕事に対するモチベーションの向上を期待できます。
春闘で企業側が交渉に応じる理由
春闘は賃上げ交渉がメインになりますので、春闘の交渉内容を経営者側が認めれば、人件費の高騰につながります。人件費が増加すると、企業としては利益が目減りしてしまうことになりますが、それでも交渉に応じることには理由があります。
春闘とは、基本的に企業側の経営者と労働組合の間で行われる団体交渉です。そのため、春闘には「労働組合法」が適用されます。労働組合法第七条では「不当労働行為」というルールが定められており、使用者は労働組合との団体交渉を拒否することや、労働組合の正当な行動を理由に従業員を解雇するなどの不当な行為が禁止されているのです。
また交渉のテーブルに関しても、合意しなければ企業側にもデメリットがあります。なぜなら、労働組合側は交渉が決裂した場合は「ストライキ」を実施する恐れがあるためです。ストライキは日本国憲法第二十八条に「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」とあるように、憲法でその権利が保障されています。
一般的に賃金を受け取る立場である労働者の地位は、企業に対して劣後して考えられがちです。しかし、団体交渉と法律による保護によって、労働者の地位向上のために春闘の権利は守られています。春闘への参加が今後の地位を不利にすることはありませんので、正当な権利を主張してよいといえるでしょう。
春闘は労働者の地位向上のための権利
春闘による交渉は、団体交渉によって企業側に労働者の地位向上を要求する正当な権利です。企業側は交渉を拒否することはできず、春闘を理由に労働者に不利な待遇を押し付けることは禁止されています。法律などのルールにのっとることは必要ですが、よりよい労働条件で働けるように企業側と交渉することも重要です。
出典
厚生労働省 春闘
e-Gov法令検索 労働組合法
e-Gov法令検索 日本国憲法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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