定年間近の1人暮らし。定年後はノンビリ暮らしたいです。現在、ねんきん定期便の額は少ない金額しか載っていませんが、将来月20万円くらい受給できますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月1日 10時0分
定年後にゆとりを持って生活する場合、月20万円くらいの年金が必要だと考える方も多くいるでしょう。 しかし、50歳までに受け取るねんきん定期便には、これまでの加入実績から算出された年金額しか記載されてないため、月20万円の年金を受給するためには現役時代にどのくらいの年収を稼ぐ必要があるのか知りたい方も多いと思います。そこで本記事では、月20万円の年金をもらうために必要は年収や実際に受給する年金の平均額などを詳しく解説します。
年金で月20万円もらうのに必要な年収は?
老後に年金を月20万円もらうには以下のように計算すると、年収ベースで平均約722万4000円必要になることが分かります。
・月20万円もらう場合に必要となる年間年金額:20万円×12ヶ月=240万円
【老齢厚生年金の計算式】
・平均標準報酬月額×5.481/1000×加入期間の月数(平成15年4月以降の率)
・加入期間:20~60歳までの38年間(480ヶ月)
(1人暮らしの場合)
・老齢基礎年金の満額:81万6000円(令和6年度)
・月20万円をもらうのに必要な残りの老齢厚生年金:240万円-81万6000円=158万4000万円
老齢厚生年金で年間158万4000円をもらうために必要な標準報酬月額:約158万4000円÷2.63088(5.481/1000×加入期間480ヶ月の場合)=約60万2000円
年金で月20万円もらうのに必要な年収:60万2000円×12ヶ月=約722万4000円
ただ、この年収額は厚生年金に加入していた期間の平均年収額です。1年間の年収ではない点に注意しておきましょう。
65歳以上単身世帯の年金平均額は?
総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」では、「65歳以上の単身無職世帯」の実収入で「社会保障(年金)給付」の平均額は月11万8230円と報告されています。
しかし、支出平均額は14万5430円となっているため、毎月約3万円の赤字になることが予想されます。年間にすると約36万円もの赤字になり、こうした老後の費用をカバーするためには貯金をして備えておく必要があります。
老齢基礎年金の受給要件
老齢基礎年金の受給資格期間は、平成29年7月31日までは25年以上でしたが、平成29年8月1日より10年以上あれば需給できるようになりました。
「保険料納付済期間」と「保険料免除期間」を足しても、受給資格期間が10年以上にならない場合は「合算対象期間」を加えて10年以上にすることも可能です。
合算対象期間は「カラ期間」とも呼ばれており、年金額には反映されませんが、老齢基礎年金の受給資格期間としてみなされる期間を指します。
合算対象期間には、「国民年金に任意加入していたが実際には任意加入していなかった期間」や「海外に住むなど国民年金制度の対象から除外されていた期間」などが該当します。
ねんきん定期便の見方
ねんきん定期便は年齢によって記載事項が図表1のように異なります。
図表1
年齢 | 記載事項 |
---|---|
50歳未満(35歳、45歳以外) | ・保険料納付額 ・月別状況(直近13ヶ月) ・年金加入期間 ・これまでの加入実績に応じた年金額 |
50歳以上(59歳以外) | ・保険料納付額 ・月別状況(直近13ヶ月) ・年金加入期間 ・老齢年金の種類と見込額 |
受給者(直近1年間に被保険者期間がある場合) | ・月別状況(直近13ヶ月) ・保険料納付額 ・年金加入期間 |
35歳、45歳 | ・保険料納付額 ・年金加入期間 ・これまでの加入実績に応じた年金額 ・これまでの年金加入履歴 ・月別状況(全期間) |
59歳 | ・保険料納付額 ・年金加入期間 ・老齢年金の種類と見込額 ・年金加入履歴 ・月別状況(全期間) |
引用:日本年金機構 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています
将来もらう年金額の目安は、50歳未満の方は「加入実績に応じた年金額」、50歳以上の方は「老齢年金の見込額」を見ると分かります。老齢年金の見込額は、現在の加入実績が60歳まで続いた場合、65歳から受け取れる年金額が記載されています。
もし「ねんきん定期便の見方がよく分からない」「ちょっと質問したいことがある」という場合は、最寄りの年金事務所に相談しましょう。
月20万円の年金受給者は少数なので老後に備えて貯金が必要
年金を月20万円受給するためには、年収ベースで加入期間平均約720万円が必要となります。生活スタイルによっては年金だけの収入では、生活費が毎月赤字になることも考えられるため、老後に備えて貯金もしくは運用などで資産形成しておくことが重要となります。
また年金は受給要件を満たしていれば、原則として65歳から受給開始となりますが、受給年齢を60~75歳までの間で任意で選択することも可能なので、定年年齢や個々の生活事情、受給額の増減など総合的に考えて判断しましょう。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査
総務省統計局 家計調査報告 (家計収支編) 2023年(令和5年)平均結果の概要
日本年金機構 合算対象期間
日本年金機構 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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