7人1人は高齢者の時代だからこそ知っておきたい!認知症になる前にやっておくべき、財産の話
ファイナンシャルフィールド / 2018年11月23日 10時0分
平成29年版高齢社会白書によると、65歳以上の認知症高齢者数は、平成24年では462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人という結果でした。 平成37年には約5人に1人になるとの推計もあるそうです。 認知症になると、本人の預金の引き出しだけでなく、本人名義の実家の売却ができなくなります。 いわゆる資産が凍結され、資産が使えなくなり、介護費用さえ捻出できなくなります。 今回は、認知症になる前に行っておけば、そういった問題が発生しないですむ仕組みについて紹介します。
認知症になった人のお金や不動産といった財産はどうやったら処分できるのか?
「家族信託」というやり方があります。
認知症の場合、認知症になる前に、財産を持っている本人(委託者)が息子さんや家族など信頼できる人(受託者)と契約をします。
それにより、財産の名義が受託者に移され、受託者は委託者に代わって財産の管理や運用、そして売却などを行うことが可能となります。
対象となる財産は、金銭、有価証券、土地・建物、知的財産権など、「分離可能な特定できる財産」であれば幅広い財産を信託することができます。
実際の手続きは、委託者(財産の保有者)と受託者(財産の管理・処分を委託される人)とで信託契約を結び、財産の名義を変更していくことなどが必要になります。
そのため、弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談すると良いでしょう。
「家族信託」のメリットとデメリット
■メリット
(1)認知症による資産凍結を対策することができます
本人が元気なうちに家族信託をしておけば、たとえ本人が認知症になったとしても、家族などの受託者が財産の管理や処分をすることができます。
つまり、認知症になった本人の財産を使って、介護などの費用に充当することができます。
(2)成年後見制度よりも、制約が少なく、負担を軽減できます
成年後見制度との大きな違いは、大きく3つあります。
1つは、(1)で説明したとおり、委託者が認知症発生後も信託の契約や効力を継続させられることです。成年後見制度では、継続することができません。
2つ目は、財産の管理を家族などの受託者が行えるということ。成年後見制度では、裁判所などが決定します。
最後に、財産の管理内容を定期的に裁判所へ報告する必要はないので、手間を省くことができる点です。
(3)遺言ではできないことも可能になります
通常の遺言では、二次相続以降の資産継承者の指定はできませんが、家族信託を活用すれば可能になります。
つまり、自分の希望する順番で、何段階にも資産継承者を指定することができます。
ちなみに、二次相続とは、例えば父親が亡くなったときの遺産相続が一次相続とすると、残された母親が亡くなったときに行われる相続が二次相続になります。
■デメリット
家族信託制度自体のデメリットは特にありません。
この制度は法改正から歴史が浅く、活用事例も少なく、制度設計の自由度が高い反面、個々の状況に応じた設計を適切にすることがしにくいという側面があります。
したがって、手続きは難しく、弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談したほうが無難です。
家族信託に関する無料相談やメールで相談を行っているところもありますので、まずは相談することからはじめてみてはいかがでしょうか。
出典:内閣府ウェブサイト 内閣府ホーム>内閣府の政策>共生社会政策トップ>高齢社会対策>高齢社会白書>平成29年版高齢社会白書(概要版>3 高齢者の健康・福祉
Text:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
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