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住民税非課税世帯なので、市から「給付金」を受け取りました。たまに「誤送金」のニュースを耳にしますが、一度受け取ったのに返還する必要はありますか?「市役所のミス」ですよね?

ファイナンシャルフィールド / 2024年5月26日 5時0分

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非課税世帯などに支給される給付金は生活が苦しい人々の暮らしを支えています。そんな給付金ですが、ニュースなどで目にすることもあるのが「給付金の誤送金」。本来給付する予定だった金額を超えた額を自治体側が振り込んでしまったというものです。   このように役所のミスで誤送金があった場合、受け取った側は返還の必要があるのでしょうか。本記事では給付金の誤送金について、もし自分の身に起きた場合にどうすべきかについて解説します。

誤送金で得たお金は返金する義務がある

自分の通帳に入金されたお金とはいえ、誤送金によって受け取ったお金は本来受け取る権利のないお金ですので、「不当利得」に当たります。
 
不当利得とは「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う」というものです。
 
つまり、もし不当利得で金銭を得た場合、受け取った人は「本来受け取る権利のない財産の利益」を受けており、「他人の損失(今回の場合は市区町村などの財産)」に損害を与えることになるため、法律上の返還義務を負うこととなります。
 
役所の誤送金そのものは受け取った人に過失があるわけではないので、誤送金に気づいた段階で役所に届け出たり、役所の求めに応じて返還の手続きをしたりすれば基本的に問題ありません。
 
しかし誤送金に気づいていたにもかかわらず故意に黙っていたり、給付金を使用したりした場合は悪意があったとみなされ、利子をつけての返還を求められることもあります。
 

返還を拒否すると刑法で裁かれることも

誤送金によって得た給付金には返還義務がありますが、もしも返還を拒否し、悪意をもって使用した場合には罪に問われることもあります。
 

詐欺罪

通帳に振り込まれた給付金を銀行の窓口で引き出した場合は、銀行の職員を騙して財産を移転したことになるので詐欺罪が成立する可能性があります。刑罰は10年以下の懲役刑となっています。
 

窃盗罪

ATMで現金を引き出した場合は、人を騙す行為がないため詐欺罪ではありませんが、不当に財産を窃取したことになるので窃盗罪が成立する可能性があります。刑罰は10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
 

電子計算機使用詐欺罪

誤送金を受けた口座から別の口座へお金を振り込んだ場合は、電子計算機使用詐欺罪が成立する可能性があります。電子計算機使用詐欺罪はコンピューター詐欺罪とも言われています。直接人をだましたわけではありませんが、機械を騙して不実の電子記録を作成したとして、刑罰は詐欺罪と同じ10年以下の懲役が科せられます。
 

時効となる場合

実は誤送金によって振り込まれた給付金の返還義務や刑事責任には時効もあります。送金した側が誤送金に気づいてから5年、あるいは誤送金が発生してから10年のどちらかが経過すると、民事上の返金義務は時効で消滅します。
 
もし送金した側が誤送金の事実に10年間気づいていなかった場合、あるいは気づいていたのに5年間請求をしなかった場合は、誤送金による不当利得であっても返還義務はなくなるのです。
 
また刑事訴訟法にも公訴時効という制度があり、詐欺罪・窃盗罪・電子計算機使用詐欺罪については、それぞれ犯行のときから7年が経過すると時効を迎えます。
 

誤送金に気づいたらすぐに連絡を

給付金の誤送金はあってはならないことですが、どんな物事でもヒューマンエラーは存在し、私たちも関係がないこととは言い切れません。給付金の誤送金があった場合、故意に知らせなかった、あるいは不当利得と知りながら使用したと判断されると刑事罰を受けることもあります。
 
給付金を受ける場合は通帳記帳をして通知書と照らし合わせ、正しい金額が振り込まれているか確認しておくと安心です。万が一誤送金があった場合はできるだけ早く役所の担当課に届け出るようにしましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 民法
e-Gov法令検索 刑法
e-Gov法令検索 刑事訴訟法
 
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級

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