年金世代の「50万円の壁」とは? 定年後「働き損」にならないために、注意すべきポイントを解説!
ファイナンシャルフィールド / 2024年5月30日 2時10分
![写真](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_297036_0-small.jpg)
定年退職後も働き続けたいと考えている人の中には、「働きながら年金を受け取ることができるのか」「年金が減額される条件とは具体的にどのようなものがあるか」など、いわゆる在職老齢年金制度に興味がある人も多いことでしょう。 本記事では、高齢者の就労で話題となるいわゆる「50万円の壁」とその影響について紹介します。この知識を武器に、あなたの老後の生活設計をもっと豊かで賢いものにしましょう。
【定年後働きながら年金を受給する仕組み】在職老齢年金とは
在職老齢年金は、60歳以上で働きながら老齢厚生年金を受け取ることができる制度です。
この制度は、年金を受給しながら労働収入も得ることができ、さらには厚生年金保険料の支払いを通じて将来の年金額を増やすことも可能となります。この制度の利用資格は、厚生年金に加入していることが前提となります。従って、個人事業主のような自営業者は対象外です。
【これ以上働くと働き損!?】50万円の壁とは? 壁を超えるとどうなる?
「50万円の壁」とは、在職老齢年金において年金受給額と賃金の合計が月額50万円を超えると、年金が減額されるというルールです。
具体的には、超えた金額の半額が年金から差し引かれます。例えば、年金が月20万円、給与が月32万円の場合、合計52万円で2万円超えとなるため、超過分の半額である1万円が年金から減額されます。
もともと20万円であった年金は実質19万円が支給される計算(給与と年金で合計51万円)になります。
在職老齢年金制度を利用して働く際の注意点
在職老齢年金制度の利用を選択する際には、そのメリットとデメリットをしっかり理解しておくことが重要です。ここでは、より詳細にその両面を掘り下げてみましょう。
在職老齢年金制度を利用して働くメリット
在職老齢年金制度を利用して働くメリットは、主に以下の2点です。
1. 在職定時改定制度による年金額の増加
在職定時改定制度では、65歳以上の在職者の年金額が毎年10月に見直される制度です。これにより、働きながら支払った保険料が直接年金額に反映され、年金受給額が増える可能性があります。退職を待たずに支払った保険料の恩恵を受けることができるのは大きなメリットです。
2. 社会保険の保障の継続
厚生年金保険の加入が続くことで、同時に会社の健康保険も継続されます。これにより、病気やけがをした際にも安心して治療を受けることができるほか、将来の年金受給額が増加するため、老後資金の確保にもつながります。
在職老齢年金制度を利用して働くデメリット
一方でデメリットは以下の2点が挙げられます。
1. 支給停止額の発生
在職老齢年金の最も大きなデメリットは、支給停止調整額を超えた場合、超過分の半額が年金から減額される点です。特に賃金が高い場合、年金が全額支給停止になることもあり得ます。予想外の収入減による「働き損」になってしまう可能性があるため、注意が必要となります。
2. 加給年金の受給不可
在職老齢年金の全額支給停止の場合、加給年金)も受け取ることができません。一定の条件を満たす配偶者や子どもがいて加給年金を支給されている場合、大きな痛手となる可能性があります。
まとめ
在職老齢年金制度の利用は、収入の見込み、家庭状況、健康状態など、個々の状況に応じた総合的な判断が求められます。利用を検討する際は、これらのメリットとデメリットを考慮し、自分自身や家族の将来にとって最適な選択を行うことが重要です。
年金と賃金を合わせ50万円超の収入が見込まれる場合は、収入調整や年金の繰り下げ受給など、他の選択肢も検討することをお勧めします。
在職老齢年金制度をうまく利用することで、定年後も経済的に自立した生活を送ることが可能です。しかし、そのためには「50万円の壁」をはじめとする制度のルールを正しく理解し、自分のライフスタイルに合った最適な働き方を選択しましょう。
出典
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方] 第10 在職老齢年金・在職定時改定
厚生労働省 令和6年度の年金額改定について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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