教育資金を貯めたいけれど余裕がありません。児童手当の「月1万円」で投資をしたら、10年で教育資金を貯められるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月25日 2時40分
日本の少子化の一因として経済的負担が挙げられるように、子育てにはお金がかかります。 そのなかでも、特に教育費の負担が大きいといわれています。国では子育て費用を補助する目的で児童手当を支給していますが、この児童手当だけで教育資金をいくら貯めることができるでしょうか。 本記事では児童手当の1万円が10年でいくらになるかを試算します。教育資金に不安を覚えている人は参考にしてください。
子どもの教育費用はどれくらいかかるのか
日本政策金融公庫では、教育機関別に教育費用の平均データを提供しています。すべて公立の教育機関を利用した場合の教育費は、図表1のとおりです。
【図表1】
教育機関 | 教育費の平均 |
---|---|
幼稚園 | 47万3000円 |
小学校 | 211万2000円 |
中学校 | 161万6000円 |
高校 | 154万3000円 |
大学 | 248万1000円 |
日本政策金融公庫「教育にかかる費用はどのくらい?」をもとに筆者作成
月1万円の投資10年で教育資金はどれだけ賄えるのか
児童手当は3歳未満で1万5000円、それ以降は中学卒業まで1万円(第3子以降1万5000円)が毎月支給されます。この1万円を学資保険や投資信託などを利用して10年間積み立てた場合の金額を試算してみました。
なお、投資信託に元本割れのリスクがある点は広く知られていますが、学資保険も契約内容によっては元本割れの可能性があるので注意しましょう。
学資保険による積立額
学資保険の場合、契約内容によって返戻率が異なります。返戻率が100%未満の場合に元本割れとなるので、なるべく返戻率の高い契約をすることで満期保険金を大きくすることができます。
毎月1万円を10年間支払い続けたときの満期保険金は、返戻率によって下記の違いがあります。
・返戻率103%:1万円×12ヶ月×10年×103%=123万6000円
・返戻率105%:1万円×12ヶ月×10年×105%=126万円
・返戻率107%:1万円×12ヶ月×10年×107%=128万4000円
・返戻率109%:1万円×12ヶ月×10年×109%=130万8000円
学資保険は保障が充実していると返戻率が低くなる傾向があるので、保障にこだわらず返戻率の高い保険を検討することも必要です。
新NISAなどの投資信託
投資信託はハイリターンの可能性がある投資商品ですが、一方で元本割れのリスクも伴います。しかし、積立型で長期間投資をすることで、ある程度リスクはおさえられます。
ただし、利益に対して所得税がかかるため、一定金額まで非課税となる新NISAを利用するとよいでしょう。毎月1万円を10年間運用した場合、年利別の運用益を含む積立総額は以下のとおりです。
・利回り3%:139万7919円(運用益 19万7919円)
・利回り5%:154万9921円(運用益 34万9921円)
・利回り7%:172万189円(運用益52万189円)
・利回り9%:191万860円(運用益71万860円)
学資保険よりも利回りがよい新NISAでも、利回り9%で約191万円しか貯めることができません。児童手当の運用では、図表1の小学校の教育費にも満たないことになります。そのため、積立金額を増やし、早期から始めて長期間の運用をするといった対策が必要です。
投資信託と学資保険の分散投資
学資保険と新NISAは、ともに元本割れのリスクもあります。経済的にあまり余裕がない場合は、なるべくリスクを低くする必要があるので、新NISAと学資保険の双方に分散する方法がより安全です。
新NISA、学資保険をそれぞれ半額の5000円ずつ積み立てた場合は以下のとおりです。
・新NISA(利回り9%):95万5430円(運用益35万5430円)
・学資保険(返戻率109%):60万円×109%=65万4000円
・合計:160万9430円
原則として積立金額が半額になれば利益もほぼ半額になりますが、新NISAが元本割れをしても大きな損失を避けることができるのが分散投資のメリットです。
毎月1万円の積立では10年でも教育資金としては不足、月額を増やすか長期の計画にしよう
毎月1万円で10年間運用しても、教育資金全額を賄うことはできません。特に、リスク軽減のために分散投資をするほど、不足することになります。
そのため、教育資金を貯める場合は早期から積立を始めて、かつなるべく積立金額を大きくすることが必要でしょう。教育機関はなるべく公立を選択し、奨学金なども利用することも考慮しましょう。
出典
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
日本政策金融公庫 教育にかかる費用はどのくらい?
金融庁 NISA特設ウェブサイト NISAを知る
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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