地域によって給与差があるけれど、将来の年金額にも地域差があるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月2日 2時10分
原則として65歳から受け取れる公的年金ですが、厚生年金は地域によって受給額に違いがあることを知らない人も多いのではないでしょうか。また、受給額に差があるのは理解していても、具体的な理由について関心がない人もいることでしょう。 本記事では、厚生年金の平均年金月額をはじめ、都道府県によって平均年金月額に差がある理由を解説します。その他にも、公的年金の受給額を増やす方法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
厚生年金の平均受給月額
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和4年度の厚生年金の平均受給月額は14万4982円(65歳以上の男性:16万7388円、65歳以上の女性:10万9165円)です。
厚生年金の保険料は一律ではなく、賃金によって異なります。納付金額が多く、被保険者期間が長いほど受給額が高いです。
厚生年金の受給権がある人は、日本に住む20歳以上60歳までの人に加入義務がある国民年金も支給対象です。国民年金の保険料は一律で納付月数によって受給額が決まり、40年間納付を継続した場合は月額6万8000円(令和6年度)を受け取れます。
都道府県によって年金の平均受給月額に差がある
厚生年金の平均受給月額を都道府県別に見ると、金額差があります。図表1に、受給額が高い5都府県と低い5県をまとめました。
【図表1】
年金受給の平均月額が高い都道府県
1位 | 神奈川県 | 16万4088円 |
2位 | 千葉県 | 15万8918円 |
3位 | 東京都 | 15万7478円 |
4位 | 奈良県 | 15万6630円 |
5位 | 埼玉県 | 15万5412円 |
年金受給の平均月額が低い都道府県
1位 | 青森県 | 12万2134円 |
2位 | 秋田県 | 12万3060円 |
3位 | 宮崎県 | 12万3237円 |
4位 | 沖縄県 | 12万3459円 |
5位 | 山形県 | 12万4586円 |
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より筆者作成
厚生年金の平均月額が最上位の神奈川県と最下位の青森県を比べると、差額は1ヶ月あたり4万1954円です。これを年額にすると50万3448円となり、国民年金の約7ヶ月相当分の差があります。
すでに説明したとおり、厚生年金保険料は賃金で決まり、年金受給額が変わってきます。要するに給与の水準には地域差があり、平均収入の高い都道府県ほど将来の年金額も高くなるのです。
年金を増やす方法
将来の年金額は、以下の方法にて増やすことが可能です。
●追納
●任意加入
●繰下げ受給
将来の年金額がどのくらいになるのかを確認し、老後の生活費を賄えるかどうかを事前に検討しておきましょう。
追納
過去に保険料の免除や納付猶予、学生納付特例の承認を受けた期間がある人は、追納をすることで国民年金の受給額を増やせます。なお、納付猶予や学生納付特例の承認を受けた期間は、受給資格期間に含まれるものの、年金額に含まれない点に注意が必要です。
追納する場合は年金事務所へ申請を行う必要があり、社会保険料控除によって所得税や住民税の軽減を期待できます。なお、追納ができるのは追納承認月の前10年以内です。
任意加入
国民年金の加入年数が40年に満たない場合、60歳以降も任意加入できます。任意加入によって国民年金保険料を納付すれば、受給額を満額に近づけることが可能です。なお、任意加入制度を利用するための条件は、以下のとおりです。
●日本国内に住所登録のある60歳以上65歳未満の人
●国民年金の繰上げ支給をしていない人
●20歳以上60歳未満までの保険料納付月数が40年未満の人
●厚生年金保険、共済組合などに加入していない人
繰下げ受給
年金以外の収入源があるなど、老後の生活費を賄える状況であれば、年金の繰下げ受給を検討してみてください。年金の繰下げ受給とは、通常65歳から受け取れる国民年金や厚生年金を66歳以後75歳までに遅らせて受け取ります。年金の受取開始時期を1ヶ月繰下げるごとに0.7%の増額率が適用し、生涯にわたって増えた年金額を受け取れる制度です。
年金の受取開始年齢を70歳にした場合の増額率は42.0%、最長の75歳の場合の増額率は84.0%です。なお、老後資金の不足状況に応じて、国民年金または厚生年金のどちらか一つを繰下げる選択も可能です。
年金を増やして老後資金の足しにしよう
厚生年金の平均月額は都道府県によって異なり、最上位の県と最下位の県を比較すると1ヶ月あたり4万1954円もの差があります。厚生年金は働いているときの賃金で保険料が決まるため、その地域の給与水準が低ければ、受け取れる年金額も変わってくるでしょう。
将来もらえる年金がどのくらいになりそうかを確認し、家計のなかから老後の生活費を賄うための貯蓄を行うことも考えてみましょう。年金を増やす方法を適宜取り入れて、老後の生活資金を準備しておくとよいでしょう。
出典
厚生労働省年金局 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 任意加入制度
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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